チェンウォン世界編シーン33
渾沌の暴走の前にいざ鉄星が前に出る。
ジオウ、テンテン、リーファ達も渾沌の暴走を止める為に戦いを繰り広げている。
そして俺も。
そんな中…鉄星もまた。
「鉄星様………」
「リオ…持っていてくれ…そして我が『倚天剣』を。」
「はい…鉄星様。」
リオは鉄星の脱ぎ捨てた衣服を持ち…そして鉄星に一つの剣を渡す。
その剣を手に掲げる鉄星。
そして俺に言葉を返す。
「小僧…ワシは…かのヤシュアとは違い魔神との契約はできなくてな…正式なマジェストではない…だが長年をかけ、修行により魔神の力を利用できるという能力を得ておる…見るが良い。」
そう言うと鉄星は『倚天剣』を掲げるとその身体から闘気のような力を漂わせてくる。
するとカルマは先程の少年たちの魔神具を差し出す。
「あれは……」
「さっきの対戦相手の魔神具だよお兄ちゃん。」
サキノがそう告げる。
すると鉄星は口を開く。
「我が力で…この魔神の力を解放す……ワシの力となるがよい。」
ズズズと魔神具であるナイフから何かのモヤが溢れだしてくる。
その魔神は鉄星の背後に姿を現してくる。
「魔神が鉄星に!?」
「お兄ちゃん!!みて!?」
少年たちの魔神はナイフより姿を現し、だが主であるはずの少年たちでは無いことに戸惑っているように見える。
すると魔神に鉄星の放った何かは魔神を取り込んでいく。
そして。
『グギャーーーーーーーーーッ!!???』
「よし!!ゆくが良い!!その力であの化け物を足止めせよ!!」
鉄星の魔神と化した鬼は化け物渾沌に襲いかかっていく。
『魔神捕縛!!???』
ガキイイイーーーーーーーンっという音をたて渾沌を足止めしてしまった鉄星。
「な!?あいつ…………」
俺の言葉にリオとカルマが口を開く。
「鉄星様……既に魔神が見えるようになったのですね?」
「ああ……これは……やはりお前達に出会い共にいる事でワシにもどうやらマジェストの力…僅かずつだが吸収できているようだ……素晴らしい。」
「それはおめでとうございます!鉄星様のお力になれている事…嬉し思います。」
そう嬉しそうにいったリオ。
その時。
「うおおおおーーーーーーーーーーっ!!今が好機!!」
「怪しい教祖かと思ったけど、今は助かります!!」
ハオユーとリーファの魔神は渾沌を撹乱していく。
足止め動けない渾沌は焦りながら鉄星の呪縛をとこうと藻掻くが簡単には動けなかった。
『貴様……何の真似だ。』
「フン…ワシは鉄星…この世の真理を説く男である…だが……貴様らを倒すにはどうやら魔神の力が絶対に必要なのだがワシには持ち合わせていなかった…」
『ならば…我を倒す事は叶わぬようだな…。』
渾沌はそう聞くとガバッとその巨大な身体を変形させ巨大な野獣の口を広げる。
「鉄星様!!??」
「いけない!?今私達が…」
リオとカルマは構えると飛び出しかける。
すると。
口から血を滴らせた鉄星はニヤリと微笑む。
「おお…いや…大丈夫じゃ二人とも。」
倚天剣を握りしめる鉄星。
「ククク……ワシは…この娘達に力を貰った…これは凄い進化じゃ…これまでこうして魔神具を握ったとて、マジェストではないワシは、ここまで魔神とのシンクロは有り得なかった…ワシは今猛烈に感動しておる!!」
どうやらこれまでマジェストになれなかった鉄星はマジェスト同様の力の獲得に感動しているみたいだ。
「今ならあのヤシュアにも負けないだろう。さあこのワシが。」
ドオオオッと闘気を溢れさせた鉄星。
すると魔神と同化した鉄星。
「魔神と同化できる人間…あれが修行による鉄星の能力。」
「お兄さん…人間でそこまでできるなんて…もうあの男も只者ではないよ?」
「そうだなヘキサ。」
俺達の前であんな能力を見せつける鉄星。
俺もその凄さには共感する。
その時。
「うおおおおーーーーーーーーっ!!???」
バキっとやっとの思いで呪縛を解き全体に攻撃を繰り出す渾沌。
「うわっ!?」
「何かくる!?」
『ククク……もう自由になったな…食らうがいい。』
『倚天剣!!!?!?』
恐ろしい力が放たれた!????
会場内は光り輝く。
『ククク…馬鹿な人間どもめ……なにっ!?』
「はああああーーー散れーーーーーーー!?」
『ギャーーーーーーーーーーーーッ!!!』
鉄星と渾沌の大声が聞こえた。
すると。
会場内に発した光は徐々に収まっていく。
そして。
いつしかそこには渾沌と鉄星。
そしてリオ、カルマ達の姿も消えていたんだ。
「これは……」
「渾沌も消えている…あいつが倒したのか!?」
「「うおおおおーーーーーーーーーっ!!」」
会場内に歓声が響き渡る。
渾沌は倒された…が、その時。
俺達は何かの更なる力を感じたんだ。
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