チェンウォン世界編シーン74
俺達は準備を始める。
カルマの行き先はこの地の裏側…ブラズール。
この世界もどうやら球体で俺達の世界とほぼ大陸の存在している位置はほぼ一緒らしい。
そこから探るとブラズールと言われる地は俺達の世界のブラジルと近しい場所…つまりこのチェンウォンからもほぼ真裏に位置しているらしい。
ここからの移動はこれまでよりも長旅となっていく。
エンポリオの愛機イヴレーア号の状態は万全を期していた。
俺はエンポリオに声をかける。
「エンポリオ…ブラズールまでは長い道のりだけど何とかなりそうか!?」
「もちろんだよクロノ君…僕はカルマさんと約束したんだ…僕は絶対に彼女の行く末を見守るんだ。」
「ん?なんの約束だ?」
「もちろん…両親に会わせるって約束だよ…。」
「ああ…そうだったな……」
俺は空を見上げる。
「クロノ君…僕はね……これまでこんなに人の為に必死になった事はなかったんだ…でも…カルマさんはこの僕に様々なものをくれたんだ…今度は僕が必ず…彼女の為に。」
「ああ…エンポリオ…」
「僕も…同じだよ…」
そう言ってやってきたのはイシメールだった。
「イシメール!?」
「僕もね…マジェストになって今回も一緒に戦わせてもらいました…世界にはきっとこれから魔王軍のなにかの力が蔓延ってきそうなそんな野生の勘がしてるのです…そして僕はクロノ君のパーティーの医師として役立ってみせます…そしてリオさんにも会わないとだしアキニー様の力にも
……」
「ありがとうなイシメール!?」
「はい!!」
「おっにいちゃーーーーーーーんっっ!?」
「ああっ!?ずるい!」
そう言いながら走りよってきたのはサキノとヘキサの二人だった。
「あれ!?二人とももうここにいたんだあ!?」
「サキノちゃん!うん!もうイヴレーア号もいつでも出発できるよ!!」
「そっかあ…じゃあこれならカルマお姉ちゃんを迎えに行けるね!?」
するとエンポリオが口を開く。
「うん!サキノちゃん!僕のイヴレーア号はカルマさんを迎えに行く白馬なんだ」
「ほえーーーエンポリオ君ってすっごいねえ…ふぅむ……お兄ちゃんもこれくらいロマンチストだったらねえ。」
「ん!?なんか言ったか?」
「ううん!なんでもないよ!」
最近大人っぽくなってきたサキノ。
それに赤くなるエンポリオだった。
「さあ…じゃあカルマ奪還に向かうメンバーは揃ったな…ヘキサ!?いるんだろ!?」
俺が宙に向かい声をかけると。
ポンっと宙に浮きながら登場するヘキサ。
「ほいほいっ!お兄さんが呼んだら僕は飛んでくるもんねえ?」
俺にしがみついてくるヘキサ。
「「クロノ君!!??」」
そこへ登場したのはジオウ、リーファそしてハオユーだった。
するとリーファが口を開く。
「皆さん…このチェンウォンを救ってくれてありがとう。」
「リーファと共にこれからこのチェンウォンを守っていきます…そして何かの時はクロノ君達の力になりますから。」
俺は二人に返す。
「ありがとう!二人とも、俺達はいくぜ!!またな!?」
「「はい!!」」
するとジオウが一つの何かを差し出す。
「クロノ君……これを……。」
俺はジオウの手から何かを手に取る。
「ジオウ……これは!?」
「これはどこの国に行っても通じるジオウ王国の僕との友好の証となる…困った事があれば使うといいよ。」
「おう!サンキューな!」
「僕達もまだこの国の復興に時間がかかりそうだ…何かの時は僕達も力になるさ!」
「ジオウ……そう言えばテンテンは姿が見えないな……。」
「ん〜〜〜実は……あれから言い聞かせるの大変だったんだ……」
ジオウは一緒に着いていくと言い張っていたテンテンをなだめるのにかなり苦労したらしい。
「ふぅ……大変だったなジオウ。」
「まあね……我が妹ながら厄介な相手だよ。」
苦笑いしながらそう口にするジオウ。
すると。
「クロノ君!?そろそろいこうか!?」
エンポリオの声。
「よし!ジオウ!じゃあテンテンにもよろしく言っといてくれ.。」
「ああ……クロノ君!皆!気をつけて!!」
皆各々に別れの挨拶をする。
そして俺達はイヴレーア号に乗り込む。
機内はこれまでよりもずっと快適な仕様になっていた。
「すごいな…以前より随分快適な状態だな。」
「ん?……なんか誰かのメモがあったけど要望が書かれてて内装をその通りに変えてみたんだけどさ!?」
「そうなのか!?」
「カルマさんかな?って思ってて張り切って内装にもこだわったんだけどね!?」
妙な違和感を感じた俺。
そして…その瞬間。
イヴレーア号のエンジンが爆音を上げる。
外で皆が大声を上げていた。
「「皆ーーーーーーまたなーーー!!!」」
「クロノ君達ーーーまたねーーーーー!!」
こうして爆音を上げたイヴレーア号は。
遙か遠くブラズールへと飛んだのだった。
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