ヨーロディア世界編シーン86
フィガーロとのバトルもいよいよ!
終結へ!!
クロノ!そしてフィガーロはどうなる!?
俺の魔神具である刀の柄…その刀身へと姿を変えた…魔神雷武。
その燃えたぎる刃は…フィガーロに威圧感を与える。
「な…なんだ…この男……。」
「さて…フィガーロ…お前は、やり過ぎたぜ。」
俺は、そう言いながらフィガーロに一歩…また一歩…歩み寄っていく。
「フン!強者こそが、この地ヨーロディアを治めるのは自然な事だろうが??」
「そうは言うが、お前は俺達を倒したら…力と恐怖の世界へと変えちまうんだろ?」
「当たり前だ…この世は力こそが正義!力なき者は何者も守る事はできん!国も同じ事…かつてそれをしなかったばかりに…国を潰して国民を滅ぼしたマヌケな国王もいたと聞くが…」
フィガーロ…そして魔神ドラキュラはゴゴゴと音を立て闘気を溜めていく。
そして、ズガーーーーーーンっと激しく闘気を放つと奴らの身体中から溢れ出す激しい力。
「僕は…そうはならない!力こそが………。」
恐るべき力を放つ爪を露わにする魔神ドラキュラ。
その力からは、タダならぬ力を感じる。
そして…俺めがけ全力で襲いかかってくる!!!
「全てだーーーーー!!!!!」
俺は…そっと…刀を構える。
すると…魔神ドラキュラの鋭い刃は俺の身体を頭上から引き裂こうとしてくる。
「魔神雷武…レベルスリー…………………。」
俺の呟きに刀身からドクンッと力が流れ込んでくる。
次の瞬間。
俺の身体は炎に包まれる。
ゴゴゴーーーーーッと身体中から溢れる力は噴き出す炎に更に力を与えてる様な感覚。
これは…俺は燃えない…のか?
そんな事が頭に浮かぶ…ポロポロと燃えた服の隙間から見えた俺の肌は…黒く変色している肌だ。これは…。
すると…俺の脳内に訴えかけるような雷武の声。
『ほぉ?そいつぁ…ドラゴンアーマーか。』
「ドラゴンアーマー??」
『ああ…何の気まぐれか…俺達と同じ…竜人の血がお前にも流れてるって事だな。』
そんな脳内会話をした俺達…すると。
雷武の姿もまた…変化していた。
「雷武…お前も…。」
『フン!アイツを倒すってんなら…この俺様も少しは本気を出さねぇといけねぇ…それだけだ。』
そう…雷武もまた…更にも増して恐るべき姿のドラゴンへと更に進化していたんだ。
その時…俺は現実に引き戻される。
ガキイイイーーーーーンっとドラキュラの鋭い爪を俺の刃が受け止める。
「ぐ…ぐぬぬ……貴様ァァァーーーー!!??」
「はぁぁぁーーーーーーっ!!?」
ズサーーーッっと、俺は刀を振るい奴の爪を弾き飛ばす!!
「何っ!!??だが…これならどうだ!!??」
その流れに乗り、勢いよく爪を伸ばし俺の身体に突き立てようとする魔神ドラキュラ!!
「くっ!!避けれ…ないか!!??」
「もらったーーーーーーーっ!!??」
ズシャッという音は、俺の腹に届いた奴の爪。
だが…俺の腹には刺さらず留まる。
そう……俺の身体の強固なドラゴンの皮膚は奴の爪をも簡単には通さない。
するとフィガーロは驚き、後ずさる。
「くっ!?なんだと!?魔神ドラキュラの爪が!?」
「これは…すげぇ……。」
すると、俺の声に聞こえたのは刀身となってる雷武の声だ。
『当たり前だろ…生物最強のドラゴン…そいつのボディだぜ?』
「そうか…よし!これなら!?」
俺は再び刀を構える。
「ぐぬぬ…ならば……これならどうだ。」
シューッとその身体を霧状にしていくフィガーロ。
「そうは…させない…『こ…硬化!!』」
『任せるでありマス!!』
その時…エンポリオとフェローズがそう言い放つ…そしてバトルメイスから発した力はフェローズに変化!フェローズは光と化し、フィガーロの身体を包み…硬化し、奴の液化、気化するのをとどめる。
「なっ!?バカな!!?くそっ!僕の邪魔を…。ぐぬぬ。」
「クロノ君!僕達の…そして僕の父さんの思いを。」
「ああ…ナイスだ!エンポリオ!」
俺はエンポリオ…そして皆を見やる。
倒れ、そして苦しむ仲間達…。
そんな皆の視線…それは俺に…希望を感じる。
「皆!!俺が…終わらせるから…待ってろ。」
俺のその言葉に皆の微かな笑顔が…それは俺に力をくれる気がする。
すると…姿を変化出来ず…驚き慌てふためくフィガーロ。
奴の、その目は怒りと焦りに満ちていた。
「貴様らーーーーーっ!!??もう!許さん!許さん!許さーーーーーーーん!!??」
怒り狂うフィガーロ。
「そうか…そんなに頭にきたのか?」
「なんだと……このクソガキが!!???」
「お前の言う勝手な虚言はもう聞き飽きた…お前は…俺が仕留めてやる!!!」
再び刀を構える俺…。
『さぁ…いくぞクロノ…俺達の力を…そして俺様のレベルスリーの力…。』
「ああ!雷武……ここでお前の最高の力を貸してくれ!!??」
再びゴォォォーーーーーーッと俺の刀の刃は燃え上がる。
「くっ!?僕は…不死身だ…不死身の身体を手にしたんだ!!!貴様などぉぉぉーーー!!」
フィガーロの鋭い爪、重ねて魔神ドラキュラの巨大な爪も俺の身体目がけ、他方から襲いかかってくる。
「くくく…これなら躱せん!お前は最も残忍なやり方で殺してやる!!??この鋭い爪に加えて…『吸血』」
すると…俺の後方からは魔神ドラキュラが迫る!そして前方からはフィガーロの爪が!!??
