チェンウォン世界編シーン34
会場内は渾沌という化け物が倒された事で歓喜の言葉で溢れかえる。
だが、その功労者である鉄星…そしてリオ、カルマ達もいつの間にか、この会場内から姿を消していた。
『おおーーーーーーーっとこれは凄い!!なんと、あの怪物渾沌の登場に会場内も一時騒然としましたがなんと全員の力で追い払う事ができました!!そしてその最たる功労者であるチーム『『邪教、悪翔』』の代表、鉄星さんがトドメを刺してくれたようで…あれ!?でもチームの全員がこの会場内から姿を消してしまいました!!??』
アナウンサーのその声に会場内は盛り上がる。
◇
「凄かったですねお兄様!?」
「確かにマジェストではないと言っていたがあの老人の能力は凄いものだったな。」
ジオウとテンテンがそう呟く。
するとハオユーがこちらに。
「ジオウ様…テンテン様…僕はマジェスト協会のロンレイ様の一番弟子のハオユーです!以後お見知り置きを。」
「ああ…それでロンレイ様はどうなんだ!?」
「はい…封印の洞窟は埋まりましたがそこからヤシュア様とともに救出、今はヤシュア様が保護を。」
「わかった…ならばジオウ国からも人の手配をしておく。」
「ありがとうございます。」
そう二人は話すと話は着いたようだ。
「ならばこの場から皆でロンレイ様達の元へ向かうべきだろうか!?どうする!?」
「そうね…まずは二人の安全を最優先にするべきね。」
ハオユーとリーファもその方向の考えのようだ。
「まだだ。」
俺はそう呟く。
ここにいる皆が気づいていないようだが…さっきから嫌な気配を何処かからか漂ってきていたんだ。
「お兄ちゃん!?」
「ああ…なにかきてるきがしてるんだ…どうだ!?」
するとポンッとシッポを伸ばし気配を探り始めたのはヘキサだった。
ヘキサは耳とシッポを立て……気配を。
「うああああああーーーーーっ!?きたきた!?皆!!?逃げて!!!????」
大声をあげたヘキサ!!
その声は会場内に響き渡る。
『カーーーーーーーーーーーーーーーッ!!』
何者かの大声がヘキサの大声をかき消してしまった。
すると。
ドンっという威圧感。
空間内にはビリビリと力を感じる。
その時。
どんよりと空が一瞬で陰り、そして会場内は暗雲で包まれる。
次の瞬間。
ザーーーーーーッと天からスコールのような激しい雨が降り注ぐ。
「なんだこの雨は!?」
「やばい!!!???激しすぎる!!」
「これは!?」
強力になるにつれその力は物質を穿っていく。
「う!?うああああああーーーーっ!?」
激しい雨に貫かれた誰かが叫び声をあげ死んでいく。
何もない者達が次々とこの天からの大惨事に身体を貫かれ絶命していく。
「うぎゃーーーーーっ!?」
「ぐはっ!?」
俺達マジェストは魔神で防げてはいたが他のもの達は。
「屋根のある中に移動だ!!??」
「いやあーーーーーーーっ!?」
人々がパニックで我先にと逃げ出していく。
すると俺達の目の前にあのカルマ達と戦った孤児院の兄妹達の姿が。
「ほら!?皆にげろ!?」
「お兄ちゃん!?」
四人は今のところ無事だったようだ。
そして三人は屋根の下へと移動する。
「キャッ!?」
すると一人の少女が転んでしまう。
「!?」
兄が助けに行こうとしたその時。
ドンッと目の前に立ち塞がる怪物が現れる。
「ぐははは……我は窮奇……悪神の一人である……貴様らはなぜ我が雨に貫かれぬ!?」
「ひいいっ!?」
少女は身を捩り恐ろしさに震える。
「!?」
「お兄ちゃん!?」
「人間……以前、我々を封じたのも人間だ…神であり万物を好きに支配していたあの時…神であり好きに暴れることができていたあの時を封じそしてこの地に閉じ込めてきたその所業に神として決して許す事はできぬ…。」
窮奇といったその化け物は巨大な虎の容姿。
「ククク……貴様らが先に倒したのであろう我が同胞である渾沌……奴がこの俺様を起こす為にその身を投じてくれたのだ…貴様らにはその罪を被りそしてその生命で償って貰う事としようではないか。」
先程の渾沌という化け物は自分の消え去る事にどうやら同胞のこの化け物を復活させたらしい。
「まずは。」
ギロリと窮奇は転んでしまった少女に目を向ける
ぐばっと開いた大きな口はまさに怪物なんだ。
恐ろしさに震える少女。
「まちなさい!!??」
両手を広げ少女を庇うように立ち尽くしたのは。
「サキノ!!???」
「この子達は私が守る!!???」
そして一難去ってまた一難。
この地にまたしても怪物が登場してしまったんだ。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。