ヨーロディア世界編シーン７４
マリアの剣は折られた。果たして。
剣を折られ破壊されたマリアの魔神具…。
一体どうなる！？
「わ…私の…剣が………セイレス…ペガサス……。」
「くっくっく……魔神具というのは確か…魔神そのもの…魔神を封じておくものだ…僕はそう聞かされてるけどねぇ……故に魔神具の消失というのはマジェストにとって…危機的なもの…それを失ったお前はもう……。」
「くっ…。」
「マリア！！！」
その時。
我が王であるユーロ様は震えながらも…立ち上がっていた。
病に侵されているその身体に無理をして。
ふらつくユーロ様は、もはや立っているだけで…どこにも力など残っていないハズなのだ。
これはずっと傍に居た私だけが知りうる事だ。
すると…それを見ていたフィガーロは口を開く。
「ほぉ…ここへ来てようやくその重い腰をあげたようだな…死に損ないめ。」
「はぁはぁはぁっ……この老いぼれでもな…ここぞという場面には立ち上がら無ければならないのだ。」
「ふん！そのふらつく身体でどうやってこの僕と戦うというのだ？」
フィガーロの言葉は確かに的を得ていた。
いくら強い力を持つユーロ様でもこの敵相手にはその身体ではみすみす殺されに立ち上がるようなものだ。
「ユーロ様……ご無理はされないでください！」
「ふふ…マリア…この俺の…マジェストとしての力を今こそ最大限に発揮する時が来たようだ。」
「なにを！！？？」
フィガーロは鼻で笑うと、口を開く。
「やれやれ…じじいが一体何をする気なのかね？老いても自分をまだ古代三大魔神を従えてるから俺はまだ強いーなんて笑える話でもするつもりじゃあないだろうね？」
「な！？貴様！！ユーロ様を侮辱するとは！この私が許さん！！！」
私は怒りに震える。
フィガーロは余裕の笑みを浮かべる。
「なぁに…本当の事だろう？？」
「くっ！？貴様らが卑劣な手を使ってユーロ様をこんなにしたのだろう？？そうでなければ貴様などユーロ様の敵にもならないわ！」
「くく…女ぁ…その俺にお前は魔神ごと消されたけどなぁ。」
「なにっ！！？？」
「はっはっは！まあいい…どの道このヨーロディアを支配する為には貴様…『ユーロ』という厄介な奴をいつかは始末しなければならなかった事だ…後になろうが…今ここで消そうが同じ事だ。」
「なにっ！？」
私がそう叫ぶも、奴の表情は変わらない。
この余裕そうな表情は…やはりこの男の力。
全盛期のユーロ様ならばまだしも、今は病を患っておられる。
簡単に勝負は、決まらないであろう。
ならば。
私が立ち上がろうとするが…やはり奴から受けた内蔵のダメージは大きかった。
「くっ！！？」
私が片膝をつき…深い息をついていると、ユーロ様はその手に光を集めている。
「えっ！？ユーロ様？？」
「スィール……」
「えっ！？その魔法は……。」
ユーロ様の魔法は優しい光。
それは私の全身を包み込んでいく。
すると、傷の痛みがゆるりと癒え不思議なバリアに包まれる。
「それは…一時的なバリア魔法だ……お前にはもうそれ以上の傷はつけさせん。」
「ユーロ様…何故それを…私に？？」
ユーロ様は、ニコりと微笑み応えてくれる。
「未来を守るのは…お前達だ。マリア。」
フィガーロはその力にイラついたのか、ユーロ様へ怒号を浴びせる。
「ふざけやがって…なーにしたんだ？？貴様？？」
「なぁに……俺の部下を守ったまでさ。」
「なにいっ？？」
フィガーロのその表情は、突然豹変する。
いかにも凶暴そうなその表情は…私にかけられたこの魔法のせいなのたろう。
「死に損ないのくせに、今更何をしようって言うんだ？？」
すると…ユーロ様は来ていた上着を脱ぎ捨てる。
「なんのつもりだ。」
「動きやすく……」
「何が動きやすくだ！！この僕をなめるのをいい加減にしろよ？？」
「お前をなめてなどおらん…俺はこの地の三大魔神の一人を保有していてな。」
「何が魔神だ…貴様そういえば見た所どこにも魔神具を見当たらんが…もしや、ハッタリか？」
拳をならしながら…ユーロ様はフィガーロの元へ歩き出す。
「なんだ？ユーロ…貴様…先程までとは全く違う動き…何事だ。」
そう…あれほどまで倒れそうになっていたのはユーロ様の演技？
いや違う。
これがユーロ様をこの地…ヨーロディア最強といわしめた強さ…なのか。
するとユーロ様は口を開く。
「驚いているのか？この俺は魔神の中でも唯一と言ってもいい…本来は魔神具として何かを持っているのだがな。俺の魔神具は。」
ボウッとユーロ様は身体に闘気を纏う。
「肉体自体に魔神具を融合させた特殊な魔神具……バトルスーツ…これが俺の。」
激しく放つオーラはユーロ様の全てに力が宿る。
「力だ！！！？？」
ユーロ様は、その足で突っ込んでいく！！！
その速さは…まさに電光石火という名がふさわしい。
「はぁぁぁーーーーーーーーーー！！？？」
「なにいいいーーーーーーーーーっ！？」
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