ヨーロディア世界編シーン60
エンポリオの攻撃に敵は。
エンポリオによる激しい攻撃で、吹き飛んだのは…ディーノ兄弟、弟ロッジ!!
カルマ視点
「よし!」
その巨体は吹き飛び、壁へと激突していく。
ドガーーーーーーンっと、激しい音を立てて建物を崩壊させる。
辺りに響き渡る衝撃音。
だけどエンポリオ君は、吹き飛んだロッジに目を向けていた。
そして 一方のサキノちゃん達の攻撃でその身体を焼かれた兄のキグナスは、その炎が消えていき…プスブスと煙を立て倒れていたの。
◇
◇
◇
「やった………………。」
「やった………かな?」
私の声にエンポリオ君がこちらに目を向けて微笑む。
すると、私を呼ぶサキノちゃんの声。
「カルマお姉ちゃん…大丈夫?」
「サキノちゃんも…なんとか無事で良かった。」
「うん!アンナお姉ちゃんも無事だし、それにあの子達も。」
「うん!」
すると、私達の元にレイン君とソフィアちゃんの頭を撫でるアンナさんが立っていたの。
「もう大丈夫そうね…二人も無事でよかった。」
「うん…………ありがとう。」
レオン君のアンナさんに対する、にこやかな笑顔…本当に良かったと私もほっとため息をつくと、ソフィアちゃんが私の元へ走ってくる。
「ママ……私…………。」
「ソフィアちゃん………。」
私の胸に飛び込んでくるソフィアちゃん。
力強く抱きついてくる、その力強さは余程、怖かったんだと思う。
私はソフィアちゃんを抱きしめる。
すると彼女の身体はいつしか震え…そして泣いていたの。
その時。
私の背筋に突然悪寒が走る。
「えっ!!??」
悪寒による緊張感から…私の額から冷や汗が流れた気がした。
ボコっボコっと何かの音が聞こえる。
そう…それは先程私達が倒したハズのあの男達からだ。
「お前ら!!!!????………くっ…………。」
エンポリオ君が振り返り構える。
すると弱っている彼も、また片膝をついてしまう。
そう…彼はこの戦いが始まる前の戦いでサンドバッグになった事により、ケガが一番酷かったハズなの。
「エンポリオ君っ!!??」
「カルマさん!大丈夫!大丈夫だからカルマさんは二人を見てて!!」
すると二人は、私にしがみついていた。
「レオン君…ソフィアちゃん…私が守るから。」
「うん。」
「ママ…うん。」
私は、二人を守る為に剣を握る。
「二人に手は出させないわ!!」
「私もいるからね…カルマお姉ちゃん!」
「サキノちゃん…うん!」
すると前に出たのは、アンナさんだったの。
そして彼女はボウガンを手に構える。
「さぁ…ここからは…私が相手よ!!麒麟ちゃん!!!」
『やっ!アンナァ!いっくぞーーー!!』
アンナさんから飛び出したのは、魔神麒麟ちゃん。
するとディーノ兄弟、弟ロッジは一気に起き上がると、崩れた瓦礫を吹き飛ばす。
ドシャーーーッと瓦礫を弾き飛ばし、起き上がるその身体。
「クックック……どうやら…パワーアップしたのは俺達だけでは無かったってことだな…兄貴!」
「そうらしいな…ロッジ…ならば…そろそろ…。」
焼かれて黒い炭の身体になったハズのキグナスは、何事も無かったかのように…言葉を話せていたの。
その時!!!
突然シュンッと私の目の前を、何かの光が通り過ぎたの。
次の瞬間。
「うっ!あああーーーーーーーーっ!!!」
アンナさんが激痛の叫び声をあげる。
「アンナさん!!??」
「お姉ちゃん!!???」
サキノちゃんも、その光景に思わず叫ぶ。
すると見えたのは、アンナさんの腕を貫く何か。
それは一本の矢だったの。
激しい痛みだろうアンナさんは刺された腕を抑えながら崩れ落ちる。
サキノちゃんはアンナさんを庇っている。
「クックック…それは反撃の狼煙ってやつだ。」
「なにっ!!???」
「どうやらお前らは勝った気でいたのだろうがな…あまい…な。」
「そうだな兄貴…この俺達があれくらいでは倒れねぇぞ??」
「なんて…やつら…なの。」
思わず彼らの戦いに、私は恐ろしさを感じる。
すると再び大斧を振りかざす弟ロッジ。
「さぁ…ここからが俺たちの本気だぜぇ。」
ロッジの叫びに、彼の後方から首を出す魔神ミノタウロス。
そして本体であるロッジの動きに呼応し、その化け物もまた…手にした巨大な大斧をふりあげていたの。
「技を練り上げてパワーアップさせて必殺化できるのはお前らだけじゃねぇんだぜぇ。こうして…な。」
ロッジはそう言うと、彼の斧に禍々しい魔力が宿っていく。
それは余りにも凶悪で、恐るべき魔力だった。
それ故に、私達だけではなく…この幼い子にすら感じられたんだと思う。
私の手を握る二人の手にも…力が入る。
「大丈夫…よ…大丈夫…私が…守るから!!!」
次の瞬間。
「うらぁぁぁーーーーー!!!!くらえ!!」
『牛魔人ロデオデス!!!!』
そして私達全員に、何かが起きる!!!!!
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お読み下さりありがとうございました