チェンウォン世界編シーン36
俺の目の前でサキノは獣化していた。
そう、今更ながら気付かされたがサキノは俺のためにこうして獣化して。
俺はそんなサキノに目を向けると。
サキノはその身体を変貌させあの悪鬼である窮奇の前に立ちはだかり唸り声をあげる。
『うううぅぅぅぅ。』
窮奇はその光景にサキノに視線を向ける。
「サキノちゃん!?」
「気をつけて!?」
ジオウとテンテンもサキノを見て声をかけるもサキノには届いてないようだ。
俺はサキノに声をかけてみる。
「サキノーーーーー!?」
俺の大声にサキノはピクリと耳を立て反応した気がする。
「俺さ……本当にごめんな…やっぱりサキノの事ちゃんと理解してなかったな。」
「くうううぅぅぅん。」
首をかしげ、そう反応してくる獣化したサキノ。
すると醜悪な声が聞こえてくる。
『おいおい……お前達、何を言ってるんだ!?』
窮奇はその巨大な口の端からヨダレを垂らしそうつぶやく。
「おい!?化け物!?」
「貴方もまたこの地の悪神の一人…あなたも当然私達マジェスト協会の敵です!?」
ハオユーとリーファの魔神も次はまた窮奇を倒そうと身構えていた。
そしてまた、ジオウとテンテン、なんとそこにはこれまで戦ってきた敵であったマースの姿も。
「テンテン!?今は共闘だ!?やつを倒すには皆でかからねえとキツそうだ!?」
「ありがとうマース!?」
そう、この会場にいる力のある者はこの窮奇の存在に危険を感じる事だろう。
「いい友達だなテンテン!?」
「お兄ちゃん…うん!!!」
こうして会場内で戦える者は窮奇を倒す為に立ち上がったんだ。
すると。
俺達の上空より低音の化け物の声が聞こえてくる。
『お前ら……どうやら本気でこの俺様を倒そうとしているらしいな!?』
「……それがどうした!?」
『笑わせすぎなんだよ?』
「は!?」
『お前ら…さっきの渾沌をしとめられたから…この俺様も倒せるなんて思ってるんじゃないのか!?』
「何がおかしい!?」
俺のその声に窮奇が応える。
「その怠慢……我らは神ぞ!?人間の力が神であるこの俺様に通じるとでも思っているのか!?」
その時。
ぎゅーーーーんと飛び攻撃を開始したのはテンテン、ジオウ…そしてマースの魔神三体の攻撃だ。
「はあああーーーーっ!?ビートルスピアー!!」
ジオウのビートルは角を槍へと変化させ突きを放つ!!
「私だって!?スタッグビートル!!!」
ジオウに続きテンテンのクワガタの鋏はギラギラと光らせ襲いかかる。
そして二人の魔神を追うマースの巨大アリが窮奇の身体をその手で抑えていた。
「うおおおーーーーー!!化け物ーーー!!」
『なにっ!?』
「はあああーーーーっ!!!!!」
そのまま怪力で窮奇を放り投げる。
窮奇の身体は宙に舞う。
「おお!!凄い!?」
「マース!?凄いよ!?」
「おおっ!?さあ俺達ならやつにもきっと倒せるさ!?」
「よし!!僕達も!!???」
「うん!!はあああーーーーっ!!??」
ビートルandスタッグビートルが宙に浮く窮奇にい攻撃!!???
ドカドカっと攻撃をくわえていく二人の魔神。
『ぐっ!?くっ!?鬱陶しいな……』
奴の身体が青く光っていく。
「なら私達も!!??」
「ああ!!いくぞ!?リーファ!?」
さらにリーファとハオユーの魔神も飛び上がっていく。
その時。
『ぐあああああああああああーーーーっ!?』
咆哮は周囲の人々の行動を止める。
するとゴゴゴと地面より何かを感じる。
『ククク……いつまでも……調子に………』
そういうとピタリと地鳴りは鳴り病む。
『のるなーーーーーーーーーーー!!???』
次の瞬間。
地面より吹き出した大量の水。
それはやがて巨大な水の虎数体に形を変える。
そしてその巨大な虎が襲いかかってくる。
「これは!?」
「やばいわ!?きゃーーーーっ!?」
仲間達に襲いかかってくる窮奇の能力の水の虎達。
するとヘキサが叫ぶ。
「お兄さん!?」
「ヘキサ!?どうした!?」
「サキノちゃんの様子が!?」
「なにっ!?」
サキノは突然、その身体を震わせていた。
「やばいよ!?このままじゃ!?」
「ヘキサ!?どういう事なんだ!?」
「うん…きっと……敵の力が大きすぎて、獣化と激しい力を出さなきゃっていう事で彼女の中で戦ってるのかも!?」
「なっ!?どうすれば!?」
するとヘキサがつぶやく。
「お兄さんの力で止めて上げて。」
俺は構える。
ガルルと唸り声を上げるサキノ。
俺はサキノを見つめる。
『雷武……俺はまた。』
『ああ……わかった。』
雷武のその声を聞き。
俺は解く。
『竜人転移。。。』
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