ヨーロディア世界編シーン72
フィガーロと戦う聖騎士マリア。
果たして結末や如何に!?
私達の前には、フィガーロがいたハズなのだが…私の目には何も映らなかった…すると。
「これは…。」
「それを……吸い込むな!!マリア!!??」
「えっ!!??」
ユーロ様の声を聞いたその時…赤い霧が立ち込め…私に迫る。
私は吸い込まないよう、口を塞ぐ。
だが…その時だった。
クラっと目眩が起こり…突然足の力が抜けてしまう。
私は剣を突き立て…片膝をつくと、倒れてしまいそうな身体を支える。
「ぐっ!くぅっ!!」
『クックック…多少なりとも…吸い込んだな。』
フィガーロの声が聞こえる…と共に意識を持っていかれそうになる私の身体。
「くぅぁっ!!??」
『どうだ??苦しいだろう…何せ僕の魔神がお前の身体の中に入り込んだんだから…なぁ…。』
「な…にっ……!?」
『死にゆく貴様らに…この僕の力の一部を話してやろうではないか。』
「くっ………………。」
私は意識が飛びそうになるのを、なんとか気力で食い止める。
『くっくっく…僕の魔神による能力はそう…『血』だよ…自在に血液を操りそして…内部よりの破壊を得意とする。この意味が分かるか!?』
「なにを。」
次の瞬間…私のお腹の底から何かが込み上げてくる。
「ぐはっ!!!」
私は目がかすみ…倒れていく。
その目に映ったのは…口から吐き出された私自身の血だったのだ。
『おお…そこはどうやらお前の胃だったらしいな。』
「うぐっ!!ぐはっ!!」
更に胃から戻ってくるのは、私の血液。
これは……一体どういう事なの……?
額からは、脂汗が滲んでくる。
吐血した事により私は、フラフラと力が抜けていく。
「くっ!こんな…力を………。」
『ふふん…そう…僕は血液を司る魔神を使役していてね……どうだい?さっきの話…思い出したかい?』
「さっきの話…まさか…ドラキュラ王………。」
するとフィガーロは、にやりと微笑む。
「おお…どうやらここまできてやっと僕の魔神の正体に気がついたかい??」
「はぁ…はぁ……まさか魔神というのはドラキュラ王だったのか。」
「おお…よくぞ、そこまで気がついたねぇ……そう…この僕の魔神は…このヨーロディアの太古から目覚め蘇った……吸血鬼……ドラキュラ王…だ。」
「なんと………。」
「魔神が…伝説でしか聞いた事もなかったあのドラキュラ王だというのか。」
するとフィガーロは、口を開く。
「そうだ…まあ…正確にはドラキュラ王を魔神として…現世に蘇らせた奴がいる…そういう話…だがな。」
「その者の名は…まさか………。」
「まぁいい…いずれ分かる話だが…そうさ…ドラキュラ王を復活させたのは魔王…ゼルドリス様だ。」
問いかけたユーロ様は驚きの表情を見せる。
その表情から…恐るべき事が起こった事を察する事ができたのだ。
「だがな……この僕はただのマジェスト達とは違うのだよ?なぜかこの理由が君達に分かるかね?」
「なにっ!!??」
「どういう事だ…。」
「ふふん…見てろ。」
フィガーロはそう言うと…その姿を露わにして行く。
徐々に元の身体へと戻っていったフィガーロ。
「いいか?…この僕は不死のモンスターと呼ばれるドラキュラ王の力で自身の身体も同化する事により僕自身がドラキュラ王になったのだ。つまり………貴様らが例えマジェストとしての力をふるえど…所詮は人間だ…その肉体は傷つきダメージが蓄積すれば死に至る…その女の様にな…だがこの僕は不死の身体を持つマジェスト…つまり………この僕は最強のマジェストという事だ!!!」
そう叫んだフィガーロ。
確かに彼の言うとおり…それが事実だとしたら人間が彼を倒す事など叶わないのだろうか。
ならば。
私は全身に力を込め…剣を抜いていく。
「アアん??なんだ……その剣は。」
「分からないか?これは。」
私は剣を握り構える。
「貴様が本当に不死身なのかを試す為に!!!!!!!」
私が剣を振り上げフィガーロに斬りかかる!!!
フッとかわしていくフィガーロ。
私の剣撃にフィガーロは息も切らさず、躱していく。
「はぁぁーーーーーーーーっ!!??」
ガキィィン!!!っと剣は弾かれる。
「くくっ…これだけ…か。」
「私はここで…果たす………。」
「はぁ??何を言ってるのだ?」
「エンゼルハープ…。」
私の剣は、光だし…そして光から生まれ出した何か。
剣は、なんと美しいハープへとその姿を変えたのだ。
「なんだ??そのハープは…僕に音楽でも聞かせてくれようとでもしてくれるのか?」
「フン…これは音楽を奏でるものでもあり……そして…私の魔神を呼ぶ為の魔神具。…さぁ聴くが良い……その美しい音色を。」
ポロロンっと…鳴り響く私のハープ。
そして音色は徐々に空間に広がっていく。
ポロンッ。
音色は鳴り響き…やがて鳴りやむ。
「いでよ……魔神……セイレスペガサス。」
次の瞬間姿を現していく魔神。
美しい翼を広げるペガサスが、姿を現したのです。
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました!