ヨーロディア世界編シーン33
それから二人は。
私達は、それから数日を要し…調査にあたった。
街の端から端まで全ての病院を回る。
そして怪しい箇所、噂を聞いた場所等もあたっては見たけど中々手がかりを見つけられなかった。
病院を何度巡っても…病人は増える一方なのに原因には辿り着かなかったの。
「ふぅ~~~中々見つからないね。」
「そうだね?カルマさんは…体調大丈夫??」
「うん!私は、もうかなり元気になったわ!」
「それなら良かった!ちょっと休憩しましょうか??」
「ええ。」
私達は腰を下ろすと私は、ふぅっと息を吐く。
エンポリオ君も、私の隣に腰を下ろし空を眺めている。
すると…突然キャッキャっと声が聞こえてくる。
「あれ??」
「あれは……。」
そう、私達の目に飛び込んできたのは私の魔神『フェリス』とエンポリオ君の魔神『フェローム』君がいつの間にか姿を現し仲良く遊んでいたの。
『よし!『フェローム』!次は腕立て伏せの練習にゃ!!』
『らじゃー先生っス!!!』
『フェローム』君はその可愛らしい姿で腕立て伏せを始める。
『いーち、にぃーい、さぁーーー』
「もぉー!フェリスったら『フェローム』ちゃんになんて事させてるのよ〜!」
『あ!邪魔するなカルマ!こいつは元僕の生徒だったんだぞ!』
『そうッス!カルマさんっ!だから大丈夫ッス!』
『フェローム』君は、その愛らしいフェレットの姿で私に敬礼をする!
これがもぅ私には可愛くて可愛くて思わず抱きしめちゃっていたの。
『おいこら!勝手な真似するにゃ!カルマ!』
「はいはい!分かったわよ!」
私は…ぶぅぶぅ言うフェリスを他所にフェローム君をまた地につけると、彼はまた腕立て伏せを始める。
その光景に思わず笑顔になる。
「二人も仲がいいですね?」
「うん!本当にそう思う…あ!でもほら見て、部下とかいいながらだけど。」
どうやら訓練は、終わったらしい。
フェリスは頑張った『フェローム』君の頭を撫で褒めていた。
笑顔の二人を見ていると仲が本当にいいんだって感じられたの。
「そう言えば…以前マリア様が話していた言葉を、今思い出しました。」
「えっ!?それってなに??」
「はい、僕はマジェストでも無かったし、全く関係ない話だなと思ってたんですけど…マジェスト同士、魔神同士の相性がいいと力も倍増するらしいですよ?」
「そうなんだ…私…初めてきいたわ。」
「はい…そして、基本的に魔神は相性のいい人間をマジェストとして決めるらしいのですが魔神同士の相性がいいと言う事はマジェスト同士の相性もいいらしいですね。」
「えっ!?って言う事は…私達の相性もいいって事??」
その時、フェリスとフェローム君の大きな笑い声が聞こえてきて私の言葉は掻き消されたの。
そしてフェリス達をニコニコ笑顔で見ているエンポリオ君。
「あははっ!僕達もあんな風にもっと仲良くなれるかな……。」
「えっ!!??エンポリオ…君??」
彼の突然の言葉に私は思わずドキリとしてしまう。
時も傾きかけてきた…夕暮れのこの時間。
私は、ドキドキと胸が高鳴ってくる。
「僕ね…今まで本当に自信がなくて、ずっと弱くて何をするにも失敗ばかりしてきたんです…でも、憧れだったエルザックさんに勇気をもらって…そして今は、こうしてカルマさんにも勇気をもらったからさ。」
エンポリオ君は私の顔を見つめてくる。
「僕は君を必ず守るから!!約束するよ!!」
「エンポリオ……君。」
エンポリオ君の言葉、そして彼の笑顔はどこか自信に満ちた表情を浮かべている。
いつしか私は…彼から目が離せなくなっていた。
「どうしたの?カルマさん??」
不思議そうな顔をして私を見ているエンポリオ君。
私はドキドキが止まらない。
(これって…もしかして私……。)
すると。
ピロロローーーーーっと言う音が辺りに響き渡る。
「えっ!!??この笛の音は………まさか!?」
「なにっ!!??敵か!!??カルマさん!」
エンポリオ君は私を庇うように目の前に立ち、盾になってくれる。
そして突然私達の足元の地面が割れボコボコッ!!っと陥没する!!!!!
「うわっ!!??」
「きゃあああっ!!??」
私も突然の事にバランスを崩しそうになる。
そこへ空から誰かが飛び降りてくる!!!
「あれは!!??」
「「ブライキー!!???」」
すると突然手を引き私を抱き寄せるエンポリオ君。
「カルマさん!アイツは僕が!!!」
「う…うん!」
「エンポリオーーーーーっ!!こないだの落とし前……つけてやる!!!!!」
ブライキーはその手には槍を振り回し叫ぶ。
ガシャリッ!!っとエンポリオ君が取り出し構えたのは以前と違う棍棒…ではない…それはキラキラ輝く機械化した…メイス。
「えっ!?それは??」
「僕の新魔神具……『バトルメイス』!!いくぞ!!『フェローム』!!!!!」
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