チェンウォン世界編シーン40
ここはチェンウォン北の大地のとある街。
「うぎゃーーーーーーーーーーっ!?」
「な!?なんだあの化け物は!?」
人々の断末魔の叫び声と恐怖に怯える声。
街中の至る所でそんな声が飛び交う。
ものの数時間前まではこの街はとても平和で街人達もいつも通りに笑顔溢れる街だった。
だがやつは。
あの恐るべき悪鬼は突然街を覆うように暗雲をもたらす。
そして…姿を見せると。
一気にこの街中を飛び交い建物をなぎ倒し人々の血肉を食らっていった。
一瞬で地獄絵図と化したこの街は。
たった数分で廃墟と化したのだ。
『クククク……呆気ない……実にあっけないのお……ここには強者がいなかった…まああの会場内にいたのがやはりこの地の強者の全てだったか。』
すると。
そこへ現れたのは一人の男。
「俺の名は朝明……お前を張っていた…俺の能力は少々変わっていてな…貴様の足音を辿りここでいち早く待っていたという事だ…。」
「フン……ならば貴様がこの俺を楽しませてくれるというのか!?」
「ああ……俺はこれでもマジェスト武術会の前大会優勝者なんでな。」
「ほお!?それは楽しみだのお」
すると朝明はその背から一本の槍を取り出していく。
そして構える朝明。
「いくぞ化け物…我が仙神……王蜂の最強の毒針を食らうがいい。」
次の瞬間…朝明の背後から現れた昆虫の中でも最強種……オオスズメバチ、これが朝明の魔神。
すると檮杌はニヤリと笑みを浮かべる。
『くるがよい。』
檮杌のその声でダッと地を蹴り奴に攻撃をしていく朝明。
朝明の槍が檮杌の頭上から迫る!!
「はあーーーーーーっ!?もらったーーーーーーーーーー!!??」
すると檮杌は目を閉じる。
「観念したか!?そのまま散れ!!」
『ポイズンプレス!!!!!』
巨大化した王蜂が檮杌の身体にその針を突き刺した感覚!!
『んん!?』
ズブリという刺したであろう音が聞こえる。
そしてそのまま毒まで注入しようとする。
「ふん、俺の王蜂の毒は巨象をも倒す力を持つ猛毒…そして魔神にも効くように改良された猛毒だ……貴様に耐えられるか。」
するとその毒の効果が現れたのであろうか。
檮杌の身体がドクンっと跳ねる。
「ようし!!きたか!?化け物といえど俺の王蜂の猛毒は全身に駆け巡り…そしてあらゆるものの生命を止める。」
ビクッビクッとその身体を反応により跳ねさせる。
まさに猛毒のその反応だ。
すると。
ドクンッと大きく跳ねる檮杌の身体。
「そのまま毒の進行により消えるがいい……化け物め。」
『ぐはっ!?があああっ!?』
奴の口からぴちゃっとはね飛ぶどろりとした血液。
それはやはりこの怪物にダメージを与える事ができたのか!?
朝明は奴を見やる。
「どうだ!?やれたか!?」
ピクピクと震える檮杌。
だが、このまま朽ちてくれと願わずにはいられない朝明。
『はあはあ……はあはあ…お前……人間にしては中々やるではないか。』
「ふん……それがどうしたというんだ!?」
『俺はな…生まれ落ちてからずっと強さの探求をし続けてきた…人間とは得てして弱い存在だ…我らが力を持ってすればたちどころに死んでしまう。』
「………………………。」
『お前も確かに人間としては強い部類ではあるだろう……だが。』
檮杌は残念そうに顔をしかめると。
『ここまでが限界なのであろう…。』
「なんだと!?貴様そこまで俺に攻撃に瀕してるくせにどこからそんな言葉が出てくると言うんだ!?」
『はあ………』
深いため息を着く檮杌。
そんな檮杌に怒りを覚え初める朝明。
朝明はその槍を再び握る。
目の前のこの化け物の言葉、それは朝明の心に怒りを与えるには十分過ぎたんだ。
『貴様は、弱いなあ…本気を出したら直ぐに壊れそうだ。』
「ならば食らうがよい……我が奥義をもって貴様にトドメをさしてやろうぞ。」
朝明の槍がきらりと光る。
そして頭上には戦闘態勢の王蜂が羽音を立てて滞空している。
「はああああーーーーーーーーーーーっ!?」
『クククク……そろそろ俺も少しの本気を見せようぞ…。』
檮杌の身体からドス黒い煙を発していく。
モヤとなったドス黒いが檮杌を包んでいく。
「この俺の奥義を食らうがいい!?」
「させるか!?この俺の技で断ち切ろう!?」
朝明の槍にも光が集まる。
そして檮杌のモヤからも何かの武具が姿を見せてくる。
それは恐るべき魔神具。
『如意棒』
如意棒と呼んだ魔神具を手にする檮杌。
「キラービーショット!!」
『如意煉獄』
◇
◇
◇
檮杌VS朝明。
果たして!?