ヨーロディア世界編シーン38
リオに迫る危機。
果たしてどうなる!?
リオ視点
私はクロノ様達とハグれてしまっていた。
調査をしつつも辿り着いたのは、恋人達の幸せの泉と呼ばれる『アネールの泉』だったの。
◇
「ふぅ~~~クロノ様達どこに行ったのかな…いや……ここにいられるのも何か嫌なんだけど。」
私はそう呟きながらとぼとぼと歩く。
日も傾き初め…辺りは先程よりずっとカップルにとっての雰囲気は良くなっているように感じる。
(ここを一人で歩くのって、かなり嫌なんだけど。)
クロノ様を探し辺りを見回しても、どこにも二人の姿は見当たらない。
私は肩を落とし歩いていると…見知らぬ男の人に声をかけられていたみたい。
「ねぇ!そこの可愛いお嬢さん??」
「えっ!?」
私がようやくその男の声に気づくとこちらに近づいてくる男。
高身長、痩せ型、そして甘いルックスとその男はどこから見てもモテそうな男。
そんな彼は私の元まで来ると口を開く。
「さっきから君を見ていたんだけど…この泉で誰を探していたんだい??」
「えっ!?いえ!私の大切な…あ、えと……。」
私は何故か照れてしまい、クロノ様の事を誤魔化してしまっていたの。
「ふぅーーーん…でもさぁ……その男って君をこんな所に置いて何処かに行ってしまったのかい??」
「えっ!?どうして私が捜しているのが男の人だってわかったんですか??」
私が焦り声を上げると…男はニヤリと微笑み応える。
「この場所…アネールの泉で人捜しなんて誰が見ても自分の恋人を捜してるとしか僕じゃなくても分かりそうだけどね?ああ…僕の名前は『ロマノス』って言うんだ。君の名前教えてくれないかな?」
「えっ?ま、まあ確かにそうかも知れないけど…確実にそうとは限らないでしょ?それに貴方だって誰かと待ち合わせじゃないの?それこそ恋人とか。」
私はそう言うと、彼は微笑み応える。
「おおっと…どうやら僕はまだ信用されてない…だから名前を教えたくないのだね?それに…残念ながら僕はつい先日、彼女にふられたばかりで、今は独り身だ…。」
「じゃあ…どうして今ここに一人でいるのよ?ここは恋人達が集まる場所なんでしょ?」
私の問いに彼のその表情は暗くなってしまう。
「僕は前の恋人にひどい振られ方をしてね…人恋しくて…偶然ここに来ただけさ…。」
「そう…なの?」
ロマノスの寂しげなその表情と力無い声、別れ話に触れてしまった事に私は罪悪感を感じてしまう。
「うん…君さえ良ければ…少しだけ話を聞いてはくれないか?」
「うん………。」
そして私達はベンチへと座るとロマノスの話を聞いていたの。
◇
彼の話は初めは少し本当かな?と思う話もあったけど、その話に私はいつしか惹き込まれていたの。
それに彼は話も上手くて彼のこれまでの経緯だったり…いつしか私は時間も忘れ彼の話にのめり込んでしまっていたの。
「ふぅ〜〜〜いやぁ長々と話してしまっていたよ?聞いてくれてありがとう!リオ?」
「ううん…私こそ色々聞けて…まあ、ロマノス君の辛い話も楽しい話も聞けたし…共通点も沢山あって…話してくれてありがとう!」
「いやぁ?なぁに、リオが聞き上手すぎてつい気がついたら恥ずかしい話までしちゃってたよ!」
「そんなことないよ〜。」
その時…私はふと我に返る。
こんなに楽しい時間…確かに大好きなクロノ様といる時はクロノ様も優しいしドキドキして彼をいつの間にか目で追っていて、そして落ち着く安心感を持っているクロノ様。
でも…この男…ロマノスはクロノ様とは違って、優しくていつも私に気遣いをしてくれて寒くなってきた今もこうして自分のコートを私にかけてくれる。紳士的な彼。
いつしか私はロマノスから目を離せなくなっていた。
「リオ…ここはね…アネールの泉…ここで愛を誓った二人は永遠の愛を得れるんだ。」
「あ…うん。」
「僕達は色々あってこの泉に辿り着いた…これは偶然…だけど偶然ではない…僕はこの出会いは必然だと思っているよ。」
「えっ!!??」
彼の臭いセリフではあるけど今の私の心を掴むには十分だった。
クロノ様はいつしかあの女…アナスタシアとどこかへ消えてしまった。
私は悲しくて仕方なかった。
そんな私を癒し…そして救ってくれたロマノス。
「リオ……僕と君はまだ出会ったばかりだ…だけどいつかきっと。アネールの泉で出会った僕達だから幸せを掴めると僕は信じている。」
彼は立ち上がると私に手を出す。
そして真剣な表情のロマノス。
「リオ…僕と行こう……この手をとりこの先、僕と共に愛を育んでいこう。」
すーっとロマノスの手が私の目の前に差し出される。
「うん……ロマノス…………。」
私はロマノスの手を取り彼の温かな愛を感じ彼と一緒に歩き出していたの。
私達は。
◇
◇
◇
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