チェンウォン世界編シーン44
リオ視点。
突然建物を激しく揺らした何かの衝撃。
「リオ!!!???」
「鉄星様!!!???」
私達は叫び合う。
次の瞬間何かの力をその身に感じる。
「何これ!?」
「リオーーーーーーーーーっ!?」
私の身体は何かで縛り付けられ身動きができない状況。
すると。
「リオちゃん!?鉄星様!?」
「二人とも何が!?」
「これは!?」
カルマちゃん達がここにきてくれた。
だけど、その時…私をとらえていた何かが口を開く。
「誰!!!???」
『グフフ………ガハハハハ………………』
それは恐ろしすぎる何かの力。
そしてその声も。
すると徐々に明らかになり…その姿が見えてくる。
「あれは!?」
「饕餮!!!???」
カルマちゃんの声に続ける鉄星様。
「あれが四大悪神の頂点……」
「饕餮……確かにこれは……超モンスター級の力を感じる。」
イシメール君もエンポリオ君もその凶悪な存在に驚きの表情を浮かべる。
すると鉄星様が動き出す。
「ぐっ!?饕餮……貴様……復活が早すぎる…リオを離せ。」
『ぐふふふふ……はあ!?俺様は饕餮……この世界の全てを喰らい尽くす者……なぜこの俺様が貴様如きの話を聞いてやらんと……いかんのだ!?』
そう言い放った饕餮。
この力は先に復活してきていた悪神達とは全くの別次元の力を感じる。
「ならば戦うのみ…フン…。」
グググと鉄星が手にしたのは魔象牙杖。
『ほう…愚かな人間の分際でこの俺に戦いを挑むか……。』
「さあ……我が声にその耳を傾けてくれ。」
『まて……貴様……この俺様がこの娘を放っておくとでも思ったか!?』
饕餮はリオ身体を締め上げていく。
「うううっ!?ああっ!?」
「リオ!?くそっ!!!……まて……饕餮。」
次の瞬間。
カランカランっと音を立て鉄星が手から離したのは魔象牙杖。
『ククク……お前は、よくわかってるようだな…そうだなあ……そうだなあ、この俺に楯突いた瞬間…俺の牙がこの娘を貫いていたな。』
「「鉄星様!!!???」」
三人が叫ぶ。
「てっ…せい………様!?」
「リオ……そして……皆の者よ……ワシにマジェストの夢を見せてくれてありがとう……ワシは皆に力をもらい……あと少しでマジェストになれたと思ったのに、なあ。」
すると饕餮は笑う。
『ぐはは…なんだあ!?こんな魔神具を持ってるから強力なマジェストなのかと思っていたが……わざわざお前の足止めなどせんでも良かったか。』
するとその時。
鉄星様は立ち上がる。
「ワシは鉄星……マジェストには確かになれなかったが…それでも。」
『クク…なんだあ!?ただの人間の分際でこの俺様に何をする気なのだ!?』
「鉄星様!?ダメです!!」
「リオ……今お前を助け出してやるからな?」
「何を言って……」
「皆も!!??私の事はいいから逃げて!?」
リオは叫ぶ。
この時。
ここにいる誰もが目の前のこの化け物が桁違いの怪物だという事を肌で実感していた。
すると饕餮は口を開く。
『ククク……そうよなあ……一つ提案なのだが…ただの人間ならば…ただ食って終わりなのだがな…お前達マジェストの身体は俺様の長年の朽ちた身体の礎となってくれるであろう。』
「何っ!?」
『特にこの娘……マジェストとしても中々の力をもっているみたいだな。』
「リオ!?」
「鉄星様……皆……この敵はダメです…私は…大丈夫だから……。」
すると…この悪神饕餮はニヤリと笑みを浮かべながら言葉にする。
『なあに…娘………心配することは無い…この俺にその身体を授けるだけでよい…さすればお前は俺と共に永遠という時間を生きていけるのだ。』
その時、スクエルがフラフラとリオの胸元から出てくると……パタリと倒れてしまう。
「スクエル!?」
「キキッ………キュッ。」
地面に伏せ…そしてピクピクと震えるスクエル。
「スクエル!?スクエルーーーーー!?」
『心配いらぬぞ娘……これよりお前は俺様と同化する…お前の血肉も脳も身体全ては俺様と共にある……そして心は……永遠の目覚める事のない世界の住人となるがよい……そしてその生命は俺様と共に。』
そして饕餮のボロボロの身体より魂と化した黒いモヤのような巨大な影が立ち込めていく。
それはまるで小さいリオを包み込む様に迫っていく。
「リオ!!??」
「リオちゃん!!!???」
「ぐっ!?なんてことだ!!」
「この僕が!!???」
その時、イシメールが飛び出そうとする。
すると誰かに止められてしまう。
それは誰よりも怒りの表情で飛び出した影。
「「鉄星様!!???」」
「お前達はここから抜け出し……あの…元の仲間たちの元へ行け……そして……必ずこの悪神饕餮を滅してくれ!!???」
「鉄星様!?」
「リオは必ず助ける!!ワシを信じ行ってくれ!!???そして例えこのワシが饕餮の身体になったとしても……世界の為に……倒してくれ。」
ぎゅーーーーーーーんっという音を立て力が
リオと鉄星を包んでいく。
そして、ピカーーーーーーーーーーーーっとまるで爆発が起こったかのように…その光はカルマ達の意識を刈り取っていったのだ。
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