チェンウォン世界編シーン66
饕餮の身体は俺達の超攻撃を受け…空宙から落ちてくる。
ズガーーーーンっと大地に激しく落ちる巨大な身体。
それは饕餮が相当なダメージを受けた事を物語る。
「クロノ様……。」
「小僧と……魔神雷武……ぅぐっ!?」
そう…戦いを見ていた者…その者は今動けずにいた。
「鉄星様……大丈夫ですか?」
「はあっはあっ………はあっ…はあっ……くそ……マジェストとはこんなにも身体に負担がかかるとは…ヤシュア。」
「鉄星様……やっぱり……ヤシュア様の事。」
リオは鉄星の傍で彼の回復を補助していたのだ。
「はあはあ……くそっ!?ワシは…ヤシュアの最後の最後にまでも……奴にこの力を認めさせるつもりでこれまできたというのに…ワシは…アイツを……ただ……死なせてしまった……ワシは…ワシは!!!??」
「鉄星様……戦いましょう……あの敵…饕餮は存在がある限り…この世界を喰らい尽くす事でしょう……。」
「くっ!?ワシとリオ……お主の力をもってすれば……」
すると。
鉄星の存在を見ていたのは。
あの饕餮だった。
『ぐしゅしゅっ………ほう…………ロンレイ……ヤシュアそして……あと一匹……以前俺様を封じた勇者と三匹の男達…その中の一人が貴様の先祖だな。』
「なん。」
「だって!?」
俺達はその言葉に驚きを隠せずにいた。
そして皆の視線が鉄星に集められる。
そうなんだ…過去にコイツら四神を封じたのはこの地に現れた勇者と、そして三人の男達だという。
ロンレイとヤシュアの先祖の存在は聞いた。
だがそれにより狙われ…生命を絶たれてしまった二人。
そして残る一人は…なんと…この鉄星の先祖だったようだ。
すると……ゴゴゴと饕餮の身体から吹き出していく闇。
饕餮は今……獲物に狙いを定めた様だ。
『ククク……小僧には後でさっきの仕返しはしてやる……だがその前に我々の恨みの目的の貴様を殺してやらねえとな。』
そう語った饕餮。
「饕餮……残念だったな……ワシは力を手にしたのはその身を持ってして知っているであろう……。」
ゆっくりと立ち上がっていく鉄星。
それを支えながら構えるリオ。
そして俺もまた饕餮に身構える。
「饕餮……お前がこれからこの地で暴れる事…俺達が止める!!!」
俺の仲間達…この大地を守ろうとする者達が一つの悪鬼に立ち向かう。
『ククク……ククク………………。』
「なんだよ…さすがにこのメンツが揃ってるんだぜ…もうお前に勝ちはねえぞ!?」
すると悪鬼が黒い闇を吐き出していく。
『はああああーーーーーーーーっっ。』
大地の底から聞こえてくる悪鬼の声はこの大地を揺らしていく。
次の瞬間…ドガーーーーーンッと突然の爆発を起こす。
「うわっ!?」
「くっ!?凄い爆風!!えっ!?」
「あれが……饕……餮………。」
そして…そこに立ち尽くしていたのは…俺達人間達と姿変わらない先程までの饕餮ではない一人の男。
だが…その身からは想像のつかない程の今までの奴の力を越える何かを感じる。
「あれが………饕餮………だと!?」
「姿に恐ろしさはなくなったが……」
「あれは。」
すると饕餮は人と変わらぬ姿で口を開く。
『ふぅーーーーーーーーっ…さあ…食うか……俺様の餌になれ……爆食!!』
次の瞬間。
饕餮の身体から放たれた黒い何か。
それは一気に存在していた皆々に襲いかかる!!!!!
「これは!?」
「危険よ!?兄様!?」
すると、ジオウ達を守っていた兵士達は立ち尽くしていた。
黒い闇が通過したその時。
ぐしゃっとその身体は瞬時に潰され食われる兵士。
「な!?」
「うわあああーーーーーーーーーーーっ!?」
次々と饕餮によりあっという間に食われていく兵士達。
その数……一瞬で二十名が身体の半分を失い血を吹き出し倒れていく。
バタバタと倒れる兵士達。
そこにはくちゃくちゃと咀嚼音を立て口を血で濡らし真っ赤に染める饕餮。
「一瞬で……くそっ!?化け物め!?」
兵士の一人がそう言った瞬間。
背後に現れた饕餮。
その瞬間…饕餮の食料になっていた兵士。
『くちゃくちゃ……うめえ……実にうめえ…これだよ…もっと……もっとだ。』
すると徐々に饕餮の身体はムキムキと筋肉を増やし身体は巨大化していく。
「あれは……奴はやはり……」
「鉄星様……何かを知ってるんですか!?」
リオは鉄星に問いかける。
「ああ…饕餮の恐ろしさはただ食うだけじゃない……食った者の力を取り込む…という…噂だ。」
「そんな……それじゃ……まさか。」
この時のリオの心に沸き起こった不安。
その時。
ゴーーーーーーーーッと風を纏う饕餮。
そして…その背後には。
「なんだと……それは……その魔神はヤシュアの…………」
「「トーンウイング!!!???」」
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