ライブ配信シーン19
クロノ達はトルネル屋敷にて突入を開始する。
サキノの話を聞いたクロノ達。
俺達は気持ちを新たにサキノを救う事を決意する。
そしてサキノの案内でクロノ、カルマはトルネルの屋敷へと向かうのだった。
グランドバズ王国内…城から離れる事、数キロ。
この巨大な街の中には暗黒街と呼ばれる場所や富豪街と呼ばれる場所がある。
その富豪街と呼ばれる一角にトルネルの屋敷はあったのだ。
サキノの案内で俺達は迷う事無く屋敷へと辿り着く。
「ここ…御屋敷。」
「しかしサキノって凄いな…この広い大都市で全く迷わないでここまで来るなんてな…。」
「本当に…クロノだったらもう絶対迷ってるもんね?」
俺達がそんな話をしているとコメントが聞こえてくる。
『クロノ!ここか?サキノちゃんを苦しめている奴の屋敷は!?』
「ああ…ここみたいだな…。」
『まったく!サキノちゃんは俺達の妹みたいなもんだ!クロノ!頼むぜ!』
「分かってる!皆も何か気づいたらコメントよろしくな!」
『任せろクロノ!そういや…サキノちゃんって犬の獣人だよな?』
「そうだな…。」
『じゃあ人より鼻が利くんじゃないか?』
「おお?そうか!そういう事か。」
『きっとそんな能力もあってここまで迷わず来れたんじゃないか?』
「なるほど!冴えてんな!サンキュー!」
『いいってことよ!』
「じゃあまた何か気づいたらコメントよろしく!」
『了解!』
コメントと俺の会話が終わる。
状況を知るにはこうしてリスナーの考えを貰うのも悪くない。
俺がリスナーと話をしているうちにカルマとサキノは屋敷の辺りを見回していた。
「御屋敷にどうやって入ろうかと思ったんだけどその前に偵察してきたよ?」
カルマはそう言うと彼女の魔神フェリスが飛んで戻ってくる!
「おお!フェリスに頼んだんだな?ん?」
すると…フェリスは俺の頭上から俺めがけ落ちてくるではないか!?
「えっ?ええーーーっ??」
ぶぎゅっ!!!
見上げていた俺の顔面にヒップアタックで着地するフェリス。
『ふぅ…見てきたよカルマ〜』
「お…おかえりフェリス……クロノ踏んでるよ。」
『えっ?あっ!ほんとだ!悪い悪いクロノ~!』
ぴょんと俺の顔面から飛び降りるフェリス。
(こいつ…わざとだろ……。)
すると俺達を見ていたサキノが笑いだす。
「あははっ!あはっあははっ!」
緊張感でいっぱいだったサキノの笑顔に俺は思わず心が温まる。
(こんな笑顔も出来んじゃねぇかよ。)
「さあっ!いくぜ!サキノの友達を解放しようぜ!!」
◇
◇
◇
フェリスの情報によると玄関までは数ヶ所にトラップが仕掛けられてるという。
そして玄関には数名の兵の姿があるそうだ。
まずはトラップをかわして進まなければ…。
俺とカルマは右と左に分かれ歩き進む…そして真ん中はサキノが歩く。
サキノを俺達二人が守りながら進む作戦だ。
「フェリス!お願い!」
まずはフェリスがカルマの頭の上に降りる。
そして俺の出番だ。
「頼むぜ!相棒!戦えるぜ!?」
徐々に背後に感じる俺の力の怪物!
(フン…楽しませてもらうぞ。)
「ああ…頼んだぜ!」
そして真ん中にはサキノの姿がある。
俺は心配になりサキノを見る。
するとサキノの背中に何かがチラチラ見えていた。
「ん?あれって!?」
「クロノ!屋敷前に隠れていた傭兵達が出て来たみたい!行きましょう!」
「お…おう!分かった!!」
俺達は屋敷に向かって走り始めた。
カルマの相棒フェリスはカルマの頭の上をふよふよ飛んでいる。
「行くわよフェリス!?」
「『叡智の書…』風の魔法を使わせて!」
「ええいっ!!『ウィンドカッター!』」
フェリスが光り出すと緑の光を具現化していく…やがて光の刃はトラップの無数の矢を切り刻んでいく。
ズババババッッ!!
トラップは次々と破壊されていく。
そして先に集まる鉄の鎧の衛兵達!!
「女!通さんぞ……くらえ!!!」
衛兵はカルマ目掛けてその槍を振るい仕掛けていく。
「フェリス!!」
「ほいきた!『ファイアウォール!』」
ブウォォォッとフェリスが口から火を吹く!!
すると衛兵は炎に巻かれ転げのたうち回る。
「さぁ!行きましょう!サキノちゃん!」
「うんっ!」
サキノはカルマに目配せするとカルマの側まで近づいて行く!
「よし!これで向こうは大丈夫だな…。」
衛兵は俺から逃げるようにカルマ達の方向にその向きを変え襲いかかっていく。
俺もカルマ達の方へ行くぞ。
向きを変えそちらに走ると足下からは罠の槍が飛び出してくる。
俺は後方へ飛び槍を回避する!
すると建物のあらゆる窓からは銃を構える兵の姿が確認された!!
(きたぜ!やっぱり簡単には入れてくれないか…。)
「武神竜…雷武……行くぞ!?」
(ん!?貴様…いつの間に我が名を呼ぶようになったのだ!…だからか!?我を操れる様になったのは…ちっ。)
「まあ…いいだろ!?さ!暴れるぜ!?」
(フン…。)
俺が柄を構えると武神竜は柄に吸い込まれていく…すると赤い刃が姿を現していく。
「武神竜…炎風斬!!!」
ゴオオオオオッと刃は巨大な炎となり俺は刀を振りかざす。
巨大な炎は炎の龍へとなり敵を飲み込んでいく!!
そして後には灰しか残らなかった。
「ふぅ~これで中に入れるな。」
◇
◇
◇
玄関までの道のりは開けた!
いざ!屋敷へと乗り込むのだ!
お読み下さりありがとうございました!