ヨーロディア世界編シーン76
どちらも恐ろしい程の力。
どうなる!?
ユーロ様の猛攻撃に、フィガーロは氷像へと変わり果てる。
美しく輝く氷像は、フィガーロの身体をキラキラと包み込んでいた。
「はぁはぁ……くっ。」
「ユーロ様!!!??」
私はユーロ様の元へと走る。
ユーロ様は、あの身体にして、あれほどの戦いをしたのだ。
ただでさえ、お辛いはずなのに。
その姿に、不甲斐なさでいっぱいな私。
「も…申し訳ございません………ユーロ様。」
「気にするな…マリア……此奴の力はこの俺でもやっとの事で凍らせたのだ。」
私達がそんな話をしていると。
ふと何かの禍々しい力を感じる。
「これは。」
「まさか………。」
私達は身構える。
「これは!!?今のうちに氷ごと破壊せねば!!!!」
「はい!私も加勢します!」
私は魔法を…ユーロ様は、その拳に力を凝縮させていく。
「「はぁぁぁーーーーーーーーっ!!??」」
ドゴーーーーーーーーーーッンという激しい音と共にボロボロに崩れ去る氷塊。
すると…まさか…そこに立っていたのはパキパキっと首を鳴らしニヤリと笑っていたフィガーロの姿。
「そん……な。」
「くっ…やはりか…フィガーロ…ここまでとは。」
「ほう?あれだけの攻撃でこのヨーロディアの支配者となるこのフィガーロを倒す事が出来るとでも思っていたのかい??」
「なに……どういう事だ?」
「僕は、まだ本気というものを出していない事くらい分かるだろう?」
「なんだと??」
フィガーロは、ニヤニヤとした笑みが止まらないようだ。
それだけでもこちらからしたら、筆舌に尽くし難いくらいの腹立たしさだ。
しかしながら…奴の力は恐ろしい。
フィガーロはここまでの戦いで本気を出していなかったと言うのだ。
「ならば…。」
するとユーロ様は立ち上がる。
「ここからの戦いは異次元の戦いとなるであろう…………。」
「何がだ………?」
フィガーロのその言葉に、ユーロ様は何かを取り出していく。
それは何と、一つの指輪だった。
「これはな…我ら古代三大魔神に伝わる伝説だ…マジェストとしての力は、扱う者とのシンクロ率で強力なものになっていく。そしてそここそが我々にとっての力の限界とされてきたのだ…だが…そうはあっても強さを求めるのが戦いに生きる者の性だ…そして伝説では我々マジェストには『限界突破』と呼ばれる力があると伝わる…だが誰にでもできる訳ではない…この限界突破は『選ばれし者』のみが可能となるとの話だ…我々古代三大魔神を使役するマジェストは…それが可能なのだ!!!!???」
そう叫んだユーロ様は指輪を、その指にはめていく。
その瞬間。
ドシューっと音を立て、ユーロ様の身体に凄い力が宿る。
突然、何かの爆発が身体に起こったかのような姿に私も驚く。
「ユーロ様!!!???」
「ぐっ!!??がはっ!!??」
彼は数度の吐血をしながらもそれでも闘気を練り上げていく。
ユーロ様の身体に巡る力の流れを感じる。
すると。
ドガーーーーーーーンっという爆発をおこすと。
辺りには爆風が巻き起こり…目も開けれなくなる。
そしてやがてそれは止むと、私はゆっくりと目を開けていく。
その瞬間…しゅーーっと流れ込んでくる室内に漂う冷気。
「ユーロ様。」
私の目の前には。
ユーロ様。
そしてユーロ様の目の前に立つのは…氷の剣を持ち構え、フィガーロに目を向けていた一人の女性の騎士の姿があったのだ。
「マリア……くっ!?」
「ユーロ様!!??」
「くっ!大丈夫だ…この俺も限界突破など初めての事だ…こんなにも力を奪われてしまうとは…さすが…限界突破だ。」
すると魔神である騎士は、口を開く。
『マスター…私は魔人『タイガ』…忌むべき敵を滅ぼす者です…ご指示を。』
「これが…限界突破した魔人なのですね。」
「そうらしいなマリア…だがこの力…本物だ。」
魔人タイガはその剣を構えると…ユーロの指示を待つ。
人とも話せる様になっているその姿。
これは人へと姿を変えている事から魔神自身もあえて『魔神』ではなく『魔人』と呼んでいるのかもしれないと私は推測していたのだ。
「では…よいか……魔人タイガよ…我が力となり…あ奴をここで駆逐する!!!」
「イエス!マスター!!!」
しかし…魔人タイガとの戦いになる事でその瞳を輝かせ笑っていたのは…我々の敵フィガーロだったのだ。
「くくく…いいねぇいいねぇ…ようやくこの僕とちゃあんと戦える力を得たってとこかなぁ??老いぼれなんて言ったけど…この力は中々だよ…ユーロ。」
「ふん!貴様をここで倒し!このヨーロディアは俺が守ってみせる!!!」
「ユーロ様っ!!???」
私の声にユーロ様は、ニコりとこちらを振り返る。
すると私の心を察したかの様なユーロ様は、笑顔を向けると…。
次の瞬間!!
彼は一撃を繰り出す!!!
魔人タイガは剣を握りユーロにその刃を振りかざす!!!!!
「「はぁぁぁーーーーーーーーっ!!??」」
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました!