チェンウォン世界編シーン32
渾沌の何かにより地震が起こる。
大地が震え会場内一体が激しく揺れる。
「化け物め!!」
『暴崙暴崙』
ドゴゴと激しい地震。
地震による被害は会場内にいるもの全員に等しく訪れる。
恐るべき怪物のスキルだろうか。
激しい地震に俺達は立っているのが精一杯だ。
「うっ!?くっ!?さすが化け物といったところか。」
するとアナウンサーがかろうじて声を上げる。
『うわっ!?なんですかあの怪物は!!?キャッ!?』
俺はアナウンサーである彼女を支えていた。
『えっ!?あ!クロノ選手……ありがとうございます!!』
「いいさ、それよりアンタはどう見ても戦いとは無関係そうだったからな…一先ず俺の仲間達の元へいこうぜ。」
『あ…はい。』
そう言うと俺にしがみついてくるアナウンサー。
しゅんっとその場から消え俺はサキノ達の元へと転移する。
「よし!!ここなら一先ず大丈夫だ。」
『はい!!ありがとうございます。』
俺を見ているアナウンサー。
俺は足をつけさせる。
が。
中々離れないアナウンサー。
『クロノ……選手……私はアナウンサーのカンナといいます!よろしくお願いしますっ!?』
「おう!!カンナよろしくな!?」
俺達がそんな会話をしていると。
「コホン!今はそんな話をしてる場合じゃないよ!?」
サキノがそう叫んでいた。
すると怪物渾沌は咆哮を上げる。
ぐおおおおおーーーーーーっと会場内に響き渡る奴の大声そして力なき観覧者達が逃げ惑う中に飛び出していく。
「うあああっ!?怪物が!?」
『ぐははは!!お前達も実に美味そうだ。』
渾沌はそう一言つぶやくと。
ぐしゃっと一瞬にしてその男を食らってしまう。
そこには男の下半身だけが残り崩れ落ちてしまう。
「うわっ!!食われたーーーーーー!?」
その声を皮切りに奴の食事は始まってしまう。
会場内が阿鼻叫喚の惨劇の現場に変わる。
そこに降り立つのは能力によって滞空している二人の姿。
「さあ!!そろそろ本気と行こうか!?」
「ええ!!いくわよ!ハオユー!?」
ドシューっと羽根を広げ飛び出す二人。
「私達もいくわよお兄ちゃん!?」
「ああ…このまま放置してる訳にはいかないからね。」
ジオウとテンテンも魔神具を手に構える。
「「いくよ!?渾沌!?」」
だっと勢いよく飛び出した二人は渾沌に攻撃を開始する。
巨大なカブトムシの魔神とクワガタの魔神も羽根を広げ渾沌に立ち向かう。
『方天画戟!!??』
『角礫トンファー!!』
四人は渾沌へとその力を振るう。
渾沌は巨大な犬の姿。
その化け物に飛びかかる昆虫達といったところだ。
そして俺達も立ち向かおうとすると。
テンテンの友人もやってくる。
「よし!!テンテンもあんな敵相手に頑張ってるんだ、俺達も戦うぜ!?」
『マース』はそう言うと手に魔神具を構えテンテンのサポートで飛びかかっていく。
「テンテン??今行くぞー!!!!!」
『!?ありがとう??』
すると俺達の視覚に。
「鉄星!!???」
そう、カルマ達が立ち尽くし渾沌を見ている。
俺は。
「お前達も戦うつもりか!?」
すると老人である「鉄星」は口を開く。
「ふっふっふ……そうさのお……あの化け物が我々の敵となるのであれば……だ。」
するとカルマとリオは口を開く。
「そうですね……鉄星様への攻撃があったその時は…私達は盾となり戦います。」
「うんうん!!カルマさん分かります!?私のこの生命は鉄星様のものです…だから私達は強くなったんです。」
そう言い放つカルマとリオ。
「カルマ……リオ。」
すると鉄星はニヤリと微笑みつつ口を開く。
俺の心配を他所に二人は教祖である鉄星を守っている。
俺は鉄星に問う。
「鉄星……お前の目的はなんだ?カルマ達にばかり戦わせて恥ずかしくねえのかよ!?」
「……何がいいたい!?」
「そのままだよ……教団をやってるんだろうけど…いつか…自身の力の無さに失望されるんじゃないのか!?」
俺はそう言うとリオとカルマの目は鉄星をじっと見ている。
「ほう……何を言うのかと思えば……小僧…面白い事を言うではないか。」
「こんな状況なんだ…戦える力があるなら協力してくれよ…。」
俺は魔神具を握りしめると。
飛び出す。
「クロノ!?」
サキノの言葉を背中に感じる。
「うおおおおーーーーーーーーーーっ!?」
俺の刃と化す雷武。
◇
「ヤツめ…ワシの力がそんなに見たいのか。」
「鉄星様!?」
「私達も。」
「リオ…カルマ…お前らは待っておれ。」
バサーーーーーーーーーーっと服を脱ぎ捨てる鉄星。
「そこで、ワシの戦いを見ておれ…小僧にもお前らにも…ワシの力を見せてやる。」
◇
◇
◇
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