チェンウォン世界編シーン60
世界のマジェスト協会を発足させ、この地を守り続けてきたヤシュアが悪神によりその命を失ったのだ。
「「ヤシュア様ーーーーーーーーーっ!?」」
この時……世界中にヤシュアの悲報が配信されたのだ。
クロノのライブ配信はヤシュア達の世界に魔王討伐の為に今やこの世界中に配信されていたのだ…その為に世界中にヤシュアの悲報は知られてしまっているのだ。
「ひっ……グスっ!うううぅぅ。」
サキノちゃんの涙は止まらなかった。
彼女にとっても大切な家族のような存在だったヤシュア様。
それは私にとってもそうだった。
そして今ここに激しい戦いを終え眠ったままのクロノもそうに決まってる。
クロノが起きていて戦っていたら勝てたのだろうか?
ヤシュア様は死なずにすんだのかな。
私の中にそんな疑問も湧いてくる。
世界中……ここにいる皆がヤシュア様を慕い…そして涙してるのだ。
すると。
衝撃から目覚めた饕餮がその巨体を起こし始める。
グラりと身体を起こすとそれにより大地に激震が発生するのだ。
まさかあれほどの攻撃を受けたにも関わらず動けるなんて。
ここにいる誰しもが思ったであろう。
この世界は、この化け物によって支配されてしまうかも。と。
すると不思議な現象が私達の目の前で起こり始める。
パーーーーーっと空から眩い光が照らしてくる。
「これは………………………」
「まさか……ヤシュア様を天が迎えに来たとでもいうのか?」
誰かがそう呟いた。
次の瞬間。
『ぐああああああああああーーーーーっ!?』
饕餮が吠える。
ビリビリと感じる化け物の威圧感。
このままでは。
そう誰もが思ったその時。
『あがが……んがあああっ!!!???』
饕餮が動けなくなっていた。
これは一体…どういう事なのだ?
◇
すると。
光から姿を現したのは。
「勇者……ラブラ……………様。」
そこには凛として立ち尽くす古の大勇者ラブラの姿があったんだ。
すると歩み寄っていったのはヘキサだった。
「ラブラ様!!???」
「あらあらヘキサちゃん。」
うっすらと笑みを浮かべるラブラ。
するといつしかヘキサの顔は涙で溢れていた。
「僕!!聖獣なのに!!こんなにいい人達を救う為に何も出来なかったよおおおーーー!!」
そうだったのだ。
聖獣ヘキサ様は、クロノや私達の為にってついてきてくれたのに。
クロノが倒れた後。
彼女はクロノを目覚めさせる為にその力を使い…彼女も彼女の出来る事を必死に頑張っていたのだ。
だけどその時。
ヤシュア様は倒れてしまった。
でもこれは。
誰にも止める事のできない運命だったのかもしれない。
するとラブラは口を開く。
『ヤシュア様はね…皆にこの世界を託していったんだ…彼はロンレイ様に出会い…そして、祖先に魔神の力があった事を知り…この世界を守る為にずっと戦ってきた…そんな彼は今はもう後悔はしてないと言って旅立ったよ…そして皆に出会えた事は幸せだったと…』
そしてラブラ様の身体を髪を靡かせ過ぎ去る風。
それは私達にも感じられた温かく心地よい風 だった。
まるでヤシュア様の様な。
「ヤシュア様。」
私はそう呟く。
するとラブラ様が口を開く。
『さあ…皆……ヤシュア様から何か伝わったかな!?』
ラブラ様の言葉に私達は笑顔を返す。
『よし!ならば…ヘキサちゃん!?私達はクロノを起こしにいくよ!?』
『えっ!?いきなり!ちょっとラブラ様!?』
すると私達に叫ぶラブラ様。
『皆ーーーーーーーーーーー!?』
私達はその大声に聞き耳を立てる。
「私達は、ちょーーーーーーっと野暮用をすませてくるね!?」
「えっ!?ラブラ様!?」
私はついそう問いかけてしまっていた。
「私がそっちに行ってる少しの間…饕餮はきっと動き出してしまうの…大丈夫!?」
「ここは……もちろん!!やります!!きっと食い止めて見せます!!」
皆もそれぞれに魔神具を構え備えていた。
あの化け物相手にするには厳しいかもしれない…でも皆の力を合わせればきっと。
私達は言葉にせずともそう思っていたと思う。
すると。
「僕達も新たな力を得たんだ…食い止めよう!!」
「そうだね!?僕のゴルンガも少しずつ力をつけてきたんだ…きっとなんとかなる!!」
エンポリオ君もイシメール君も本当に頼もしい。
すると突然背後から誰かの声が聞こえる。
「よし!!クロノチームのサポート……ワシらもするぞ。」
「ええ!鉄星様……必ずリベンジしましょう。」
私達はその言葉を耳にし振り返る。
そこには。
私達の頼れる仲間。
リオちゃんと鉄星様が立っていたんだ。
「二人とも!!???」
私達は再び揃った。
ヤシュア様…きっと皆でこの地を…守ります。
◇
◇
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