ヨーロディア世界編シーン77
ユーロの魔人は遂に限界突破を果たした!
どうなる!?
魔人へと進化したユーロ様の魔人の大きな力はフィガーロを圧倒していた。
その時。
フィガーロに斬り掛かる魔人タイガ。
その剣は目にも止まらぬ速さ、そしてきっとその威力も。
ドゴーーーーーーーーーーンっという爆風!!
それはタイガの剣技が炸裂した音。
激しい攻撃にフィガーロの身体を目で追うがとても素早すぎたのだ。
「くっ!!どうだ!!フィガーロ…俺のこの進化…如何に貴様が強かろうが…言わばこの進化は我々マジェストにとっては限界突破のバワーアップなのだ。故に…。」
ユーロ様の魔人タイガ…金色の髪そしてキリリと美しい表情の女性…氷の鎧に身を包み手には氷の剣を構えている。
『マスター……ご指示を。』
「ああ…いくぞ………魔人タイガ。」
ユーロ様は再び身構える。
すると口を開くフィガーロ。
「ユーロ貴様…くくく……中々楽しませてくれるではないか…この僕も果たせていない『限界突破』をするか。」
「ああ…この力を果たせた俺は……強いぞ。」
「それになぁ…………。」
フィガーロは顎に手をやり話し始める。
「本来マジェストというのは魔神具あってこその力だ…しかしながら貴様…ユーロだけは決まった魔神具というものを有していない…そこがこの僕の疑問だ。」
確かにフィガーロの疑問は、的を得ていたのだ。
私もそれは知り得ない話ではあったが…魔神具の存在はマジェストにとっては知られない方が良いのだ。
「ふん!貴様にそんな情報をくれてやる必要は…ない…このまま……倒れるがいい!!!」
『オーケーマスター…目の前の敵を…『破壊』!!』
どうっと一気に冷気を放出させる魔人タイガ。
その力はこの室内全体を一気に冷凍状態にしてしまう。
私の足元まで近づく冷気の氷。
だが味方まで届かない所が流石である。
そして次の瞬間…刃を振るい斬りかかっていく魔人タイガ。
フィガーロはそれを迎え撃つかのように構える。
そう…もちろんフィガーロもマジェストではあるのだが…フィガーロは魔神具…そして魔神さえもまだ私達の目の前には出現はさせていないのだ。
魔神具…そして魔神は多大な力を有する武具である。
だが…その反面……魔神具自体がこの現世に魔神を留めておく『箱』みたいな物なのである。
勇者様に封じられた…それはつまり現世には肉体は残っていないと言う事。
故にその母体であるハズの魔神具は必ず無ければユーロ様の魔神タイガもこうして現世に留まってはいられないのである。
他のマジェストには魔神具があってタイガの魔神具が存在していないという事はそもそもおかしな事なのであるが、それを敵にみすみす教えるという事はある意味ユーロとタイガにとっては自殺行為なのである。
故に…ユーロはそのタネ明かしをする必要はない。
ドウーーーーーッと力を解放するタイガ。
そして斬り掛かるタイガ。
その剣はフィガーロを頭上より狙う。
「くらえ!フィガーロ!!貴様はもうここで終わりだ!!!!!」
ユーロ様の怒号が響き渡る。
「ほぉ…ならば……………。」
「なにを……考えているのだ。」
「さぁ…確かにユーロが強い事は認めるよ…。」
「なにっ!?」
「これはこのままでは僕は、ユーロに負けてしまいそうだからねぇ。」
タイガの剣技を躱しながら、そう応えるフィガーロ。
「ほざけーーっ!!フィガーロ!!!!!」
「ふん!こんな攻撃など…んん!!!??」
その時。
フィガーロの動きがピタリと停止したのだ。
「ん??なんだと……………これは。」
「ようやく…この俺の世界へと足を踏み入れたか。」
「なにっ!!??」
「俺の魔神タイガ…三大魔神としての司るエネルギーは『アイス…』つまり『氷』だ。」
いつの間にか、フィガーロの膝より下の足は氷に囚われ動けない状況だ。
「ふん!こんなもの……。」
「無駄だ…フィガーロ…この俺の魔神タイガの冷凍可能温度は…何度だと思っている…先程とはケタ違いな温度に貴様はもはや動けなくなる…いいか…俺のタイガの絶対的冷凍可能温度は……-273、15つまり…『絶対零度』だ。」
するとタイガはフィガーロを頭上から斬りこんでいく!!
ズガガカーーーーーーーーーッ!!??
カチカチカチッ……パキパキパキ…っと全てが凍りついていくフィガーロの身体。
そして。
「タイガ…氷河虎王」
ユーロ様の技は炸裂!!
あっという間に氷はフィガーロを飲み込んでいき…そして。
私の目の前で奴フィガーロはユーロ様の力により…凍らされたのだ。
「ユーロ様………やりましたね。」
「ああ…やっと……だな……ぐっ!!??」
ユーロ様は膝をつく。
「ユーロ様っ!!」
「はぁはぁはぁ…マリア……。」
私達は深い溜息をつく。
その時………。
私達は……感じたくはなかった力を…身近に感じたのだった。
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