ヨーロディア世界編シーン61
絶対絶命のピンチ!
そして。
敵であるロッジの魔神攻撃は、私達に放たれた!
次の瞬間。
私達の身体は、見えない壁に勢いよく叩きつけられる攻撃に襲われる。
もちろんその衝撃にダメージもうける。
身体中が激しく痛む。
二人の子供を守る為、エンポリオ君はレオン君を庇い、私はソフィアちゃんを抱きしめる。
しかもその攻撃は、連続で起こったの。
「いやっ!!やーーーっ!!!」
「うっ!んくっ!くはっ!!」
「やぁーーーーーーーーっ!!!」
「クックック…俺様の魔神ミノタウロスは本来は『闘牛』をモデルとしている…この技は待機中に風圧から真空を作り出し、くらった奴の身体を吸い込むのだ…それにより見えない壁に激突する。最後に待ってるのは…死だ。」
ここへきて、そんな恐ろしい技を使うだなんて。
誰もが予想だにしないこの技に私達は、されるがままになってしまったの。
気がつくと…皆吹き飛ばされ…倒れてしまっていた。
私とエンポリオ君…私達だけはエンポリオ君のアーマーにより何とか致命傷は避けられてるのかも知れない。
私は、力を振り絞り立ち上がろうとする。
ところが…以前戦った時の彼らとはケタ違いの強さ…今回のロッジの攻撃は私の身体にもダメージを残してしまったの。
「うっ!くっ……。」
「ほぉ?女ァ…まだこの攻撃でも立ち上がれるのか?」
ロッジの声は、私に向けられていた。
だけど私は目を凝らすと、視線の先には気絶しながらもフワフワと浮いているサキノちゃんが見えた。
それは麒麟ちゃんとアンナさんが、彼女を守っていたみたい。
安心を得た私…だけどその時…アンナさんはふらつき倒れていく。
「アンナさん…くっ!!」
私は立ち上がろうと試みるも力が入らない。
するとロッジは私に近づいてくると、倒れている私の目の前にたちつくす。
「安心して寝てろよ…あの女は最後にとっておいてやるよ…邪魔だが奴らも簡単には動けねぇよ…。」
「くっ…エンポリオ……君?」
私は彼の大きな身体を探す。
だけど…どこにもその姿は見えなかった。
すると…このディーノ兄弟の兄であるキグナスが口を開く。
「はっはっは…お前が名を呼んだ奴ってのは…こいつの事か…………???」
「えっ!!???」
キグナスの声に私が目を向けると。
そこには…キグナスの魔神であるケンタウロスに頭を掴まれたまま…持ち上げられているボロボロのエンポリオ君の姿だったの。
「エンポリオ君!!???」
「クックック……なぜ今こいつは、ここでこの俺に捕まってると思う……?」
私に問いかけてくる…キグナス。
その表情は、やらしくもニヤつきながら口を開く。
「いいか…コイツは弟ロッジが技を放つその時を狙っていつの間にかここまで辿り着いていたんだよ…だがしかし…俺達は兄弟だ…俺にはロッジの考えも言わずもがな、分かるってもんだ。俺はそのままコイツを捕らえて…こうなってるって事だ。」
「エンポリオ君…どうして。」
私は悔しくて、いつの間にか涙が溢れていた。
すると…私の真上に立っていたロッジの声が聞こえてくる。
「どうだ?女ァ??これでどうやらジ・エンドって感じだなぁ。」
私は立ち上がろうとするも、腕にも力が入らない。
「やめ……ろ………………」
「えっ!?エンポリオ君!!??」
動けずにいるにもかかわらず、声を上げるエンポリオ君。
「はぁぁぁ???」
「ぐっ!う…がぁぁぁ。」
キグナスの魔神が、エンポリオ君の頭を更に閉めるとエンポリオ君の声がいっそう高くなる。
「もう…やめ…て…………。」
「はぁぁぁ??なにいってんだ??」
「もう…やめてよ………。」
気がつくと私は目から涙が零れていた。
すると…エンポリオ君が口を開く。
「カルマ…さん…ぼ…僕…は……だ…大丈夫……だよ。」
「エンポリオ……君。」
その時……。
「お前……この死に損ないが…うるせぇ…。」
ドカッ!!!!??
「いやぁぁぁっ!!??」
キグナスの矢が、エンポリオ君の肩に放たれ突き刺さる。
彼の腕がドクドクとその血で、真っ赤に染まる。
「いってて……ふぅ………僕は……やっと…マジェストになれて…強くなった気でいたな…あはは…でもやっぱり…まだまだ…だね。」
「エンポリオ君…………。」
「僕の今の仕事………それはここにいる皆を守る事……だった…………。」
「えっ!!??エンポリオ君??」
私が聞き返すと、アンナさんは何かを察したかのように叫ぶ。
「エンポリオ…そっか……そういう事ね…私も今やっと気がついたわ…これで私達は休憩できるわね。」
「えっ!!??アンナさんまで??」
エンポリオ君もアンナさんも、何故安心したかのような言葉を発したのか…それが心が不安定だった、この時の私には分からなかったの。
すると……突然サキノちゃんが目を覚ます。
飛び出してくるカラーウルフ。
カラーウルフは、サキノちゃんを背に乗せると彼女は微笑む。
その表情は、とてもにこやかな表情だった。
「えっ!?えっ!!??どうしたの??皆?」
私がそう叫ぶと、目の前にいたロッジが周囲を見まわす。
「な……この力は一体………なんだ!!!??」
ロッジの叫びに続いたのは…サキノちゃんの一言だったの。
「お兄ちゃん………おかえり。」
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