チェンウォン世界編シーン25
俺の戦いのゴングが鳴り響く。
『うおおおおおーーーーーー!!やっちまえーーーーーーーー!!!!!』
『さあ…行くぜ雷武。』
俺の背後には誰もが恐れるドラゴンが出現する。
そしてそれは俺の握る刀の刃へと変化していく。
すると会場内の誰かがつぶやく。
「な……あ…あれが……魔神具……そして恐るべきドラゴン……今や伝説となっている……竜人だとでも言うのだろうか…。」
その声が会場内に響くと…これまで散々俺に罵声を浴びせてきたヤジ、罵詈雑言もピタリと止む。
『おおーーーーーーっと!!ここでクロノ選手の魔神具が登場!!これはなんとあの今では伝説となった竜族『ドラゴン』が魔神だったのです!!』
◇
「あれが……クロノさんの魔神」
「そ……そうみたい……だな。」
王子ジオウそして王女であるテンテンの二人は今や仲間でもある俺の魔神に驚きを隠せずにいた。
そしてリーファも口を開く。
「サキ……ノちゃん……あれがクロノ君の魔神…雷武…なの?」
「うん!!そうだよ!!あれがお兄ちゃんの魔神雷武ちゃん…すっごく強いんだよ!?」
サキノが満面の笑みで自慢げに返答する。
「リーファちゃん、どうしたの?」
「いえ…ただ……彼が一人で戦うと言った理由が今分かりました……あれは……」
リーファは俺に視線を移す。
「規格外……ね。」
◇
「くっ!?小僧!!???お前…なんだその魔神は!!!???」
「はあ??なんだって言われても…俺と魔神の……雷武だ。」
俺の敵である男達は雷武の凶悪さに驚きを隠せないようだ。
男達はジリジリと俺との距離をとっているようだ。
すると一人の男はぶるぶると震えている。
そう、こいつはサキノに声をかけてきたゲスだった。
「な……なあ……さっきのはちょっと冗談だったんだ!!その子の育ちがあまりにも良すぎて俺もちょーっと調子に乗ってしまったんだよな!」
男は焦りながらもそう口にする。
「っと!!君!?こいつ、「ロドリゲス」の事をゆるしてやってくれないか!?」
するとサキノに声をかけてきた男はよく見るとヘタりこんでいたんだ。
そして…奴のへたりこんだその地面にいつしか水溜まりができていたんだ。
男はそんな声をあげてたのだが。
うわっ!!あいつ漏らしやがったぜ。
観客の中の誰かがそう言っていたんだ。
「あ……ああっ!?」
漏らしてしまい目からは涙…そして鼻からは鼻水を垂らし恐怖に怯える男。
そんな恐怖に怯える男に俺は既に刃を振るう気にもならない。
「まあいいか……。」
呆れ顔の俺は踵を返し立ち去ろうとする。
『おおーーーーーーっと!!なんとクロノ選手の魔神に恐怖に怯える「『暴露』は」チームの面々!!これはクロノ選手の勝利という事でよろしいのでしょうか!?』
アナウンサーのその声に会場内はブーイングの嵐だ。
すると。
なんと会場内の声が変化する。
「「うおおおおおーーーー!!???」」
「「やっちまえーーーーーー!!今だ!!」」
『おおーーーーーーっとここでクロノ選手の相手チーム全員が魔神具を取り出し構えるーーーーーー!??これは汚い!!卑怯!!!でも試合は終わってはいなかったのです!!!!』
「おらーーーーーーーーーーっ!!??」
「やっぱりガキだったなーーーーー!!??」
「俺達をなめてるからこうなるんだ!!!」
「死ねーーーーーーーーーーーーー!!??」
俺が振り返ると四人全員の魔神達が一斉に現れ俺に襲いかかってきていた。
俺の視界に敵チームの四人の姿が映り込む。
その時…魔神具の刀身である雷武が吠える。
グオオオオオーーーーーーーー!!!???
敵を背後に刀を構える俺。
「お兄さん!?」
「クロノーーーーーー!!!」
ヘキサとサキノの声。
俺は瞑っていた目をスーッと開いていく。
目で見なくても奴らの動きが手に取るように見えた気がした。
二名の刃が俺にとどこうとしている。
スーッとかわすと更に二名が高出力の魔法を放ってくる。
手を目の前に出すと魔法を吸い込んでいく雷武。
エネルギーを吸収した刃は更に巨大化している。
『武神流……『迦滅竜』』
男達は目を見開き…時が止まった感覚。
俺が振るった巨大な刃は。
男達の全てを斬り裂く感覚。
動けず停止する男達。
次の瞬間。
「「うぎゃーーーーーーーーー!!!!!」」
カチリと俺の刃は鞘の中に消えていく。
そして男達の姿は世界から消えたんだ。
「ふぅぅ……だから最初から大人しくしておけば…良かったのにな。」
「「うおおおおおーーーーーーー!!!」」
『勝者!!クロノ選手!!!?!』
こうして俺たちは一回戦を終えたんだ。
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