ヨーロディア世界編シーン43
クロノの超攻撃は放たれた!
そして。
シャキンッ……と俺の刀は鞘に納まる。
すると…ロマノスの身体は斬撃混じりの暴風をうけ切り刻まれていく。
「うぎゃーーーーーーーーーっ!!??」
ロマノスの断末魔の叫びは建物内にコダマする。
血しぶきを吹き上げるロマノス。
そして…後ろに呆然と立っていた魔神…フランケンシュタインはグラりと身体が一瞬揺れる…すると倒れゆく巨大な身体はロマノスの頭上から覆うように倒れていく。
ズシーーーーーーーーーンっと地響きを立て 鳴り響く激しい音。
そして。
それ以上動く事もなく…その声も聞こえては来なかったんだ。
たち構えた俺は刀を静かに納める。
「ふぅ………勝ったぜ?」
振り返った俺の目には眼を潤ませた二人が立っていたんだ。
次の瞬間。
リオは駆けてくる。
「クロノ様ーーーーーーーーーーっ!!??」
俺達は。
◇
◇
◇
「あの…………………。」
すると声を発したのはアナスタシア。
俺達の前には目に涙を浮かべるアナスタシアの姿。
「どうした?アナスタシア!?」
「………………………。」
沈黙で下を見るアナスタシア。
そんなアナスタシアを見ていたリオが口を開く。
「何??何か言いたいの??」
「おい!リオ!ちょっと…言い方ってもんが。」
「黙って!クロノ様っ!」
俺はリオのその声に押し黙ってしまう。
『クックック…笑えるなクロノ!?お前あの女に弱いだろ??』
「うるせーよ!雷武!!??」
『何だと!今回は手を貸してやったが後は知らんからな!?』
「なんだと!!」
『黙れ人間!!!??』
「二人とも…うるさいっ!!!???」
『「………………………………………………………。」』
激しいリオの声に黙る俺。
そしてスクエルに口を塞がれている雷武。
俺と雷武は睨み合っているとリオはアナスタシアの目の前まで歩いていくと立ち止まる。
すると。
アナスタシアは深々と頭を下げる。
「本当に…ごめんなさい!!!!!」
リオはアナスタシアを前に立ちつくしている。
「私は…言い訳かもしれませんが…過去に恋人に捨てられ自暴自棄になっていた所をあの男…『ロマノス』に声をかけられそして…気を許してしまい…いつの間にか彼に生命を握られそして…彼の人形として操られていました。」
震えながら続けるアナスタシア。
「それからは…彼の操り人形として生かされてきました…時には悪事まで働き…そうする事しか私は生きる事が出来なかったから。そして今回クロノ様にもお声をかけてしまいこの様な事に。」
アナスタシアは申し訳なさそうに顔を上げれずにいる。
するとリオが口を開く。
「ふぅ~~~アナスタシアさん…もういいよ。顔を上げて。」
顔を上げ涙で眼を潤ませたアナスタシア。
「リオ……さん?」
「うんっ!だって……クロノ様に声をかけたのはクロノ様の魅力が貴女にも分かったって事よね?クロノ様は私の王子様だもん!同じ人に魅力を感じたって事だもん!」
そう言って微笑んだリオに。
俺はドキッとしてしまっていたんだ。
すると…リオは俺に問いかけてくる。
「そう言えば…クロノ様……アイツが言ってましたけどアナスタシアさんもマジェストだったんでしょ?しかも魔神は心臓を媒体にしていたという話でした。魔神がいなくなったアナスタシアさんはどうやって生きれたのですか?」
「ああ…それはな…。」
俺はリオとアナスタシアに説明をする。
俺の中の、とある力は『魔神を消滅させる力』が眠っていて『その時』が来たら発動する…と。
それは、かつてリオを襲ったあのペリオットの時も発動した力であった。
もしかしたらアナスタシアの生命も消えてしまうかも…そう思った時。
ラブラが声をかけてきた。
俺はラブラの『君ならできる!!』という言葉を信じて。
◇
「そう、そして俺は一か八かだったが…アナスタシアは…俺を信じてくれたんだ。」
「はい…襲いかかった私はクロノさんにあっという間に倒されていて…気がつくと…クロノさんの声が心に届いたんです…私を救いたいから俺を信じて欲しいって…不思議ですよね…初めて会ったクロノさんを何故か私信じてしまったんです…だって…初めて会った時から彼は私を全く疑わなかったんですから…私は優しすぎるクロノさんを今度は私が信じなきゃって思わせてくれたんです。」
「そう…だったんですね。」
そう言うとリオはふぅーっと息を吐く。
「同じ人に魅力を感じた者同士…私達友達になれそうねアナスタシアさん!」
「リオ…さん。ありがとう。」
彼女の目から落ちた涙。
それは心からの嬉し涙…にこりと笑った綺麗な笑顔の目から零れた涙を俺達に見せてくれたんだ。
◇
◇
◇
こうして俺達はアナスタシアと別れた。
彼女はきっと幸せになってくれるだろう。
そう信じて。
そんな俺達はギリーシアの街の中を歩いていた。
「ねぇ……クロノ様………??」
「どうしたリオ???」
するとリオは立ち止まる。
「今いるここ…どこか分かりますか??」
「ん??」
俺が辺りを見回すと…ここは。
大きな噴水が流れ落ち…水の音に辺りの音も話している恋人達の声もかき消されている。
でも人々の表情は…とても幸せそうだ。
「ここは…………。」
「そうです…ここは……『アネールの泉』です。」
「……リオ…………………………。」
「………クロノ……様………………………。」
俺達の声もかき消される。
…ここは『アネールの泉』…ここで愛を誓った二人は…幸せになるという。
◇
こうして俺達は…皆集まる『ドイツェルン』に向かうのだった。
◇
◇
◇
お読み下さりありがとうございました!