ライブ配信シーン16
クロノ達はグランドバズ王国に到着する!その先には何が待っているのか!?
グランドバズ王国…他種族合わせて10万人とも言われる人口故…この近隣では大都市とされているのである。
クロノ達一行はここへ辿り着くと馬業者さんとはここで別れる事になる。
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「旦那ぁ!着きましたぜ!この地で一番栄えてる街グランドバズ王国の城下町ですぜ!」
馭者のおっさんの言葉に俺達は馬車の止まるのを待つ。
初めに魔神具で飛んで移動してきたカルマが降り立つ。
そしてヤシュアもその身は軽く先に降りる。
俺が降りる…とその目に映った光景は……。
大都市グランドバズ王国。
遥か彼方まで見える巨大な塀に囲まれている事で…この街の大きさを分かり知る事ができた。
「おお!マジ凄い都市だな…知らずに歩いてたら迷子になりそうだ。」
俺の言葉にリスナーからのコメントが流れてくる。
『凄いな!めっちゃ都会の街やん!』
『色々ありそうだよな!?』
『素敵な王子様なんているのかな?』
その後、女性リスナーの想像する王子様への夢物語を聴いてると馭者のおっさんが声をかけてくる。
「旦那様方…本当に助けてくれて無事ここまで来れた事…感謝しております。」
「いやいや!何も気にする事はないぜ!」
「命懸けでアッシもこの馬も救ってくれた御恩…そうだ…ヤシュアの旦那にアッシの友人の情報屋を紹介しておきますね!」
「そうなのか?ありがとう!」
「いえいえ!ではまたどこかでお会いした時はお力添えしますね!では…アッシはこれで。」
「道中お気をつけて!」
「ああ!ありがとう!」
こうして俺達をここまで乗せてくれた馬車とはお別れをしたのだった。
馬車に手を振ると街の巨大な門を眺める。
この巨大要塞の中に入るには巨大な門があり、そこには屈強な兵士が数名並び、その門を通行する者を検査してから通しているようだった。
俺はこの国の治安防衛の高さに納得する。
「通してもらうのに通行証みたいな物、いるものなのかな?」
「ああ…ちょっと待っておれ…。」
ヤシュアはそう言うと俺達を残し兵士の元へ。
彼は動じず…門番兵士と何かの話をしている。
すると兵士達はヤシュアに深々と頭を下げだす。
ヤシュアは兵士達に挨拶をするとこちらに戻ってくるようだ。
「あ…そう言えば、クロノに話しておくね。」
「ん?なんだ??」
「クロノ…ヤシュア様って実は、この国ではその名を知らない人はいない程の凄い方なのよ。」
「そ…そうだったんだな。」
俺は改めて大魔導師ヤシュアという名前を思い出したんだ。
「クロノ…カルマちゃん…待たせたの。」
「ヤシュア様!ありがとうございます!」
「ヤシュア、ありがとな!」
俺がそう言った瞬間…カルマの溜息。
「はぁ…クロノだから仕方ないか。」
カルマはそう言うと俺を呆れた目で見ていた。
「んっ?」
俺が聞き返すとコメントが聞こえてくる。
『クロノ!カルマちゃん呆れてるだろ?』
『そうだぞ!全く物怖じしないクロノの性格羨ましいよ。』
『クロノは少しヤシュアさんを敬え!』
等などのコメントが聞こえたが…俺はそれよりも目の前のファンタジーな大都市の光景に目を輝かせていたのだ。
「おお!早く中に入ろうぜ!!」
「ふぅぅ…。」
改めて、カルマの深い溜息が聞こえた様な気もしたが…ヤシュアが戻ってくると俺達はすんなりと門を通る事が出来たのだ。
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「うおおおおっ!!あっちには猫の獣人!」
「こっちにはドワーフの武器屋!」
「そっちには…」
(注)カルマ目線
「もぉ!クロノったらおとなしくしてくれない!」
クロノにはファンタジーMAXのこの世界に来てから初めての大都市がめちゃくちゃキラキラとその目に映っていたみたい。
そんなクロノの行動に私と並んで歩くヤシュア様が笑っている。
「フフ…」
「ちょっと!ヤシュア様!何がおかしいんですか?」
「いやいや、こうしてみるとやはり男ってのはいつまで経っても子供じゃのぉ。」
「そんな!ヤシュア様!笑い事じゃないですよ!」
「ああ、すまんすまん!じゃが、クロノもこの世界にきてまだ間もないのじゃ、少しは仕方あるまいよ?」
「まあ、確かにそうなんですけど少しは大人しく…。」
私がそう言った時、ふと目の前を見ると、巨大な豪邸の前で膝を抱えた一人の少女を見つけたの。
私は彼女に声をかける。
「あなた…こんな所でどうかしたの?」
私は少女にそう問いかけるとヤシュアは何かを思い出したかのように私に告げる。
「カルマちゃん!ちょっとスマンがワシはここの国王と会う時間が決まっておってな。スマンが一人で先に行くがいいかね?」
「はい…分かりました!」
私がそう返すとヤシュアは人混みの中へと消えていったの。
「ちょっと!クロノぉぉぉ!?」
私の声に、気づいた彼はやっとこちらに戻ってきたのです。
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(クロノ視点)
俺を呼ぶカルマの声、その声に気がついた。
何せ、この世界はファンタジーの世界…しかもこんなに大きな街に来たらテンションも上がってしまう!
そんな矢先カルマが俺を呼ぶ声が聞こえる。
「ちょっと、クロノーーーーーーっ!!」
俺は振り返るとカルマは走り寄ってくる。
息をきらせてくるとは何かあったかな?
そんな事を考えていると彼女は俺の元へ辿り着く。
「はぁっ…はぁっ……もぉークロノったら、ヤシュアが王様に会いに行ったから迷子になると困るから…あ。」
カルマはそこまで言うと言葉を止める。
そんな彼女は思い出したかのようにくるりと踵を返すと向こうへ走っていく。
俺はカルマに着いていくとそこには座り込む一人の少女がいたんだ。
「どうしたんだカルマ?」
「クロノ!ちょっとまってて。」
するとカルマは少女に優しく声をかける。
「大丈夫……?」
少女はその声に気がつくと…目に涙を浮かべながらカルマを見る。
「よしよし…いい子ね……。」
「グスッ……ううぅぅぅ…。」
カルマは彼女の頭を撫ではじめると徐々に泣き声は治まっていく。
すると少女は突然ぴょこんっと頭に耳をはやす。
「えっ!?」
「じゅ…獣人………なのか。」
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グランドバズに辿り着いた一行、ヤシュア不在の今一人の少女とクロノ達は出会ってしまった。
続きをお待ちくださいませ。
お読み下さりありがとうございました!