ヨーロディア世界編シーン69
クロノ達はマジェスト本部へと急ぐ。
一方その頃マジェスト本部で待機していたユーロ達。
時…同じくして。
ここはヨーロディア…マジェスト本部。
ここにいたのは…守護騎士マリア、そしてユーロの二人だった。
「くっ!?ふぅ〜〜〜っ。」
「だ、大丈夫ですか?ユーロ様っ!!??」
「ああ…あれからアンナ、エンポリオ達も『ドイツェール』へ向かったが暫く連絡がなかったが…きてないのか!?」
「ええ…一応皆無事という話でしたので問題は無いかと…それよりもユーロ様…今は、ご自身のお身体にお気遣いください。」
今ここにいるのは、私とユーロ様。
ユーロ様のお身体は、この地で猛威を奮っている『セブンデイズデス』という憎むべき病に侵されている。並の人間ならば七日間…つまり発症してから一週間もすれば…皆、治療のかいもなく死亡してしまう為…この名がつけられたのだ。
そして、我が主ユーロ様は事もあろうに…敵の刺客に一計を図られ、今こうしてその病に苦しんでいるのだ。
「うぐっ!!???」
「ユーロ様!!???」
苦しむユーロ様に近づくと、彼の口元に赤い何かが…チラリと見える。
(吐血………か…ユーロ様。)
私にはそれが事の他、危険な状態だと言う事が分かる。
「ユーロ様!!??提案ですが…これより医師の元にうががってみる…というのはどうでしょうか??」
「はぁっはぁっ…だ、大丈夫だ。」
「そんな!でも!!!??」
「この街の医療機関が今この病の蔓延でいっぱいになっているのは知らされておる…俺はこの精霊の神殿『ダンジョンピット』内にいる分…大丈夫だ。」
「ですが!!???もうそのお身体では!?きっと医療機関にいけばユーロ様でしたら優先的に………えっ!!!??」
その時、私の言葉の続きを聞かないようにする為だろう…ユーロ様は私の言葉を遮ったのです。
「よいか……マリア……この俺が…いかにこの地を守る為にこれまで努力し、民衆にも名も通ってはいるが…それは。」
「いえ!この地…ヨーロディアに住む者であるなら誰しもがユーロ様の偉大さを分かっておられるハズです!!ですから!!」
「マリア!!!!!!??」
ユーロ様の怒声に私は黙ってしまう。
「すみません…ユーロ様……………。」
「よいかマリア…人はどんなに偉かろうが子供からご老人まで…時として例外もある事もあるが…皆…平等に生まれ…そしてその生命を全うして平等に朽ち果てていくのだ。」
するとユーロ様の表情は穏やかな顔へと変わっていたの。
「だからこそ…例え俺が病院へゆくとしても…順番を待つのだ!優先などという言葉は有り得ないのだ。」
私はハッと我に返る。
「生命の重みに優先順位などない。いいな。」
「は…はい!失言をしてしまい…申し訳ございませんでした!!」
私はユーロ様の言葉に…目に熱いものを感じたの。
ああ…神よ……この方に一瞬でも永き生命を。
すると私の通信機器に突然ガガガ…っと雑音が入る。
「えっ!??これって………エンポリオ??」
「なに……エンポリオ…からの連絡か?」
「はい……ちょっと雑音が酷すぎますね!?」
私が聞いていても、雑音ばかりでまともな音声は聞こえてこない。
時折エンポリオの声であろう雑音の隙間…隙間に聞こえてくる声。
それを、紐とこうと考えるも中々難しいものである。
『が…ガガガ…………ピーッ………ガガッ。』
『ザザ………ガガ……………………。』
私とユーロ様は顔を見合わせるが、ユーロ様にも分からないようである。
「ダメ……みたいですね………。」
「何かの通信障害なのか…まあ…だがこの場所は特殊な魔法陣により下級のモンスターなどは立ち入れないようには出来てはいるからな…余程の何かが来なければ…ここも比較的安全ともいれるのだがな。」
「ええ…その点はこのダンジョンピットへと避難してきたのは正解ではありました。ですが。」
その時…私の胸に何かの予感を感じたのだろうか…何故か先程から嫌な予感が止まらなかったのだ。
するとユーロ様が口を開く。
「どうしたのだ??マリア??」
「あ!いえ…なんでも………」
と、言葉を最後まで言いきらなかった…その時。
凄まじい嫌な予感と気配を感じる。
「マリア!!!???」
「ユーロ様!!???何か……来ます。このダンジョンピット内に簡単に入ってこれる力を持つ…何者かが…………。」
すると…突然エンポリオからの通信が鮮明になったのです。
『マ…………マリア様ーーーーっ!!?』
『ど。どうした??エンポリオか??』
『ア、アンナです!!マリア様!!?あ、、』
『どうしたの??』
私は再び問うと、聞こえたのは…絶望的な情報だったのです。
『マリア様!!今すぐそこからユーロ様を連れて逃げてください!!!』
『エンポリオ!?どういう事??』
すると、私のつけていた通信用ヘッドホンマイクが突然パリンっと音を立てて壊れたの。
「何者!!!????」
私が振り返り見るとそこには。
恐ろしい何かの力を秘めているであろう。
一人の男が立ち尽くしていたのだ。
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マリアとユーロの前に現れた怪しき男とは!?お読みくださりありがとうございました!