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ライブ配信!異世界転移!?  作者: 黒羽冥
第五章チェンウォン世界編
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チェンウォン世界編シーン45

所変わり…クロノ達は。


『ぐああああああああああーーーーーっ!?』


俺達の目の前から姿を消し飛び去った檮杌。

そいつは突然、とある街の上空に現れる。

そして街を破壊し始める。


「ぎゃーーーーーーーーーーっ!!???」

「うわあーーーーっ!?化け物!?」

「に……逃げないと。」


一人の女性のその声。

そして女性は踵を返し逃げる為に駆け出そうとする。


次の瞬間。


目の前に巨大な猪の顔が大きく口を開き待っていたのだ。

その恐るべき見た目に女性は身体が恐怖に停止する。

そして…恐怖が彼女を支配する。


「ああ……あああ。」


全身が震える彼女は涙を流し、ただ呆然と立ち尽くす。

そして。

次の瞬間…ずしゃーーーーーーーーーっ!!っという音と共に彼女を飲み込む檮杌。

くちゃくちゃという咀嚼音を立て食事をする化け物。


『グフフ……美味いな……人間は実に美味い。』


こうして檮杌は初めの食事を完了させると。

影をどんどん広範囲に伸ばしていく。逃げ惑う人々。

そして人々はその影に覆われていく。


次の瞬間。


『くくく……大漁大漁。』


そして人々の表情は恐怖の表情へと変わっていく。


『がはあああああーーーーーっ!?』


爆音と共に次々と檮杌の巨大な口に飲み込まれていく人々。

もはや恐怖の声にもならなかった。

くちゃくちゃという咀嚼音だけがこの街に響き渡る。

巨大な怪物の咀嚼音は見てしまった数名の人間の足を止めるには十分だった。

人々は偶然この状況を目にしてしまい恐怖に足を止める。

すると怪物は真っ赤な血を滴らせながら口を開く。


「ゲハハ……やめれねえ……さあ、もっともっと食らって元の力まで回復させねえとなあ。」


檮杌はニヤリとそこに残る人々を見やる。


「さあ……さあ……お前達…逃げ惑うがいい。」


すると人々は恐れおののき動けなくなってしまう。

その時……檮杌の目に写ったのは一人の少女とその母親だった。

二人は抱き合い……檮杌の恐怖から逃げ出したいと心から思う。

だけど動けない…せめてこの子だけでも逃がしたい。

母親はそう願うが、逃がせたとして。

そう……絶望に駆られる二人。


「あ……ああっ……この子……この子だけは……なんとか見逃してください!!!!!」

「マ…ママ………!!」


母親の切なる願い。

そして…少女の目からは涙が止まらない。

二人はお互いを庇うようにして。

目を綴じたんだ。

『ぐはーーーーーーーーーーーっ!!???』


バキバキっ!!???ドゴーーーーーーンっと激しい爆音が二人の耳に響き渡る。

爆風に髪をなびかせた二人はゆっくりと目を開けていく。

すると。

そこには頭にヘッドホンを乗せ……自分達の盾になるように立ち尽くす一人の青年の姿があった。


「ああっ!?貴方は!?」


青年は、にこりと微笑み……そして言葉にする。


「俺はクロノ……今……ライブ配信中だ。」

俺の目の前にはさっき俺達の前から姿を消した化け物……檮杌が巨大な身体を起こそうとしている。


『きさま。』


ギロリと鋭い目を光らせ俺を見ている檮杌。

こいつは本当に桁違いのオーラを見せる。

普通の人間ならば身動きもできなくなる程の威圧感。

俺は魔神具である刀の柄を握り構える。

すると…遅れて仲間たちの声が聞こえてくる。


「お兄ーーーちゃんっ!!??」

「お兄さん早すぎるよ!?」


そう言いながらやってきたのはヘキサとサキノ。

そして遅れてやってきたのはジオウとテンテン。

加えてマース、リーファとハオユーの姿も。


「クロノさん!?一人で先に行っちゃうなんて後で小言ですね?」

「本当だな…だけどこいつは。」


ハオユーの言葉に共感したのはジオウ。


「ああ…本物の……化け物だ。」

「朝明さん!?朝明さん!?」

「テ……テンテンか……」

「はい…とりあえずお怪我を。」

「ああ……すまない。」


テンテンはすでにボロボロで倒れていた男を助け起こし声をかけていた。

朝明さんは気がつくと…どうやら気絶していったようだ。

すると檮杌が口を開く。


『ククク……なんだよ、こんなにも俺様の食い物がそっちからやってきてくれるとはな…そして貴様らはマジェストか……俺様の復活にこんなに貢献しに来てくれるなんてな……さあ……ここからは俺様の本当の力を見せてやらんとなあ。』


そう言い放った檮杌。

ゴゴゴとその力を溜めている奴の姿。

巨大なその下牙は鋭く伸びてくる。

そしてその力で一回りも身体も巨大化し化け物の本性を顕にしていく檮杌。


『ぐううううううぅぅ。』

「来るか……化け物…………俺が……相手だ。」


俺は刀を構え檮杌を迎え撃つ。

すると。

次の瞬間!!!???


『があああああーーーーーーーーっ!?』


先程の二人の母娘目掛けた奴の攻撃!!

俺の身体は自然に動く!!!!!


「「いやーーーーーーーーーーーーっ!?」」


二人は目を綴じる。

俺は、いつしか母娘二人を庇い。

奴の牙が俺の身体に深く突き刺さる。


「ぐはっ!!!???」


腹の底から血が湧き上がってくる感覚。

そして口から溢れ出す血液。


「うぐっ!!???」

「クロノーーーーっ!!???」

「お兄さん!!???」


そして一斉に聞こえてくる皆の叫ぶ声。


「「クロノーーーーーーーー!!!???」」

お読み下さりありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
ヘッドホンをした正体不明のヒーローとして登場するクロノ、口上もばっちり決まりましたね!クロノはここまで沢山人助けをしてきましたが、「名前のない人」を助けるためにここまで自己犠牲することはあまりなかった…
腹が減っては戦はできぬのですから、まずは食事が優先ですよね。そこを読み違えたばかりにクロノは噛まれてしまいましたね。相手の立場に立って、物事を考えるのは、思いやりばかりでなく、戦いでも同じということが…
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