チェンウォン世界編シーン73
俺達は話し合った。
そしてカルマを追いブラズールへと向かう事を決めた俺達。
◇
「ふぅ……これで三人のお墓と供養はできたわね?」
そう言ったのはリーファ。
すると手を合わせながらハオユーが口を開く。
「ロンレイ様…そしてヤシュア…朝明さんも…今までありがとうございました。」
「ハオユー……今までおじいちゃんの事も本当にありがとう。」
「ん?ああ…いや僕は。」
「ふふ………ハオユー、貴方ヤシュア様にずっと憎まれ口叩いていたけど…本当はヤシュア様に憧れてたのね?」
「な!?何を言ってるんだ!?リーファ!?」
リーファの言葉に耳を真っ赤にして焦るハオユー。
「あれあれーーー!?二人きりでどうしたの!?」
「あはは!そういうのは言わない方がいいらしいぜサキノ!?」
「お兄ちゃんに言われたくないんだけど!?」
「まあまあ…そうむくれるなってサキノ!」
俺達がヤシュア達の墓前にくるとリーファとハオユーが先にきて手を合わせていた。
そして俺も三人の墓の前で手を合わせる。
すると、俺の隣にはサキノ、反対にはヘキサが手を合わせている。
「クロノ君!?僕達もヤシュア様達に挨拶にきたよ!」
そう言いながら合流したのはエンポリオとイシメール。
二人も手を合わせる。
「ヤシュア様……僕達はこの世界を救ってきます!」
「そうです!だから安心して見守っていてくださいね!」
「お前ら…………。」
すると…そこへ足音が聞こえてくる。
同時に元気な声も。
「あーーー!!ほらほら!お兄様!こっちこっち!?」
「ちょっと待てよテンテン!?」
「おーーーい!?クロノーーーさんっ!?」
「んぐっ!?」
俺の姿を見るなり抱きついてくるテンテン。
「あーーーーーっ!?テンテンちゃん、何してるの!?」
「んもぉーーー!お兄さんは僕のだってばー!?」
「うわっ!?三人とも……く………苦しい………。」
三人は俺の取り合いをし……俺は。
チーーーン。
「じゃなくて!?俺まで墓にINする所だったじゃねえか!?」
「「ふえーーーーーん。」」
「まったく。」
俺がヤレヤレとため息をつく。
すると聞こえてきたのはリーファの声だった。
「クロノ君!?」
「ん!?どうした!?」
「おじいちゃんもヤシュア様も朝明様もきっと……今頃……向こうで笑ってると思います…だから…どうか…どうか……立ち止まらないでください!!」
リーファのその声は俺を応援してくれる言葉となる。
「ああ……リーファありがとな!?」
「クロノ君…僕もボロボロになってしまったこの地の復興をリーファとしていくつもりです!」
「おう!ハオユーも応援してるし何かあったらすぐにくるさ!」
そしてそこへ来たのはジオウ。
「クロノ君…実は君に一つマジェストとしてのレベルアップへの手助けになるかもしれない話を持ってきたんだ。」
「ジオウ……それは!?」
「ああ……皆も聞いてほしい…これから僕達の相手は世界に蔓延りつつある魔王軍との戦いになる事でしょう…その力は恐るべきものだと思う…だけど僕達だって今後…今回の様にもう誰の生命もこれ以上失う訳にはいかないんだ…そこで僕は僕達の生命とも言うべき魔神具を鍛えるという伝説の武器鍛治職人と呼ばれる者が世界に存在するという情報を得たのだ。」
「「なにっ!?」」
「それは……確かな情報なんですか!?」
そしてイシメールの問いに答えるジオウ。
「ああ…しかもその方はこれからクロノ君達が向かう魔族が棲むと言われるブラズールにいるという情報を得たのだ。」
「って事は…そこへ行けば…あの魔王に力もそして存在する場所までも、近づけるんだな…。」
俺の中で希望が見え始めてくる。
きっと魔王であるゼルドリスは、本当に恐るべき力を持っているんだろう。
でも…俺達はもう仲間を失わぬよう…更に力をつけなければならない。
「よし!!じゃあブラズールに向けて希望が湧いてきたぜ!!」
「サキノ!!」
「はい!」
「エンポリオ!!」
「うん!」
「イシメール!!」
「はい!」
「行こうぜ!!ここにいるはずだったカルマの動向がやっぱりほおってはおけないからな!?」
「「うん!!」」
三人は俺に答えてくれる。
すると……。
『はいはーい!!そして案内人としてもちろん僕もいくよ。』
そう告げたのはヘキサの声。
そこへシューーーーーッと流れてきた爽やかな風。
「「ヤシュ……ア?」」
そして…聞こえてきたヤシュアの最後の声。
『皆……世界を………頼むぞ。』
俺達の背中を押したのは…ヤシュアだったんだ。
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