ヨーロディア世界編シーン26
サキノは力を使い果たす。
サキノのカラーウルフは、オルジョールを燃やし…そして。
「くっ!!??オルジョール!!!???」
相棒であるケルバーノの叫び声は、建物内にこだまする。
そして何と…オルジョールの隣りにいた機械魔神も…ボディーを燃やし尽くされ…カタカタと機械は動いていたが…やがて機械の動きはギギギと動きが悪くなりそして。
ついには動かなくなったんだ。
すると…ゆっくり倒れていくとズシーーーンっと地響きを小屋内に響かせて床に沈み、動きを止めた機械魔神オルトロス。
そしてオルジョールも同様に、その炎に巻き込まれ身体を焼かれ倒れていったのだ。
「くっ!!??よくもオルジョールを!??」
叫ぶケルバーノ。
そして…すーっと炎の鳥は宙へ消えていく。
「あ……はぁはぁはぁ…………。」
サキノは今の攻撃で身体中の力を使い果たした様でガクガクと足も震えだす。
ギロりとケルバーノは、その標的を倒れているアンナから視線を変えサキノに向ける。
すると突然ヘッドホンからガガガと回線が入ったかのように誰かの声が混じり聞こえ始める。
『サ……キノ………サキノ!!!』
「お……おにい……ちゃん……………クロノ……おにぃ。」
『サキノ!!サキノ!!??大丈夫か!!?』
「おにい……ちゃ……ん………。だい…じょぶ。」
『サキノ!!!??今いくからな!!?待ってろ!!??』
「ダメーーーっ!!………おにぃ……ちゃん…サキノは…だい…じょぶ……だから。」
『サキノ………。』
「サキノね…いっぱい…いっぱい強くなったの……だから……だいじょぶ……なの。」
すると…サキノを守るように立っていたカラーウルフの身体も震えだす。
『カラーウルフ!!!!???』
「カラー…ウルフ………??」
カラーウルフはフラフラと今にも倒れそうになっている。
ガウッと一言…口にすると踏ん張り耐えるカラーウルフ。
「おい!ガキ………」
その時。
サキノの目の前にはケルバーノが立ち尽くしていた。
『おい!!おまえーーーっ!!!??』
クロノがそう叫ぶもケルバーノの耳には届いていないようだ。
「よくも…この俺の相棒をあんなにしてくれたな。」
ケルバーノは怒りに震えている。
恐怖というよりも身体が動かずサキノは呆然とその光景を見ているしかなかったのだ。
絶対絶命のサキノを前に。
◇
◇
◇
その時…アンナは気を失っていた。
(………ンナ…………アンナ………。)
倒れているアンナの脳裏に何者かの声が届く。
(……………あれ?………私………………。)
(アンナァ………?)
(えっ!?……あなたは………??)
(僕……だよ。)
(麒麟…………ちゃん。)
(うんっ……僕は麒麟んん。)
(ごめんね…麒麟ちゃん…私がまだまだ弱いから…こんな事になっちゃって。私、麒麟ちゃんにせっかく皆の為に戦える力を貰ったのに…本当に弱くて…ごめんね。ごめん……ね。)
(んーーー??アンナぁ??泣いてるぅ??)
(ううう……ぅぅぅ………。)
(アンナァ……泣いたら…だめだぁ。)
(麒麟……ちゃん。)
横たわるアンナの目から涙が、すぅーーっと零れる。
その時、アンナと麒麟の意識の中に誰かの声が流れ込んでくる。
(はぁーーーーーぃ!私よ!?)
(えっ!!??あなたは??)
(あーーーっ!?ラブラぁ!!!)
アンナにも麒麟の喜ぶ声が聞こえてくる。
(うんうん!二人とも頑張って戦ってたね?)
(うんん。)
(はい…ラブラ様…私せっかくこうして強い麒麟ちゃんを味方に出来たのに…私が弱いばっかりに。)
(大丈夫…誰だって初めは、どうしたらいいか分からないし…そうね…あのクロノちゃんなんかは雷武ちゃんがあまりにもひねくれてるから折角の力もまだまだだしねぇ……。)
(そうなんですか??)
(そう…私があなた達を繋げたのは…あなた達の相性が本当に良かったからだよ…だからあなた達がその力を合わせられたら…数字でいったらね。中々…真似出来ない数字よ。)
(二人のシンクロ率は。)
アンナと麒麟は次の言葉を待つ。
(90パーセントってとこかな。)
(90パーセント…。凄い。)
(でもね…敵も中々強いわ…あの敵に勝つ為には余程じゃなきゃ勝てないわ。
それに誰が貴女とサキノちゃんを組ませたのかは知らないけど…貴女とサキノちゃん…そして貴女達の魔神同士の相性が凄くいいのよ。)
それを聞き驚くアンナ。
(私とサキノちゃん…そしてサキノちゃんのカラーウルフと麒麟ちゃんが相性がいいって事なんですか?それってどういう事ですか?)
(うん!基本的には人間同士は気遣いって出来たりするから相手に合わせるって事も出来るけど魔神はそもそも個性が強い子が沢山いるの…だから例えばアンナちゃんとサキノちゃんの相性が良ければ戦いでもコンビネーションはいいはず…頑張れば100パーセントまで力は出せる…ところが一緒に戦う魔神同士が合わないとせっかくの力も出せなかったりする事もある…逆に…二人の相性と二人の魔神の相性が良ければ……120パーセントの力まで出せるかも知れないよね?)
(なるほど…じゃあ今回三つに別れたメンバーの相性を…あの方…特殊な魔神『ペガサス』を従えている『マリア』様の能力で導き出した…のかも知れませんね。)
(そうかもね…だから…アンナちゃんは、麒麟ちゃんの事も、そして大切な相棒の『サキノ』ちゃんの事も信じるのよ。)
ラブラはそう言い残し…その声は聞こえなくなっていったの。
(サキノちゃん…私…貴女が大切だから。)
そしてアンナの身体に力が漲ると彼女は立ち上がる。
すると、ドウっっっ!!っとアンナの身体から光が溢れ出す。
アンナから突風が吹きケルバーノの身体は煽られてしまう。
「なんだ!??この風は!!???」
風を纏い…その長い黒髪は風で美しく舞いあがるアンナ。
その容姿は美しい…まるで風の女神。
そして手には天空のボウガンが握られる。
ふわりと頭上から舞い降りアンナの肩に降りてくる麒麟。
『アンナぁ!!!』
「麒麟ちゃん…。」
「私達の大切なサキノちゃんは。」
「『必ず守る!!!!!』」
◇
◇
◇
サキノは力を使い果たし倒れる。
立ち上がった。
麒麟…そしてアンナ!!
どうなる!!???
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