ヨーロディア世界編シーン53
対エンポリオ。
果たしてどうなる)
ゲルハルトはたまらず『孤児院』を飛び出す。
だけど向こうは飛んでいる。
それは私達にも追いつけないほど素早い。
その先には。
◇
カルマ視点
「はぁ…はぁ…はぁ………。」
私はエンポリオ君が追って行った方向へ走ったの。
「エンポリオ……君。」
すると…一足先に向かったフェリスが血相を変えて飛んで戻ってくる。
『カルマーーーーー!!!???』
「フェリス?どうだった!?」
『早く…いいから…早く、いくぞ!!』
「うんっ!!!」
私達は走る。
一人戦っている彼の元へ。
◇
◇
◇
そして走る事十分ほど…私は、いつしかこの街の西側へ向かっていたの。
走って辿り着いたのは路地を巡りに巡って着いた建物に囲まれたちょっとした広場。
そこで見た光景とは。
『ソフィア』ちゃんが捕まっている事によりボロボロになりながらゾンビの攻撃に耐えているエンポリオ君の姿だった。
「エンポリオ君!!??」
「はぁ…はぁ…はぁはぁ……カルマ……さん?」
私の呼び声に気づいた彼はこちらに目を向ける。
ずっと人質を捕らえられつつ…卑怯な戦いを強いられていた事が目に見えて分かる。
「エンポリオ君……」
「カルマ……さん…来たんだね…でも……にげ」
「はぁぁぁーーー???」
そう言いながら上空から私達の前に降りてきたのは…先程…私達の目の前から飛び去った『ゲルハルト』とは大分違いがある姿のモンスター。
ズシンっと激しい衝撃音と共に地に降りた『ゲルハルト』は口を開く。
「グハハハ…そうはいかねぇ………女ァ。」
「えっ?ゲルハルト……。」
「いいか…コイツが分かるかぁ??」
ゲルハルトはそう言うと、その巨大な尾を前に向けてくる。
すると…尾に捕らわれていたのは『ソフィア』ちゃんのぐったりしている姿だったの。
「ソフィアちゃん!!!???」
「カルマ…さん……待ってて…今…この僕が……助けて見せる…から。」
「エンポリオ君っ!!??」
エンポリオ君は声にすると、その大きな身体を起こそうとする。
フラフラと立ち上がっていくエンポリオ君。
彼の姿はこれまで受けた攻撃の激しさを物語る。
今にも倒れそうな彼を私は、ほおっておけなかった。
気がつくと私は彼の元へ走り出していた。
すると空中から大声が聞こえる。
「女ァ…立ち向かってくるとは…バカかーーーーー!!!!!???」
「カルマさんっ!!??」
私の目線は彼を追っている!!!
すると彼は私の名を叫ぶ。
その瞬間!ゲルハルトのソフィアちゃんを捕まえている巨大な尾が油断していた私に向かい飛んでくる。
「!!???ヤバい……」
「カルマさんっ!!???」
そしてドガァァァっという音と衝撃は私の身体を簡単に吹き飛ばす。
(えっ!!??早すぎる!!!???)
そう、先程までとはまるで違うゲルハルトの動きの攻撃に私の身体は震え動けなかった。
アッ……と思ったその瞬間…そのまま私の身体は壁へと飛ばされる。
私は宙で身を返し直撃を避けようとする。
が…その瞬間。
目の前に突然現れたゲルハルト。
「くっ!!??いつの間に!!??」
私の驚きの表情にニヤリと笑うゲルハルト。
次の瞬間…私の身体目掛けてシッポが飛んでくる。
「いやっ!!???」
思わず私は目を瞑る。
あまりにも早いその攻撃に私も対応できずにいた。
その時!エンポリオ君の声が聞こえる。
「うぉぉぉーーーっ!!??」
その大声にゲルハルトが反応する。
「おせえええーーーーーーっ!!!??」
グルングルンっとその尾を振り回す!!!
その瞬間私の身体は尾により別方向に飛ばされる。
更なる痛みと衝撃に私は気が遠くなる。
「いやぁぁぁーーーーっ!!??」
「うああああああーーーっ!!!」
「遅いっ!!!???」
私の身体を飛ばすと ゲルハルトの尾はエンポリオ君の身体をも吹き飛ばす!!!
私達は別々の方向へ吹き飛ばされる。
ドガーーーーーーーーーーンっ!!!という激しすぎるその衝撃音。
そして私達の身体は辺りの建物をも粉々に砕いていたの。
すると…フラフラと建物から出てきたのは。
フェリス…そして…フェローズ君。
二人は互いの手を取ろうと…その手を伸ばす…。
「し…ししょう………。」
「フェロ…ーズ………。」
しかし…二人は手を取れずに……倒れてしまったの。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました。