ヨーロディア世界編シーン46
サキノ達はとある場所へ向かっていた。
果たして。
サキノ視点
私とアンナお姉ちゃんはこの街へ来て出会った少年『レオン』君と彼の言う孤児院へと向かっていたの。
「お姉ちゃん達…孤児院の様子を一目見たいっていった僕のわがままに付き合ってくれてありがとう」
「ううん!いいよ!ね?お姉ちゃん?」
「そうね…兎にも角にもこの街で一人で歩くのは危険よ…だから一緒にいこうね?」
「うん!アンナお姉ちゃんもありがとう!」
私達は『レオン』君の育てられたという孤児院へと向かっていた。
方向的には街の東側へと向かう私達…『レオン』君の話では街外れにその孤児院はひっそりと立っているみたい。
『レオン』は訳あって孤児院から逃げてきたらしいけど…彼はまだ私とさほど変わらない程の年齢…自分と同じ年齢なのに彼がこれから人を殺す為の兵隊になるなんて。
私だって自分だったらやっぱり嫌だもん。
そんな事を考えていた私達。
だけど、この先の孤児院はどうなってるかも予想すらつかない…皆無事ならいいけど。
するとレオン君は口を開く。
「ここ…なんだお姉ちゃん達。」
「これが…孤児院……………。」
私達の目の前に立つ孤児院…街から外れて公園のような林をぬけた先にひっそりと立っているこの建物。
今は無音の静寂に包まれたこの空間に私はいい感じはしなかったの。
「サキノちゃん……気をつけて……何か嫌な気配を感じるわ。」
「うん…アンナお姉ちゃんも。」
私達はゆっくりと建物に近づいていく。
静けさがあまりにも気持ち悪かったの。
そして入口前に辿り着いた私達。
「私が開けるわ。」
アンナお姉ちゃんはそういうと先頭に立ちそして。
ゆっくりと建物の扉はギギキと開いていったの。
すると。
突然カラーウルフは身構える。
「カラーウルフどうしたの??」
『サキノ……この酷い匂いは…………』
「えっ!!??」
すると私の鼻にも鋭く届く突然の腐敗臭。
「これは…。」
「サキノちゃん!!レオン君!!見ちゃダメ!!!」
私達の目の前に立つアンナお姉ちゃんは私達が入らないように扉を閉めてしまう。
「お姉ちゃん…。」
するとアンナお姉ちゃんの間をくぐり扉を開くレオン君。
「レオン君!!???」
「……………………………………。」
そしてレオン君は中に飛び込むと…。
辺りは血の海…そして彼と一緒に暮らしてきたであろう仲間達の変わり果てた姿が…そこにはあったんだ。
一人は少年だろうか…短パンから伸びてる素足には血がべっとりとこびりついている。
もう一人はスカートから片足しか出ていない。
痛々しい姿に嗚咽も覚えてくる。
すると、部屋の隅に一台のピアノが見える。
そして、ピアノの側にはここの子供達ではない明らかにこの子達よりも一回り大きな女性の身体が横たわっていたのだ。
「先生!!!!!?????」
レオン君は彼女の元へと駆け出した。
彼の後を追うように私達も先生という名の女性の元へと辿り着く。
「先生ーーーーーーーーーーーーーっ!??」
レオン君はもう動かない彼女の身体にすがりつき大きな泣き声を響かせる。
「うわあああーーーーっ!先生ーーーー??」
彼のその様子から彼がどれだけこの女性に愛情を受けていたのかが分かる。
「レオン君……。」
私が何も出来なく立ち尽くしているとアンナお姉ちゃんは彼の元へとひざまづく。
彼の肩に片手をそえるアンナお姉ちゃん。
「レオン君……貴方をこの方は心から愛してくれたのね…。」
「うん……………………ぐすっぐずっ!!」
泣きじゃくりながら彼は返事を返す。
「貴方は今まで皆の愛情を沢山貰ってきたのね。」
「うん………。」
「今は泣いていいわ…思う存分…泣きなさい。」
「うん…………。」
アンナお姉ちゃんは彼をそっと引き寄せ抱きしめる。
すると…まるで糸がきれたかのように彼の泣き声はこの建物の中に響いたのだった。
◇
数分間…彼はひとしきり泣くと涙を拭いた。
「ありがとう…お姉ちゃん。」
「うん!もう…大丈夫ね?」
「うん!」
レオン君はそう答える。
これで一先ず落ち着いたかに見えた。
そんな事を考えていると…。
ダッと私の身体を跳ね除けアンナお姉ちゃんの身体からも逃れると飛び出そうとする。
「あっ!?レオン君!!??」
「レオン!!??」
彼の復讐にでも駆られたかの様な突然の行動。
このままでは危険だ。
そう考えた…その時!!!!!
ドンッ!!!!!
「うわあああっ!!??」
レオン君は何か大きなものにぶつかり跳ね返され再び部屋の中に転がってくる。
「あーーー!君!ごめんごめん!!」
「もぉ〜何してるのよ〜〜エンポリオ君??」
そう…そこに現れたのは私達のよく知っている顔と姿。
「カルマ…お姉ちゃんっ!!!!???」
「エンポリオも無事でここへ来たのね……。」
私の声に続き声を上げたアンナお姉ちゃん。
二人のその表情は…私達にも安心感をくれたの。
「「二人とも!久しぶり!!」」
◇
◇
◇
サキノ、そしてアンナ達の元へ現れたのはなんと頼れる仲間カルマとエンポリオだった。
お読み下さりありがとうございました!