ヨーロディア世界編シーン41
その時!
ロマノスは一変する。
私は叫んだ。
身体も動かせず今の私はこの神殿の一本の柱に括り付けられていたの。
そして私に近づいてくる『ロマノス』
「ククク…いいじゃないか?リオ…もう君は僕にこれから忠誠を誓うんだ…そうすれば君はこの僕から永遠の愛をうけるんだよ?」
「いや!私にはやっぱりクロノ様が一番大切なの!!!!!」
「ほぉ~~~さっきからそいつの名前ばかり出してきているが…誰なんだい??」
「私の大切な人よ!!!」
私の声にピクリとその顔を歪める『ロマノス』
「ほぉ??リオ…君はこの僕とあの『泉』で永遠の愛を誓ったじゃないか…そんな僕より…訳の分からない男を選ぶ…と言うのかい??」
「あの時は…もうクロノ様に好かれてないと思って…諦めたわ。だけど。」
「だけど……なんだ??」
「私は…例え…クロノ様が振り向いてくれなくなっていいの!!だって。私は。」
『ロマノス』の表情は醜く歪む。
「私はクロノ様が大好きなんだもん!!!」
いつしか私は大声で恥ずかしい言葉を叫んでいた。
でも私の心はこの時、確実なものへと変化していたの。
その時。
ドカッと私のお腹に衝撃と痛みを感じる。
『ロマノス』の拳は動けない私のお腹を捉えていたの。
「なんだってえええーーーーっ!!??」
『彼』はそう叫ぶと更に私をその拳で痛めつけてくる。
お腹を中心に私も身をよじってみても追いかけるようにその拳は中々止まらない。
私がカードを気にかけ胸のポケットを見ると。
『ロマノス』は殴るのを止める。
「リオ…君が気になっているのは…これかい?」
そう言うと『彼』はその手に私のカードを握っている。
「スクエル!!???」
「知ってるかい?マジェストが魔神具をその身から離した時…それは確実な敗北が待っているという事。」
「くっ!!???」
私は…その言葉に無力感を感じる。
そして涙が溢れてくる。
(ゴメン…スクエル……私が気を抜いたばかりに。)
「そして…ここからが…僕のマジェストとしての能力を発揮出来る時なんだよ。」
「えっ!!??」
私は今更になってやっと気がつく。
ここまでの事は全て彼によって仕組まれていた罠だと言う事に。
「ククク…僕はロマノス…我が主フィガーロ様の部下で…右腕とも言われている。そして僕の魔神はこいつ。」
ロマノスはその手に光る何かを携えていた。
それは。
「メス???」
「ククク…そして僕の魔神は……『オペレーションズハート』その手にかかればいかなる人間もたちどころに僕の虜に出来るというもの…さぁ…リオ…君は強制的に僕の魔神の能力で僕のものだ。」
「くっ!?貴方は卑怯よ!!人の心は簡単に変える事は出来ないわ!!」
するとロマノスはニヤリと笑う。
「ククク…僕の能力は最強さ…ああ…そうだ…リオも会っただろうけど…あのアナスタシアも僕のオペレーションズハートで今や僕の奴隷さ。」
その言葉に私は驚きが隠せなかった。
そんな…それじゃあ全て仕組まれてあの子もこの男に。
「どうした??その目は…アナスタシアは今回よく働いてくれたなぁ…君とあの男をうまく引き剥がしてくれて…そして今君はここに囚われの身だ。今頃あの男もアナスタシアの能力で噛み殺されてるんじゃないかぁ???」
「ど、どういう事!!???」
「つまりこういう事さ…僕はアナスタシアを上手く僕の口車に乗せ…そして僕の能力で彼女の心から改造し僕のものにした。そして僕は今回君達がここに来るのを知り君達を消してくれと依頼されここに来た…そしてアナスタシアに命じ今回の全ての出来事はここで幕を閉じる、そう言う事さ。」
ニヤリと笑みを浮かべ続けるロマノス。
「その時点で僕は彼女の身体に一つの『改造魔神具』なるものを植え付けた…よって彼女は『ウェアウルフ』となり彼を今頃食いつくしてるだろうね。」
「ええっ!!???」
私の中に複雑な感情が生まれる。
(クロノ様。お願い無事でいて!!)
「ふん、そうだね…リオ…君にはアナスタシアの代わりとなって貰おうか…。」
「どういう…事。」
「アナスタシアは元々…マジェストではなかった…だが僕に植え付けた改造魔神具は母体を選ばないのだよ…だけれどその能力は発揮出来る…しかしマジェストではなかった彼女は身体が耐えられないのだよ…つまり、一度能力を使ってしまった時点で彼女は。」
そういうと寂しげな表情をするロマノス。
「それがマジェストの君なら母体として相応しい…君の命が続く限りその能力は発揮出来るだろう…もちろん君の身も心も能力も全て…僕のもの…だけどねぇ。」
ニヤリと笑うロマノスは狂気の表情へと変わる。
「さぁ…リオ…その全てを今こそ僕にくれ!!」
「クロノ様ーーーーーーーーーーーーっ!?」
近づいてくるロマノスに私は動けなかったの。
◇
◇
◇
絶対絶命のリオ。
狂気のロマノスに果たしてどうなる!?