ヨーロディア世界編シーン80
遂にフィガーロ魔神発動か!?
ユーロは最後の力…それは自分の闘気と魔力を集結させていく。
「おっさん!?」
「ユーロ様!!??」
俺達の前で、魔神を見せるユーロ。
水の虎であったユーロの魔神は、どんどんその性質を変化していく。
水から雪、そして雪から氷…更にそれを超える冷気を発する氷へと、魔神は変化する。
そして、それは…俺達もまだ見ぬ進化だったのだ。
「あれが三段階目……か。」
すると、更にユーロはリングを天に翳す。
「はぁ…はぁ…ぐっ……よいか?マジェストの新人類…皆々よ…マジェストとしての力はこの三段階目の強さまではいけるのだ…。」
「それがレベル第三段階って話しか。」
俺の問いに応えるユーロは続ける。
「そうだ…だが…強さはいずれ…それを超える者も必ず現れるものだ…俺は世界の歴史を知り、そこから様々な事を学んできたのだ…そして古代三大魔神の一人…『タイガ』を従えしこの俺はその上の力…『限界突破』を果たした…これからの君達なら…いつかこの俺を超え強く…そしてこの世界を救ってくれると…信じている…。」
「おっさん……。」
「いくぞ…魔神タイガ…よ…この俺に最後の力を……。」
ユーロの周辺には次第にパラパラと不思議な光が集まってくる。
その光は、やがてユーロの身体を包み込んでいく。
すると、辺りには冷気が立ち込めてくる。
その冷気は恐るべき力だと、俺達にも感じさせる程の力。
「冷気……これは…?」
「これがこの俺のマジェストとしての限界突破…『タイガ』の魔人化だ。」
ユーロの頭上から舞い降りてきたのは…一人の女剣士の姿。
「これが魔神…そして…『限界突破』なのか……。」
俺達はユーロの限界突破に、驚き声も出なかった。
「そうだ…魔神は扱う者と魔神自身の強さでレベルスリーまではいけるのだ…それを超えてその上に到達するのがこの『限界突破』だ。」
「おっさん………。」
するとユーロ様は、口から何かを吐き出す。
「ぐっ!!?ぐはっ!!??」
赤い鮮血を飲み込むように堪えるユーロ。
「はぁはぁはぁ…このように…この力は確かにパワーアップはするのだが…肉体には響く…無闇やたらには使えない切り札と…考えるがいい。」
「ユーロ…わかった。」
するとフィガーロは、へらへらと口を開く。
「なんだ?老いぼれのマジェスト講座はもう終わったのか!?」
「なんだと??」
「貴様!!ユーロ様に向かって!!許さないぞ!!??」
そう叫んだのはエンポリオだった。
「ふん!まぁいい…ところで貴様らが絶望する様な話をしてやろうじゃないか?」
「なんだと!?」
「その限界突破した奴の魔神ですら…この僕を倒せなかったんだぜ?ついでに言ったら…この僕は魔神すら出してないんだ…この意味がお前達に分かるか??」
「ならば試してやろうではないか。」
そう一言呟いたのはユーロ。
ユーロが身構えた瞬間…限界突破したユーロの魔人である、氷の女剣士は剣を握り構える。
「この俺が次こそは必ず貴様の魔神を出させてやる!!!???」
ユーロは瞬時に動く。
すると魔神も呼応するかのような素早い動きでフィガーロの目の前まで辿り着く。
「なにっ!!??早い!!??」
ダダダと連続で拳を繰り出すユーロ。
それに合わせて魔神の剣技も冴えわたる。
「くっ!!??先程までとは動きが…」
「馬鹿め!!??お前の周囲を見るがいい。」
「何っ!!??」
フィガーロが気づいた時には既に奴の足元は氷の地面と化していた。
「くっ!!今度は動けん!さっきまではすぐにでも溶けた氷だったのハズ…まさか。」
「ふん…それはあまりにも自分の強さに酔いしれていたお前のミスだのぉ。」
「何を……。」
「今度は凍らせたままになどせぬ!瞬時にその身諸共、破壊してくれる!!」
「ならば…。」
駆けるユーロに、突然フィガーロは押し黙る。
「今こそフィガーロにとどめを刺す時!!はぁぁぁぁーーーーーっ!!??」
巨大な闘気を放つユーロの魔神は氷の風を巻き起こす!!
シュゴーーーーーーッと音を立て吹き鳴らす氷の爆風!!!
それはたちまちのうちに、フィガーロの身を包み込むかのように吹き荒れる。
そしてその時。
フィガーロが何かを取り出だす。
それは首から下げられた十字架だった。
「それは。」
「ククク…ドラキュラのこの僕がこんな十字架を?などと思ったか??」
ゴゴゴと地の底から何かを感じる。
地響きが鳴りそして僅かな地震が起こり始める。
「うわっ!!?」
「なんだ!?この地震は!!??」
するとフィガーロは笑い出す。
「ククク…お前らがそんなに熱望するのならば…見せてやろう…この僕の魔神…そして我が組織『フィリアーム』の機械工学の大いなる魔法と化学の融合が……。」
ボコボコっと地面が割れてくる。
そして這い出てこようとしている何かの手が地中より這い出てくる。
「なにっ!!??」
「これだーーー!!出てよ!魔神ドラキュラ!!!」
一気に地面の床を破壊しながら這い出てきた…この機械魔神。
それはまさに悪魔とも言えるであろうその姿。
「くっくっく…今更後悔しても知らないよ…僕のこの魔神は。」
フィガーロはニヤリと笑う。
「こいつは………凶悪だ………。」
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