チェンウォン世界編シーン30
ジオウとテンテンの戦いは始まった。
敵である『マース』と『ウッズ』の攻撃が繰り出されテンテンとジオウは躱す事で精一杯に見える。
すると。
『おおーーーっと!!二人の魔神はパワーあふれる昆虫の二大巨頭がモチーフの魔神!!これはめちゃくちゃ強そうです!!』
アナウンスの声につい俺も声を漏らす。
「おおーーー!!あれは強そうだ!?」
俺達の目に映ったテンテンとジオウの魔神は何とカブトムシ、そしてクワガタの魔神。
「かっ………」
「な!?どうしたのお兄ちゃん!?何か変な物でも食べたの!?」
サキノは心配そうに問いかけてくる。
「かっこ……いい。」
「えっ!?」
カブトムシとクワガタという少年にとっては憧れの存在なんだ。
それが魔神だなんて。
俺は目を輝かせてしまっていた。
「もぉ…お兄ちゃんって本当に子供なんだから。」
呆れた顔をしているサキノがそう呟く。
「よおおおーーーーし!!きたきたーーーー!!さあ!!勝負だテンテン!!」
「私も負けないんだから!!」
二人の武器と武器のぶつかり合い!!それに呼応した魔神VS魔神。
「さあ!!じゃあ、修行して編み出した新しい技でテンテン!!お前のクワガタ魔神を今度こそ仕留めてやるぜ!!」
「なんの!?」
ガキイイイーーーーーんっと衝突したのはクワガタVS巨大アリ!!
方天画戟VS流星錘。
『マース』は流星錘を振り回しテンテンへと激しい攻撃を繰り出していく。
「はああああーーーーーっ!!バリアントアント」
巨大アリは超…加速!!テンテンのクワガタに突撃する。
「くっ!?早いっ!やるわね…でも。」
テンテンは方天画戟を振り回していく。
徐々にバチバチとクワガタの牙先に纏っていったのは「電気」の力。
『サンダーボルト』!!!
ズガガガーーーーーーーーーーンっとマースの巨大アリを電気ショックで痺れさせ…巨大アリはピクピクと停止してしまったんだ。
そしてテンテンのクワガタが勝利したんだ。
すると。
既に巨大な角の一撃を受けていたサソリがカブトムシの力に倒されていたんだ。
「クッソーーまた負けちまった。」
全身の衣服を電気ショックで燃やされ…悔しがり叫ぶ『マース』
するとテンテンは『マース』に手を出す。
「いい勝負だったわ!!また勝負しようね!?」
「ああ!」
ガシッと握手をし。
そして微笑み合う二人。
『勝負!!一試合目はクロノチームの勝利です!!』
そしていよいよ俺とサキノが前に出る。
すると敵チームの後衛の二人は怪しげな声を上げる。
「くくっ……いよいよですね…」
「ああそうだな。」
『マース』のチーメイトであるはずの男二人は何かを含んだ言葉を残す。
そして俺達の前に現れると。
「くくっ……行くぞ……貴様らは実に興味深い相手だった…はああああーっ。」
そう言った一人の男は力を溜めていく。
二人の背後から現れたのはまるで大型の獣二体だった。
「獣人だねお兄ちゃん。」
「そうみたいだな。」
俺達の前に立つ二人はみるみるうちにその身体を獣化していく。
そして俺達の前には大型犬の獣人、そして一人は熊の獣人。
犬の獣人は魔神具を口に咥え込む。
そして熊の獣人はその手からシャキンっと長く鋭い爪を立てる。
「魔神魂犬」
「魔神獣熊」
二人は強烈なパワーを放つ。
獣人ならではの戦いに。
スーッと前に出るサキノ。
「サキノ!?」
「お兄ちゃん…大丈夫だよ…二人で…戦いたい。」
俺に目を向け微笑むサキノ。
俺はサキノの隣に立つ。
俺の手には雷武が刀身と化した刀が煌めき輝く。
そしてサキノの持つ絵筆からは虹色に光る絵の具が光り流れていく。
敵対する獣人達が身構えると。
ドンッと地を蹴り向かってくる獣人二人の身体にスーッと消え入って行く魔神達。
獣人さながら身体を倍化させ襲いかかってくる。
二人がかりでサキノに襲いかかる。
「サキノちゃん!?」
「危ない!?」
その時、俺の刃はゴーーーーッと燃え上がる。
そして雷武の身体が人化し。
二人を殴り飛ばす!!
ドゴンっと吹き飛ぶ獣人達。
「ぐうおっっ!!??」
「なん……だと。」
「いけ……むすめ。」
「雷武ちゃん!?うん!!」
サキノが宙にスラスラと絵を描いていく。
すると絵から何かが飛び出していく。
「お兄ちゃん…サキノだってお兄ちゃんの為なら強くなれるもん。」
「サキノ。」
サキノがそう言うと飛び出した何かが降り立つ。
それは今までレベルスリーまで進化していなかったサキノと彼女の魔神カラーウルフの成長だった。
美しい七色の身体のカラーウルフ。
『いくよ……カラーウルフ……レベルスリー。』
『七色狼』
そして敵はサキノの力によりその身を焦がしたのだった。
「「うぎゃーーーーーーーーー!!!!!」」
こうして俺達の勝利に終わる。
『おおーーーーー!!まさかのサキノちゃんの圧倒的な能力によって…勝利はクロノチームです!!!!!』
そして…クロノ達は決勝へと駒を進める。
しかし。
その時、敵の一人に異変が。
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