アフリエイト世界編シーン7
モヤモヤしたリオは眠れず。
リオ視点
私達は、もう暗く夜道は危険だという事で、一先ず街の宿にて宿泊し、明日朝、出発する事にしたの。
クロノ様も渋々その話を受け入れたみたい。 でも…サキノちゃんの事でイライラしていたと思う。
ご飯も食べずに一人先に寝てしまっていたの。
◇
「ふぅ……リオちゃん!気にしないでいいよ!今のクロノは、ああなっても仕方ないしさ。」
「はい。ありがとうございます。」
カルマさんはそう言ってくれたけれど…私の心はモヤモヤしていたの。
そして、眠る事にした私達だったけれど…私は中々寝つけないでいたの。
「外の風に当たってこようかな。」
私は寝てしまったカルマさんを一人部屋に残すと宿を出た。
宿を出てトボトボ歩く私、すると目の前に街灯がある。
よく見ると、そこには空まで届きそうな程の大きな木が一本立っていて木はリースの電飾が施されていたの。
「うわぁ…綺麗ね。」
私が大樹の電飾に魅入っていると後ろから聞き覚えのある声が。
「あれ?リオさん??」
私が目を向けると、そこにはイシメール君の姿があったの。
「あ!イシメール君??どうしたの?」
「どうしたの?は僕のセリフですよ?」
「あはは…私はちょっと眠れなくて夜風に当たろうと。」
イシメール君は私の目の前までくると、近くにあったベンチを指さす。
「あそこに座りませんか?」
「うん。」
私達はベンチに腰かける。
「クロノ様の事…ごめんね?イシメール君がいなかったら危険な目にあってたかも知れないのに…でも彼も必死で…。」
「いえ!いいんですよ!その気持ちは話を聞いたから分かります…僕も強く言いすぎたかなって。明日…朝には謝っておきます!」
すると私の頭にエルの事を思い出したの…そしてエルにあの目を向けていた彼の事を聞きたかったの。
「あのね?エルザックってお城で会ったじゃない?」
「ああ!確かに居ましたね…やっぱり僕の行動は良くなかったかな。」
彼はそういうと申し訳なさそうに笑う。
「僕ね…ずっと女王アキニー様に憧れて生きてきたんですよ!」
「そうなんだね?確かに凄く綺麗で女性らしくて優しそうだけどどこか強そうな!そんな感じでとても素敵よね?アキニー様」
私がそう言うと彼はとてもキラキラとアキニー様の話をする。
その話に、よっぽど彼女の事が好きなんだなっていうのが伝わってきたの。
「だから彼にもそんな嫉妬みたいな態度でいたかなって…今では反省してます!」
「そっかぁ…実は私もね…」
そして私もクロノ様への思いをイシメール君に話していたの。
「でもね…今ここに来たらずっとサキノちゃんにつきっきりでさ…普段は私にすっごい優しいのに今は。」
「そうなんだ…あ!僕もじゃあリオさんの恋を応援させてもらいますね!」
「えっ!?」
彼はそう言ってくれる。
「なら!私もイシメール君の恋を応援するね!」
「はい!まあでも…実は僕の村では昔から父親がお嫁さんを連れてきて結婚っていう風習なんですけどね?」
「ええーーーっ!?そうなの??」
私は今日一、大きな声でそう聞いてしまったの。
「そうなんですよ…でも僕はそれが嫌で、しかも僕の村は一夫多妻制ってのが当たり前で…僕は一途に一人の女性を愛していきたいんです!!」
薄暗い街灯の下で、そう言った彼の横顔はとてもキラキラと私の目にうつったの。
「あ!話は変わりますけど、ところでリオさんって『ラブイフ』って恋愛マンガ知ってますか??」
彼の言ったそのマンガは世界で、ずっと流行っている恋愛マンガ『ラブ…イフストーリー』女子には勿論、男の子にもファンが多い、そのくらい有名なマンガだったの。
「え?知ってるよ!ちなみにカルマさんもそして寝てるサキノちゃんも知ってるほどよ?」
「そうなんだぁ!僕あの漫画に憧れて、いつかそんな恋がしてみたいなって…はは」
私達は、いつしかその漫画の話題に夢中になって話してたの。
彼はそんな自分の村の風習が嫌みたいで尚更恋愛に憧れをもってるみたいだった。
「じゃあ!この恋愛マスターのリオ様を先生と呼びなさい!」
「はい!リオ先生!」
そんな話をして笑いあっていた私達。
「あれ?そういえば。」
私は、ふと、その有名マンガから思い出した事があったの。
「光る大樹の下で出会った二人は……」
「本当の恋に気づいて…二人は手を繋ぎ一緒に歩き出した…でしたっけ?」
「えっ!?」
私は続きのフレーズをすーっと答えた彼に思わずびっくりしてしまった。
「そうそう!そんな話だったよね?」
「はい!名シーンですもん!リオ先生も知ってますねー!」
ケラケラとイシメール君が笑う。
いつしか…私達は盛り上がり漫画の話で大分時間を過ごしたの。
「あはは!あー!楽しかった!」
「はい!リオ先生!じゃあそろそろ戻りましょうか?」
「うん!いこっ!イシメール君!」
イシメール君は、立ち上がろうとした私に手を差し出してくれた。
そして、彼の差し出した手を取ろうとしたそその時。
ザッと足音を立て何かが私達に視線を向けていたの。
「誰だ!!??」
イシメール君は、その槍を片手に身構える。
すると…足音は二つ、三つ…いや五つに増え。
五人の男達が姿を現した。
「ぐへへへ…」
「いやぁ……なんだなんだこんな所で。」
「兄貴!この男、いい女連れてますねえ。」
私達は見るからにヤバそうな野盗に出会ってしまったみたい。
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