ヨーロディア世界編シーン47
サキノ達は孤児院でカルマ達と合流する。
カルマ視点
私とエンポリオ君は『ソフィア』ちゃんの案内で孤児院へとたどり着いたの…そしてそこには。
「サキノちゃん!?アンナさん!?」
「あ!カルマお姉ちゃん!?」
「エンポリオも無事で良かった!」
「うん!大丈夫!僕達もずっと強くなったから。」
そう言ったエンポリオ君は見た目も本当に逞しかった。
そしてサキノちゃんもアンナさんも無事で…でもどこか以前とは変わった気がしたの。
すると私の後ろから声が上がる。
「あーーーーっ!?レオンお兄ちゃん!?」
ひょこっと顔を出したソフィアちゃんは喜びの声を上げたの。
「えっ??ソフィア???」
「お兄ちゃんーーーーーっ!!」
ソフィアちゃんは駆け寄り少年の元へ走る。
どうやら二人は孤児院で一緒だったみたい。 そして二人は惨劇に衝撃を受けたはず…でもここでやっと生き残った二人が出会えたみたい。
私達の目の前で涙を流し抱き合う二人に私達も温かいものを感じたの。
◇
◇
◇
こうして私達はこれまでの事を話しあったの、そしてこれからの話をする。
この二人をこの街には放置はしてはいけない。
だけど、その時…口を開いたのはレオン君だった。
「僕は、やっぱりマジェストになりたい!!」
「レオン君……。」
「お兄ちゃん。」
レオン君のその声にソフィアちゃんは不安の表情を浮かべる。
「ソフィア…お兄ちゃんは…これからソフィアも守っていくんだ…だからその為には僕はマジェストになりたいから…この人達について行こうと思うんだ。」
「お兄ちゃん…でも私もお兄ちゃんについていく!!」
「ソフィア……。」
二人はそう話している。
「お姉ちゃん達!?僕は両親の記憶っていうのがあるんだけどさ。」
「コイツ…ソフィアは俺達仲間の中でも…一番の年下でさ…」
「 僕…ソフィアがここに来た時の事覚えてるんだ……。」
「 あれは…雪の降る夜の事だった…。」
僕達はこの孤児院で細々と暮らしていたんだ。
この孤児院は昔からあったらしくて…実は、僕達の面倒を見てくれていたお姉さん『ハンナ』もこの孤児院で育ったらしい。
『ハンナ』さんは孤児院に入ってくるその収入は限られていた。
でも…この国では内戦が絶えなかった…孤児も増えてくる…それに追い打ちをかけるように街からの僅かな援助も…次第に途絶え途絶えになったらしい。
すると皆が食べていく為に『ハンナ』さんは夜の街でも仕事をするようになったんだ。
もちろんこの事を知ってるのは偶然仕事に出かける所を見かけた僕だけだったんだ。
『ハンナ』お姉さんは僕に全てを話してくれたのがこの話。
でも…この話を皆には内緒でって…口止めされてたんだ。
ハンナお姉さんがどこに行ってなんの仕事をしていたかまでは僕は分からない…。
でも…確実に僕達の面倒をみてくれていたんだ。
そんなある日…お姉さんはまた深夜に帰ってきた。
でも…いつもより少し遅いお姉さんの帰宅に僕は何か違和感を感じていたんだ。
僕は気になり部屋を出て玄関前まで行くと…ゆっくりと扉が開く…僕は何かを感じて扉を開けるのを手伝う。
すると…。
「はぁっ…はぁっ…あ!レオン君!良かったぁ!ちょっと手伝ってくれない??」
「う……うん………。」
僕は返事を返し扉を開けきると。
そこにはなんと雪の降りしきる中…赤ちゃんが濡れないように布に包み込み大事に抱きながら帰ってきた『ハンナ』さんが笑顔で立っていたんだ。
「おかえり…『ハンナ』さん。」
「ただいまぁ…レオン君…ありがとう。」
僕その時の『ハンナ』さんの笑顔は今でも覚えてるんだ。
それから赤ちゃんの名前は『ソフィア』と名付けられて…そして…今こうして生きていてくれてる。
◇
「僕は『ハンナ』さん達が生かしてくれたソフィアをこれからも守る為に…強くなりたいんだ!!」
「レオン君………。」
私がそう彼の話を聞き終えるとエンポリオ君はレオン君の前に立ち、そして屈む。
「レオン…か……お兄ちゃんもな…小さい時に両親ともいなくなってしまったんだ…。」
「お兄ちゃん……」
「お兄ちゃんもずっと弱かったよ…こんな体型だけどちょっとの勇気が出なかったからね…でもね…人はいつでも変われる…そして強くなれるからね!!」
そう言いったエンポリオ君はとても素敵で輝いて見えたの。
「だから僕達と…一緒にいこうな??」
にこりと笑顔でレオン君の頭を撫でるエンポリオ君。
「うん!!!」
とびきりの笑顔のレオン君。
すると口を開くソフィアがいた。
「あのね…レオンお兄ちゃん?」
「ん?どうした?ソフィア??」
するとソフィアちゃんは私達の間に入って手をとる。
「エンポリオパパに~カルマママなの〜。」
「ソフィア?いつの間に??」
私達はその会話に思わず顔を赤らめてしまう。
「お姉ちゃん…いつの間にぃ??」
「ちょっと!サキノちゃんまで!」
にやにや笑うサキノちゃん。
サキノちゃんの手を握りアンナさんもニコニコしている。
「本当に…エンポリオ…ちゃんと後で話を詳しく聞かせるのよ?」
「えっ!?アンナさんっ???」
焦ったエンポリオ君はいつものエンポリオ君に戻っていた気がする。
私達は久しぶりに笑ったかもしれないくらい。
笑ったの。
◇
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