チェンウォン世界編シーン42
クロノ達が敵と対峙する中。
カルマ達は。
カルマ視点。
ここは…とある街の、とある小屋の中。
ここに私達は集まっていた。
すると…イシメール君が奥の部屋から出てくる。
「イシメール君!?鉄星様の様子はどう!?」
「カルマさん…鉄星様は少々血を流してしまいましたが…ひとまず大丈夫かと。」
「そう…ならひとまず安心ね…リオちゃんは?」
「リオさんはまだ鉄星様の傍に。」
「そっか……。」
今…私達三人は鉄星様の怪我の様子が気になり回復待ちだ。
私は少々前の記憶に遡る。
私達があの牢に捕らえられた時の事。
◇
◇
◇
「鉄星さん!!貴方は!?どうして私達を捕らえて一体何をするつもりなの!?」
私は彼に向かい怒気を込めて叫ぶ。
私はまだ怒りに身を任せ、彼に向かい反抗を示していた。
彼が私達に何かの力を使いリオちゃんの様に従わせているのは分かった。
リオちゃんは鉄星さんの隣で虚ろな目をしている状態。
きっと私より強力に彼の何かの力で操られてるに違いない。
私はそう思っていた。
すると。
「鉄星様……私は神の御心のままに……。」
そう言ったリオちゃんは私達の中で誰よりも彼の暗示にかかっているようだ。
◇
そして。
「ふぅ……これは困りましたね。」
「うん…僕はほとんど彼の暗示にはかかってはいない……けど彼を敵視するという感情も全くわかないんだ。」
イシメール君の言葉に続けるエンポリオ君。
「これはきっと何かの彼の力なのかもしれないよね。」
「うん……あの時私にも麻酔薬か何かを注射されたの…それは皆も一緒よね?」
私の問いに頷く二人。
「そう…でもきっとあれはただの麻酔薬だったと思います…鉄星さんを敵視できなくなったのは彼の何かの能力の可能性が高いと思います。」
「もしかして彼もマジェストだったって事!?」
私がそう問いかける。
「ええ…可能性としての話ですが…マジェストの力が無い者でもマジェストと交流する事によって目覚める事があるのかも知れませんね…エンポリオ君もその一人でしょうし…そしてこの僕も。」
この時、私もその内容に納得出来た。
私達が出会った人達は私達マジェストの力を吸収して能力が開花している。
それは鉄星さんも同様だったのかもしれない。
すると鉄星さんが入ってきた。
隣にはリオちゃんの姿。
二人は私達の元へとくると。
「三人とも……体調はどうだ!?」
私達は彼を見ている。
すると。
「鉄星様……僕達の体調は心配ありません。」
「ここでは最良の暮らしをさせていただいてますので僕も大丈夫です。」
イシメール君もエンポリオ君もこの様に返す。
そして私も例外無く。
「鉄星様…私も貴方様のおかげで体調も万全です。」
すると鉄星様は片手を上げる。
それに合わせてリオちゃんは何かを取り出すとテーブルにそれを広げて見せる。
「これは!?」
すると鉄星様は口を開く。
「我が教団…これからこの世界の光となる為に動いていく…ワシはこれから教団の道を示唆する力となる為に皆を導く事にする……その為の我が教団を世界へ広める為にこの。」
鉄星様は敷き広げた紙を指さし私達に見せる。
「マジェストの武術大会に出場してもらいたいのだ。」
「マジェストの!?」
「「武術大会!!???」」
私達はその話に驚きを見せる。
すると鉄星様は続ける。
「このチェンウォンにおいて度々開催している…世界の闇の中で開催されている武術大会だ……このワシはマジェストの力がなく…出た事はなかったのだが……ここへ来てお前達がいてくれるようになった…そして…ワシは遂に…魔神が見えるようになったのだ……ワシが出場したくはあるが魔神はまだいない…だがこの大会が開催されるのは数日後…間に合うかは分からない…だが…お前達の力でワシにマジェストの力で夢を見せてはくれないか!?」
そう話した鉄星様。
私は……。
「鉄星様……私達におまかせを。」
「もちろん僕達も鉄星様の力になります。」
「おまかせください鉄星様。」
私の言葉に続けるエンポリオ君とイシメール君。
不思議な事に…この様に私達は今や鉄星様の言葉に逆らう事…もできない。
むしろ、この方の為ならと思わせられる気持ちが湧いてくる。
とても不思議な人だったのだ。
「お前達…ありがとう。」
「では鉄星様…大会までに準備を進め大会をこの『邪教団、悪翔』チームで参加いたしましょう。」
リオちゃんの言葉に皆が頷く。
それから私達が神を崇めるようになる。
神を信仰する事で次第に鉄星様から黒い力を授かる。
こうして私達はマジェスト大会へと出場する事になったのです。
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