チェンウォン世界編シーン64
俺は雷武の力を感じる。
俺達は力をつけた。
すると…ヘキサが俺に抱きつき口を開く。
『お兄さん!?雷武が凄い事になったね?』
「あ、ああ…確かにあの力はすげえな。」
俺達の目の前には新たな力をつけ立ち尽くしていた魔神雷武。
ゴウっという爆炎とバチバチという雷の力をその身に纏う、その姿は正に怪物だった。
「雷武!?」
『ああ……クロノ……俺様はある事を思い出した…だが、それは、お前の目指す最終地点と同じものだろう……だからこれからもお前の力となってやる…感謝するがいい。』
「何が感謝しろよ!だよ!?偉そうに、大体お前も、さっさと素直になってくれてたら俺だってこれまでの苦労も半分で良かった気がするけどな!?」
『な!?黙れ小僧!?』
「なんだよ!?」
『なんだあああ!?』
俺達の相変わらずの口喧嘩が始まる。
その時。
『やめんかーーーーーーーーっ!?』
『やめなさーーーーーーーーい!!』
ビクッと俺たちは身構える。
するとそこには光から姿を現す者二人の姿があった。
『ラブラか!?』
「ヤシュアも!?」
俺達の前にうっすらと透明感のある姿。
ラブラは元々がこんな霊体の様な姿だったのだが今いるヤシュアも…って事はやはりヤシュアは。
俺は思い考えると、顔もついこわばってしまう。
『はっはっは……クロノ、そんな顔はするな…ワシは自分の運命はきっちり受け入れておる。』
『ヤシュア…俺、お前に会えて本当に良かったと思ってるぜ!?』
『ああ…ワシはお前に出会って…お前は本当にいつも自分というものを持っておった…弱き者にはその手を差し出し…強く他人を力で支配しようとする者には立ち向かう……そんなお前だからこそ…ワシは。』
ヤシュアは笑顔を見せる。
『真の勇者になれると思っておるよ。』
「ヤシュア…………」
俺は震える。
するとラブラが口を開く。
『クロノちゃん…あんた、成長したねえ……』
「ラブラ!?」
『ヤシュアちゃんはこれまでずっと、私の言葉を聞いてくれて……そしてその生命のある限り世界の人々を守り…私の意志を伝え叶えてくれた…そんな彼には私も敬意を払いたいの。』
『勇者……ラブラ様……もったいないお言葉です。』
すると…ラブラとヤシュアは輝き始める。
『雷武ちゃん…アンタも……』
『ん?なんだ』
『クロノちゃんを頼むね。』
『ああ…』
『そして……クロノちゃん……アンタはまた……。』
『ん!?』
その瞬間……。
俺達は眩い光に包まれていく。
すると聞こえてくる声。
『勇者クロノ……そしてその魔神雷武……この地に再度復活した…恐るべき悪神饕餮をその力で………悪神の根を……断ち切るのだ。』
その声の主は。
仙人『恋海』の声。
次の瞬間。
俺達は光と一体化する。
すると目の前になにかの光景が広がっていく。
『さあ!ヘキサ…また遊びにきなよ?』
ヘキサに声をかけてきたのは恋海。
『うん!僕また遊びにくるね!?』
『うん…そしてクロノ君…勇者としてちゃんと力をつけるんだよ!?』
「ああ……サンキューな!?」
『うん!!そして…雷武様。』
『あ!?なんだ!?』
『恋海』は、いつしか雷武の傍に現れる。
そして雷武に寄り添っていく『恋海』
『雷武様……私はお待ちしてます……絶対また来てください。』
『ん!?ああ……またくる。』
雷武は何の気まぐれかそう答える。
すると。
『わあーーーい!やったやったーーー!!ヘキサーーーーー!私も彼氏ってのできたみたいだーーーーー!!』
『んんーーーーーー!?ぼ!僕だってまたお兄さんと…んーーー…いや…今度は子供を連れてくるさ!?』
『いやいやいや!なら私は……………………』
俺も雷武も二人のやり取りにため息を着く。
『はああ………コイツら……』
「はは……そうだな雷武……でも…たまには、こういうのも肩の力抜けてよくねーか!?」
すると雷武はニヤリと微笑む。
『ああ…そうだな………。』
『おおっ!?お兄さん達!?見えてきたよ!?』
そう言ったのはヘキサ。
そして『恋海』はニコりと微笑み…すぅーっと消えていった。
『感じるな………禍々しい化け物の力。』
「ああ……だけど……俺達は。」
『負けねえ。』
『『俺達は絶対勝つぜ!?』』
俺と雷武はここへ来て……互いの力が合致した気がした。
すると一層眩い光が見えてくる。
『さあ……ここから先に待ってるのは地獄の怪物……だけど…お兄さんと雷武ならきっと。』
そう言って微笑むヘキサ。
次の瞬間。
バッと飛び出した俺達。
宙を舞い落ちていく俺と雷武。
皆の姿が真下に見える。
傷つきながらも微笑む皆。
「クロノお兄ちゃん!?」
「クロノーーーーーーーーーー!?」
「皆ーーーーーー!?待たせたーーー!?」
叫ぶ俺達に驚く饕餮。
『なんだあ!?貴様ら!!???』
俺達は叫ぶ。
「『饕餮ーーーーーーーーっ!?』」
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