ライブ配信シーン18
クロノ達が出会った少女サキノに起こった出来事とは!?
これは獣人の少女サキノに起こった出来事である。
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サキノの村はグランドバズ王国よりずっと西の大湿原を越えた先の大きな森の中にひっそりとあったの…その村では私達獣人が平和に暮らしていた。
グランドバズにも獣人達はいるけれど、どうしてサキノ達がそこで暮らしていたかと言うと…獣人にも沢山の種類の獣人がいる。
でも、この村には戦闘向きでは無い獣人達が寄り添う様に暮らしていたの…ネズミさんとかウサギさん…そしてサキノの様に犬の獣人とかも。
他の街との交流は、ほとんどないけれどサキノ達の様な獣人にとってはひっそりと暮らしている方が一番安全だったの。
そんなサキノは小さい頃から絵を描く事が大好きで村ではいつも絵を描いて過ごしていた。
サキノのパパは村のリーダーとして村人を守る為に動いていてママは絵師としてサキノを入れて数人の絵の好きな子に絵を教えてくれていたの。
そんな素敵な両親がいてサキノは幸せに暮らしていたの。
ところが平和なこの村にある時…数名の騎兵隊を引き連れた馬車が現れた…。
馬車に乗り、現れた男の名はグランドバズ王国の大富豪『トルネル』とその庸人数名。
トルネルはこの村に来るやいなや叫ぶ。
「私は大富豪トルネルである!この村はペットとするには丁度いい獣人がいると聞きやってきた!そこでこのトルネル様がお前達を飼う事に決めたのだ!よって…『獣人狩り』をこれより行なう!!皆を捕らえよ!!」
サキノとママは家の中からその光景を見てたの。
「ちょっと、またれよ!!」
そこへ村を守る為に出ていくパパの姿があったの。
「貴方が噂に名高いトルネル様ですか?ですがここには生憎その様な獣人など一人もおりません…なので早々にお帰りくださいませ…。」
パパは村のリーダーとして…この村を守る為にその様な言い方をしてこの場をおさめようとしたの。
するとトルネルは後ろにいる男に声をかける。
「おい…出番だ。」
そしてトルネルの背後からパパの二倍…いや三倍程の身体はあろう大男が姿を現したの…。
男はフードを脱ぎ捨てる!
すると男は誰もがどこかで見覚えのある顔だったの…。
そしてパパは男の顔を思い出す!
その男はグランドバズで最近捕まった殺人強盗犯『ブルーノ』だったの…。
強盗、暴行、そして捕まった時は十人もの罪の無い人々を無差別に殺し捕まったそう。
「犯罪者が何故ここに!?」
「ほぉ?お前もこの男の事は知っていたのか?なら丁度いい…私の言う通り大人しく全員狩られるのだ!!」
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その後は悲劇の光景だった。
ブルーノは恐ろしいナイフの使い手…ナイフを自在に操り村人達を切り刻んでいったの。
それは老若男女問わず…見える者全てを切り刻んでいくブルーノ。
「いいぞ!いいぞ!その悲鳴!俺にもっと!もっと斬らせろーーーーーッ!!!」
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一瞬の出来事だった…。
サキノの目には悲劇の光景が焼き付いたの。
そして気がついた時には家の外に飛び出し立ち尽くしていたの。
辺りを見渡すと先程まで一緒に遊んでいた男の子が血を流し倒れている。
隣を見るとその子のパパとママが重なる様に倒れ息絶えていたの。
サキノが目をブルーノに向けると何度もパパをそのナイフで刺し、息絶えたパパの身体を足で振り払う。
パパの身体は転がり止まると…もうピクリとも動かなかったの…。
気がつくとサキノの身体は震えが止まらなくなっていた。
声も出せなく震えていると襲いかかってくるブルーノの姿!
サキノが動けなくなっているとナイフを掲げ目の前に立ち尽くすブルーノ!!
