アフリエイト世界編シーン11
準備を始めるアキニー様達。
そこへイシメールの提案。
そしてイシメールの過去が語られる。
リオ視点
私達を残し、猛然と城を飛び出していったイシメール君。
「すげぇな獣人。」
「でも…アキニー様の事を本当に信頼されてますし…薬師っていうのも凄いですね?」
クロノ様に続き…私はそう言うとアキニー様は口を開く。
「そうね…でも本当の彼は…………。」
アキニー様はそう言うと…彼について語り始めたの。
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彼は…この地のマサイア族という民族の村に生まれた事になってはいますが…実際は違ったのです。
◇
この地では昔から医療技術が足りずに薬草を薬とし…そうやって、この地の先祖達は生き長らえてきました。
そんな時…この地の医療技術のなさを知った正義感からでしょう…どこからか…一人の男性医師が来てくれたのです。
ところが彼はこの国のあまりの貧困に嘆き…これではまともな医療を国民も受ける事ができない。
「この経済が著しく酷くまともな医療技術も叶わない…ならば。」
そんなある日…男性はこの大自然から薬を作ろう…この広大な大自然から作り出した薬なら薬代は無料だと。そう、思いつき彼は薬を作り出す研究と共に国の医師達にも薬を勧めていきました。
幸いにもこの地は聖獣様が棲むと言われる地…聖獣様の力なのかどうかは分かりませんが…この地は薬の原料となる薬草の宝庫だったのです。
医師の男は歓喜し次々と薬を研究し続けました。
そんな薬を試験的では、ありましたが…彼は薬として国民に宣伝し始めました。
初めは疑っていた医師達も自分の病の際の治療にも使った所…なんと見る見るうちに治ってしまったというのです。
そんな時…この地の先代から存在してきた…名のある医師は…ある奇病にかかってしまいます。
それを彼は何と、この地の薬草から薬を作り出し治してしまったのです。
ここで、いたく感激した医師は彼の事をようやく認めたのです。
生命まで取り留め、元気になった名のある医師は大変彼に感謝し彼の薬は偉大だ!世に広めるべきだと皆に訴えかける…すると彼の薬師としての、このケニージアでの地位は見事…築かれたのでした。
そしてこのケニージアの薬師として彼の名は広まりました。
ところが、そんな彼も男です、とある村の一人の女性と恋に落ちます。
愛を育む二人でしたが…そんな二人は会っているうちにやがて彼女は男の子供を身篭っていました。
二人は幸せを掴んたかに見えました。
ところが、そんなある時…彼女は告げたのです。
彼女の村のしきたりで、彼女は他の男の嫁にならなくなったといってきたのです。
彼も言いました!そんなしきたりなど背いてしまえばいいと。
そして二人の愛はそんな二人を不運に晒してしまったのです。
彼女は妊娠していた事もあり…結局村へは帰ること無く、その医師とジャングルの中に家を建て…そこで二人は暮らし始めたのです。
すると…二人の間にはやがて一人の男の子が誕生しました。
そう…この男の子こそが…イシメールなのです。
◇
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◇
「あの村の両親は…違うのですね?」
「ええ」
私の問いかけに頷き続けるアキニー様。
◇
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二人は…とても幸せに暮らしていたそうです。
これは…逃げる様に隠れ住む為の家でしたが。
その頃から中々街にも行く事も表に出る事もかなわなかった二人とまだ幼いイシメール。
するとそこへ…偶然にもお金儲けをする為に動物を襲うハンター達が現れました。
「ん?なんだ?こんな所に家があるな?」
「お!?休憩には丁度いいな…入ってみるか?」
男達は家の中に入ると、そこには誰の姿もなくもぬけの殻だったといいます。
ところが男達は気が付きます。
部屋の奥には、何とベットに寝ていたまだ幼いイシメールが寝ていたのです。
男達は閃きます。
その子を人質にすれば…金になるのでは!?と。
男達はまだ歩けないイシメールを捉えると両親を待ちます。
そこへ食料を調達に行っていた二人が帰ってきたのです。
「あれ?扉が空きっぱなしだ。」
「えっ?ちょっと閉め忘れたんじゃないの?イシメールが寝てたのよ?」
「そんなハズは…」
彼が家に入った瞬間。
彼の足は止まりました。
そう、目の前には銃を構えた男達が立っていたのです。
「さあ!このガキを殺されたくなかったら大人しくしろ!!」
「くくく…あり金全部だしなぁ。」
銃を向け、ジリジリとそう迫ってくる男達。
「イシメール!!!!!????」
そう叫び…飛び出したのは母の姿。
その瞬間。
パーーーーーんっと銃声が鳴り響き。
頭から血を流した…母は倒れたのです。
「アメリオーーーーーーーっ!!???」
男は叫び妻の元へ飛び出した瞬間。
更に…パーーーーーーーーンッと再び銃声が鳴り。
そんな二人は絶命してしまったのです。
二人を殺害した男達はイシメールを抱きかかえる。
「これからいい金づるになるかもしれねーし連れていくか?」
「そうだな!ここでとるものだけとっていこうぜ!!はっはっは!」
「ん?こんな物あるな…医学書?」
「おい!そんなもの捨てとけよ。」
「おう!」
何と、その男は表にその医学書を捨ててしまいます。
そして…男達は家の中を物色すると…家を後にしようとふと、外に出たのです。
ところが目の前には黒光りしている巨大なゴリラの群れに遭遇したのです。
銃声に驚き逃げる所か…待ち伏せる様にして家の前にいたゴリラ達。
そして二人の男達は銃を構える。
すると一頭のボスであろうゴリラがよっていきます。
そして。
その後の男達の足取りはそこで潰えたと聞きました。
◇
それからゴリラに育てられたイシメールでしたが…その群れに偶然遭遇した今の父親。
すると、まるでこの子を頼むと言わんばかりにイシメールを残しゴリラの群れは深い森へと消えていったというのです。
◇
アキニー様は私達に彼の話を聞かせてくれたのです。
「そうだったんですね?彼にもそんな過去が。」
私がそう言ったその時。
彼は戻ってきたのです。
「アキニー様!バッチリです!これでケニージアの薬は大丈夫ですから!!!」
笑顔の彼に力強さを感じたのは私だけではなかったはずです。
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