ライブ配信シーン28
ヤシュアは魔王ゼルドリスの復活を目の当たりにしていたのだった!
ヤシュアの回想より…。
この国の兵と…王…そしてヤシュアの目の前に現れた世界の脅威「魔王ゼルドリス」
ゼルドリスの周囲の空気はバチバチと音を立て魔王ゼルドリスの力の激しさを物語る。
すると突然震え出すゼルドリスの仮の姿の大鎌…。
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
ゼルドリスであろう大鎌が光り輝き出す!
「うがああああああぁぁぁーーーっっ!!!」
一瞬辺りは光で何も見えなくなる!!
そして、光は止んでいく。
◇
◇
◇
ヤシュアが目を開けれるようになると大鎌はなんと……。
人型…いや……言葉で表すならば魔王の風貌を兼ね備えた一人の男が立っていたのだ。
ヤシュアの身体は震え出す。
人の本能…いや…動物の本能と言うべき身体の恐怖を感じた自己防衛反応なのだろう。
(あれは…正に化け物…じゃ。)
するとゼルドリスは自分の両手を広げ指を動かし観察している。
「ふ…フハハハハハハハハ……動く…動くぞ…ようやく勇者の力が消え去ったか!?」
正にヤシュア達の目の前にいるのは圧倒的な力を秘めている事が戦わずして分かる…恐ろしい魔神だったのだ。
ヤシュア達が動けずにいるとそこへ激しい風が吹き付ける。
ゴオオオオオーーーッ!!
またもや目を開けれぬ程の風が吹きつける!!
すると魔王の前に突然現れた一人の男の姿。
男は魔王の前に立ち尽くしていたのだ。
「おお…ようやく解放されたか…魔王ゼルドリス。」
「ん?お前は……。」
「俺の名はサーヴァス…魔王…復活の依頼を受け…ようやくこうして貴方様を解放出来たのです。」
「そうか…此度の件本当に大儀であった…しかしその方の依頼者とはどなたかな?」
「今はまだ何も…これから俺とその方の元へと向かう事にしましょう…。」
飛脚の魔神サーヴァスがそう言うと魔王ゼルドリスはニヤリと笑う。
ワシ含めそこに居た人間達はピクリとも動けない…そんな恐るべき状況だったのだ。
すると飛脚の魔神はその身体に光を纏う。
続くように光は魔王も包み込む。
ズゴぉぉぉーーーっ!!!
爆風が辺りに巻き起こる!!
「うぐっ!!」
「「ぐああああっっっ!!」」
ワシは王を守り風に耐える!!
すると次々と爆風に巻き込まれる兵士達!!
やがて魔王達は爆風と共に消え去ったのだった。
◇
◇
◇
「ワシらは王と共に魔王復活の一部始終を見る事になったのじゃ…そして魔王去り後…魔王を追うように数個の光が飛び去ったのじゃ…これは魔王の配下と思われる力達…。」
「ヤシュア様…そんな事があったのですね。」
「この事は王により世界へと伝えられたのじゃ…そしてワシはカルマちゃんに出会い、今ではクロノとサキノとまで一緒に…これは我々マジェストの運命と言ってもいいだろう…マジェストは魔神具によって引かれ合う運命なのかもしれぬ…。」
ヤシュアは少し考える表情をすると口を開く。
「よいか…これは我々…マジェストの運命として魔王ゼルドリス討伐の命をこの世界より受けた事になったのじゃ…マジェストの中には我々の事を好意に思う奴らもいればゼルドリスに従い我々を襲ってくる奴らもいるであろうな…危険な旅になる…。」
ヤシュアはそういうとふぅっと一息つく。
そして俺達を見返す。
「三人共…ワシには元からマジェストとしての使命というものがある…実は元々…ワシの父親がマジェストだったのじゃ…トーンウィングも父より受け継いだ力なのじゃ…そしてワシの魔神具『導きの笛』は魔王討伐の為のマジェストを導く魔神具なのじゃ…。」
「ヤシュア様にはそんな使命があったのですね。」
カルマはそう言うとヤシュアは頷き続ける。
「じゃが…運命とはいえ……強制はせん…カルマちゃんは両親を探す為にいい条件には確かになる…サキノもまだまだ幼い…村に戻って平和に暮らすのもいいと思う…そしてクロノに至っては別世界の人間でもある…三人共ワシと運命を共にしなくてもよいのじゃぞ…。」
そう言ったヤシュアの顔はどこか寂しげには見えた。
すると俺のヘッドホンからコメントが入る。
(クロノ!危ない事しなくていいから帰ってきて普通に暮らそうよ!)
(そうだぜ!俺達も異世界は楽しんだしまた楽しい配信してくれればいいじゃん!)
(俺だったら帰ってくるな!うん!)
するとサキノが答える。
「サキノは皆と一緒がいい…お父さんもお母さんも、もういないもん…。」
「私も…やっぱり両親探したい。」
続けてカルマもそう答える。
三人は俺を見ている。
するとカルマが笑顔を見せる。
「クロノ…私を今まで沢山助けてくれて本当にありがとう!私頑張るから!」
そして俺は三人の前で笑顔で答える。
「俺はこの世界にきてカルマに出会ってヤシュアとも知り合い…今ではこんなに可愛い妹までできた!」
三人はポカンと俺を見ている。
「ヤシュア!俺も魔王討伐手伝わせろよ!」
「サキノ!せっかく出来たお兄ちゃんに甘えろよ!」
「そしてカルマ!俺はお前を守るって約束したろ?」
俺はそう言うと三人に応える。
「いくぞ!魔王を討伐してカルマの両親も助ける!そしてサキノも守っててやるぜ!」
「これからもよろしく!!」
(あーあ!仕方ないねぇ!クロノ!俺達にも頼れよな!)
(異世界の情報も見逃さないぜ!)
(異世界から帰ったらいっぱい遊ぼうね!)
「ああ!リスナーの皆!お前達もよろしくな!」
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◇
俺達は決意を新たに次に進む事になったのだった。