アフリエイト世界編シーン6
女王アキニー様からの話は聞けた。
そして出発を目前にしているクロノ達。
女王アキニー曰く、キリマジャーロ山の頂上には聖なる獣…聖獣が棲むと言われる山があるという。
だが…ここケニージアからキリマジャーロまでは350キロ程らしい。
これは中々の遠距離だ…歩いても一週間近くの時間を要するかもしれない。
だけど俺は行かなければ。
この時はそんな考えしかなかったんだ。
すると…アキニーが口を開く。
「問題の…キリマジャーロ山には聖獣様が棲んでると言われます。」
「聖獣。」
「ええ…獣人である彼女をその深い眠りから覚ます為には…その聖獣の元を訪ねなさい…きっと…力を貸してくれると思います。」
アキニー様は俺達に具体性のない話をする。
俺は、その言葉に問いかけようとすると彼女は続けたんだ。
「いいですか?仮にも聖獣様はひたすら会える事を信じ…決して疑わず…ゆけば必ず…応えてくれるハズです…疑ったらそこで…聖獣様には会えないと思ってください。」
すると、ニコりと微笑むアキニー様は一言。
「貴方達ならきっと…大丈夫です!ね?リオちゃん?」
「えっ!?」
最後にリオに更に微笑み同意を求めるようにリオにそう告げた女王アキニー。
そこまで話したアキニー様の話は、そこで終わってしまったんだ。
◇
俺達は街中を歩く。
そう…出発をするには厳しいかなとも思えるほど辺りは暗かったんだ。
その理由は、リオの二日酔いであろうか…体調不良で村を出るのに時間を要した事…それと装備をしっかり整えなければこの国は危険だとしていう話だったので思い思いこの地で装備を整えたのだ。
街から出れば、野盗や獣人もいるが、ここは野生の宝庫…世界でもこの地の大自然には沢山の猛獣の類いも多いらしいのだ。
「ふぅーっ…うわ!もう結構暗いな…でも、本当に遠いからな…少しでも先に進みたいよな…。」
「はい…でも…一週間も歩き続けるなんて…エンポリオさん?イヴレーア号を修理したらどれくらいかかりそうですか?」
「リオちゃん…街中も見てきたんだけどここには部品になる物がないみたいでさ…マリアさんにも、連絡したんだけど忙しいみたいで繋がらなくてさ。」
「そうなんですね~はぁ~っ…。あ!見てください!クロノ様!?あそこあそこ!」
リオは盛大に、ため息をつくと、街中を歩いている獣人達を発見する。
いや、ほとんどが獣人達なのだが。
「いやぁ!凄いですね?」
「ああ!でもサキノだって獣人だぜぇ?」
「まあ確かに…あ!あっちにはうさぎの獣人さん!向こうにはリスの獣人だぁ!スクエルみたい!凄いですね!」
リオは体調も回復したようで安心した俺。
するとイシメールが口を開く。
「ここは獣人国家であのアキニー様も獣人なんですよ!」
「そうだったのか!?全然気がつかなかったぜ!」
「そうなんです!アキニー様はご自分が獣人ではあるけれど、人間も獣人も関係なく平和な世界をと常にケニージア国民の端の端まで目を光らせているのです。」
「なるほどな!」
「それだけ国民は彼女を慕っているのです!もちろんこの僕も!」
「あはは!それは慕いすぎてもう好きって顔に書いてあるよ!」
そうカルマはイシメールを茶化す。
「あはは!あれ?クロノ様?歩くの早いですーーー!」
俺は、そんなリオの声が聞こえた気がしたがいつしか黙々と歩いてしまっていた。
(ここにサキノがいたら笑顔で俺をよんでるんだろうな。)
(サキノがいたらお兄ちゃん!お兄ちゃんって呼んでくれてるんだ。)
俺は、どうやらここへ来てサキノへの思いが強くなっていたみたいだ。
するとリオがいつの間にか駆け寄ってきていたんだ。
「ほらぁ!クロノ様!!あそこから美味しそうな匂いしませんか??」
「あ!うん!そうだな。」
俺は素っ気ない返事を返してしまっていた。
◇
リオ視点~
私はクロノ様の気持ちも確かに分かってはいたの。
どこか…いつもと違うクロノ様。
サキノちゃんの事で頭がいっぱいなのは分かる…けど。
私がモヤモヤしていると、イシメール君は立ち止まり宿を指さしたの。
「皆さん!もう真っ暗になってしまいました!そこでこの宿で一泊し、明日朝の出発を提案します!」
「えっ!?いや!せめて次の街…いや、イシメールの村でもいい!そこまでいけば…」
「クロノさん…お気持ちは分かりますが…この国の野生動物の多さに夜の移動は危険なのです。」
「俺たちなら大丈夫だって!」
「それはこの国を知らないからです!」
「んな事ねーよ!」
「ちょっと!二人とも!!!」
私は苛立ち話すクロノ様とイシメール君を止める。
「なら…その背に背負ってるサキノさんを危険に晒してもいいと…クロノさんは、そう言うんですか?」
「!!???」
イシメール君のその一言で、クロノ様は押し黙る。
すると…イシメール君が指さした宿へサキノちゃんを背負ったまま…クロノ様は無言で宿へと入っていってしまったの。
こうして私達はモヤモヤした感情を胸に秘めたまま…宿へと入っていったの。
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