「!!??」
サキノは思わず目を閉じてしまったの…。
そしてグサッっと鈍い何かの音が聞こえる。
「きゃああああっっ!!!??」
同時に聞こえたその声にハッと気がつくと庇う様にサキノを抱きしめているママの姿があったの…。
「に…逃げなさい……サキ…ノ……。」
ママは最後の声を振り絞る様に呟くと…そのまま力無く倒れていったの。
「ああっ!ママ…ママーーーーーッ!!!」
その後は自分でもどうなったかは分かってないの…。
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気がついた時にはサキノはトルネルに捕まり馬車に乗せられていた。
あの後…涙を流す事しか出来なかったから…村はその後どうなっていたのかは覚えていない。
馬車にはサキノ以外にも女性が数名乗せられていた。
涙を流すまだ成人には満たない女性、ポカンとして自分を失っているであろう少女、そしてサキノもその中の一人だったの。
それからここ…グランドバズ王国に連れてこられ、大人しくトルネルに従う子はメイドとしてこき使われ歯向かう者は蹂躙されやがて自我を忘れ奴隷とされた。
サキノは感情を無くしたメイドとして働いていたの。
そんな時…サキノはふと荷物の中にある物を見つけた。
それは以前ママから御守りとして貰ってサキノが肌身離さず持っていた小袋だったの。
サキノは小袋を開けるとそこには何と…組み立てられる『一本の筆』が入っていたの。
サキノは辛いそんな生活の中でこの筆を使って絵を書いてみようと考える。
ある時、御屋敷の中で紙とインクを何とか手に入れると部屋でこっそり絵を描く準備をする。
「久しぶりに絵が描けるんだ。」
サキノは筆を取りいざ絵を描こうとすると筆が僅かに光り出す。
すると頭の中に誰かの声が聞こえてきたの。
(ねぇねぇ…君!絵が描きたいのかい?)
「だ!誰!?」
(私は君の持ってるこの筆、夢の筆に宿る『魔神カラーウルフ』だよ?)
「魔神?カラーウルフ?」
(そう!私は絵が大好きな君ともっと仲良くなりたくてさ?)
「私と仲良く?」
(そうそう!だって君は絵が大好きだよね?)
「うん!私絵が大好きなの。」
(そうだよね?じゃあ私とこれから沢山絵を書いていこうよ!)
「うん!いいよ!…あ!でも…。」
(えっ?どうしたの?)
「この御屋敷にずっといるからサキノちょっとしか絵がかけないの…。」
(そっかぁ…じゃあ寂しい時はいつでも私に声をかけて!)
「えっ?いいの?」
(もちろんだよ!サキノはもう私の友達だよ?)
「ありがとう!カラーウルフ!」
(名前長いね!カラーでいいよ!サキノ!)
「じゃあカラー!サキノの友達よろしくね!」
(うん!よろしくサキノ!)
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「サキノね、カラーとお友達になって…そして…トルネル様がいない隙をついて御屋敷から逃げてきたの…。」
「そんな事があったんだね?」
「うん…でもまだ御屋敷にはサキノと一緒に連れてこられて酷い事されてる村の人もいるの!!」
するとサキノの目からは涙が溢れ出す。
「村の人…サキノ助けたいの。」
「サキノちゃん…。」
カルマはサキノを抱きしめていた。
「サキノ?お兄ちゃん達はもうお前の友達だ!御屋敷の場所教えてくれないか?」
「う…おにい……ちゃんっ…………。」
サキノは涙を溢れさせる。
こんな怖い思いをしてきたんだ。
当然こうなるだろう…。
「お兄ちゃん達が村の人達を助けてやる!」
「クロノ…行きましょう!」
「クロノ…カルマ…サキノと一緒に来てくれるの?」
「サキノ…任せろ。」
サキノは精一杯の思いで言葉を振り絞ったのだろう。
俺は泣き顔のサキノの頭を撫でる。
こうして俺達はサキノを救う為。
トルネルの屋敷に向かう事になったんだ。
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サキノに起こった悲劇!
そのサキノを救う為に!
お読み下さりありがとうございました!