ヨーロディア世界編シーン70
ユーロ達の前に現れた男とは!?
ダンジョンピット内…最奥の神殿…ここまでくるのが大変な事にも関わらず…難なく私達の目の前に一瞬で姿を現したその男。
そいつはニヤリと微笑むと、口を開くのだった。
「ふん…ここが私の新しい本基地になる場所…であろうか??」
その男は、一言そう呟いた。
「どなた……ですか??」
私は腰元の剣に手をかけ、男に問いかける。
すると…ニコリと笑みを浮かべながら口を開く男。
「君達は僕の事を知らない…ふぅん……なるほどね。」
「お前は…まさか!!??」
ユーロ様は額に汗を浮かべ、男に問いかける。
すると男はマントをひらりと翻す。
「仕方のない者達だね…僕の名は…『フィガーロ』…このヨーロディアの新しい支配者だ。」
「なっ!!!???」
「くっ!!?貴様が…フィガーロ…か。」
私達の前に突然現れたこの男。
この男がこのヨーロディアの…我々の生命を脅かしてきた元凶なのだ。
確かに、この男の奥底から…嫌な不気味さを感じるのだ。
一度ここへ、フィガーロの部下であるとディーノ兄弟とやらが尋ね、牙を向けてきたが…奴らも確かに脅威的ではあった…だがそんな彼らが従う程の男だ。
気がつくと…私はこの男に対して恐怖を感じていた。
するとフィガーロは口を開く。
「どうした?」
「えっ!?」
私に問いかけたフィガーロは…その場から忽然と姿を消していたの。
次の瞬間…私が感じたのはフゥーっと背後から僅かに流れてきた風。
そして、背後から誰かの手が伸び私の頬を撫でる。
「くっ!?貴様ーーーっ!?」
私は、剣を抜き身体を翻し…背後に斬り掛かる。
すると…そこには誰の姿もなく…私の剣は空をきる。
「えっ!!???」
辺りを見渡しても…そこにはユーロ様の姿しかなかった。
すると…どこからともなく聞こえてくるフィガーロの声。
『クックック……どうした?女ぁ??』
「どこだ…お前は…お前の能力とは何なんだ。」
『さぁなぁ…自分の事をペラペラ話すマジェストが…どこにいるんだ??』
「やはり……フィガーロ…貴様も…魔神を……。」
『クックック……貴様らがその魔神を使うマジェストだという事もこの僕は知っている。まあいい…ここで今回の僕のやろうとしてる事を話してやろう』
すると…フィガーロは語り始めるのだった。
◇
『僕はこの地を支配する為…やはりどうしても貴様ら『マジェスト協会』がどうしても邪魔なのだ。』
まずは、その為に…僕は部下であるモスキートデビルを使い…この地に生物兵器である『病』を放ってやったのだ。
狙い通り、その様に…お前達のトップであるユーロは見事病に侵されてくれたがな。
これから僕は…この地を支配する。
その為にはユーロ…貴様がどうしても邪魔だ。
貴様は放置していてもやがて死ぬだろうが…僕は貴様の死を確実にしておきたくてね…。
だが貴様に、ここへ我が部下を放った時…厄介な部下達がいたのでな…俺は各地に新たな部下達を放ったが…見事に釣られてくれてなぁ…やはり正解だったようだ。
あやつらがいたら、お前を消すのに少々面倒なのでな。
様子を見てはいたが…ここでこの僕の出番って訳で…自ら、ユーロを消し去る事にしたのだ。
「ふん…今回のこの事件が全て貴様の策略だったという事か。」
「今更気づいた所で…僕の策略で貴様を助けてくれる奴らはここから遠く…『ドイツェール』にいる…早々に戻ってこれるハズがない…奴らが来た頃にはお前は…もう死んでいる。」
そこまで話したフィガーロは言葉をやめたの。
フィガーロが言葉を話さなくなった事によってこの場は私とユーロ様しかいない。
だが…目には見えずとも、この場には…あの男ユーロが確実にいるのだ。
私は剣を握りしめながら…フィガーロの気配に全気力を傾ける。
『クックック……この僕が今どこにいるのか…見えないだろう?』
「貴様………。」
私は見えないフィガーロの気配に闘気を全集中させる……。
敵は何かの能力で自らの肉体を私達の視覚から消し去っているのだ。
すると…すーっと私の頬に何かが触れる。
「はぁぁーーーっ!!??」
私が斬り掛かると…何かに当たった感覚。
すると…見えないフィガーロの声が聞こえてくる。
『へぇ〜やるねぇ…流石とも言うべき剣技だ。』
「まだまだこんなものでは無い…私はユーロ様の専属秘書であり専属騎士『マリア』。」
『へへ…いいねぇ…益々欲しくなったよ…そこの老いぼれはこれから死ぬんだ…その後は…僕の物になってくれよ…。』
「なにっ!!??」
私が剣を構えると…再び奴は声を発する。
『もうわかっただろ?君と僕との実力差が。』
「くっ!!??」
『このまま…僕の力の前でボロボロになるか…それとも……僕の物になってこのヨーロディアの支配者の支えとなるか…どちらかを選ばせてあげる事にしようか。』
「私は…私は!!!!!!」
私は剣を振り上げ、そしてフィガーロに斬り掛かった。
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