「死ね!死ね!死ねーーーーーーーっ!?」
俺は刀をガシャリと帯刀する。
『な!?クロノ…?気でも狂ったか??』
「馬鹿め!!?今更諦めたか!?だがお前だけはこの場で殺すーーーーーっ!!??」
雷武の声の後に聞こえたのはフィガーロの叫ぶ声。
「いや…雷武…お前なら…俺のやりたい事…言わなくても…分かんだろ。」
『フン…ああ……理解した。』
ぐああああーーーっと叫び襲いかかるフィガーロ!!
すると俺の身体に変化が起きる。
身体の毛穴からずーっと血が抜かれていく感覚…。
「くくく…お前にかけたドレインはお前の血を抜いていく…。」
俺は構わず柄を再び握る。
すると…俺の身体の燃えたぎる炎はやがて…フィガーロのドレインをかき消し……止血していく。
「なん……だと!!??」
驚きの声を上げるフィガーロ。
そして…すぅーっと抜刀していく刃に溢れ出る炎は収束されていき…そして…今…刀を抜きフィガーロに放つ!!!
抜かれた刀身は、その形を鋭い矢形へと変えていた。
『終わりだ…フィガーロ…武神流『炎竜弩』』
放たれた矢は燃え上がる炎の竜と化す!
そして、フィガーロ…魔神ドラキュラに襲いかかる。
「馬鹿め!我が身体…我が身体に炎など…」
「ちっ!やっぱ…燃えない…のか……」
炎はフィガーの身体を包みこむが、フィガーロは涼しい顔だ。
するとその時…俺の耳に僅かに声が聞こえてくる。
『おにぃちゃん……』
「サキノ…なのか?」
『うん……あのねおにぃちゃん…ふぃがぁーろはドラキュラ…タダの炎でも聖なる光でも攻撃は通用しないんだって…だから私が聖なる力を…おにぃちゃんにあげるね…。』
「サキノ……。」
『私…ここへきておにぃちゃんと離れて…本当に寂しかった…だから私…』
その声に俺は自然に涙が零れていた…。
『おにぃちゃん…だいすき…ずっと…サキノと一緒だよ。』
「ああ…一緒だ。サキノ。」
その時…俺の身体の中にサキノの力が流れ込んでくるのを感じる。
そして…サキノの心が俺の心に重なって。
『クロノお兄ちゃん…ううん…クロノ……。』
『えっ?……サキノ……。』
俺達の力は……一つに…。
そして俺は刀を握り直す。
俺の身体から闘気が溢れ出し炎が吹き出してくる。
すると…サキノの力が加わり俺の炎を聖なる炎へと変えていく。
これなら!!!
「フィガーロ!!お前だけは…許さない!!」
「なにっ!!???」
フィガーロは後ずさる…が…俺の刀の刃は青白い聖なる炎の巨大な刃へと変わる。
「それは!?それはダメだそれはダメだ!!」
身体を震わせ…そして逃げ出そうとするフィガーロ。
奴は、そちらへ身体を向けるがその逃げ場を塞いでいたのは…ぽーっと光り輝く巨大なカラーウルフ。
「ひぃぃぃーーーーっ!!??」
震えながら怯える…フィガーロ。
俺は刀を振り翳す!!
「これが俺達の力だ!!うぉぉぉーーーーーっ!!」
『聖炎竜!!』
その瞬間!!フィガーロ…そして魔神ドラキュラの身体を斬り裂くクロス斬りが放たれる!!
すると…斬り裂かれた傷口からフィガーロの身体…そして魔神ドラキュラの身体を包み込み聖なる炎は燃え上がる。
「ウガァァァーーーーーーーーー!!!!!」
そして…フィガーロの断末魔の声だけが…ここ…ダンジョンピット内に鳴り響いたんだ。
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