ヨーロディア世界編シーン25
サキノとアンナの激闘!!
その時二人は!!
サキノの頬に温かい涙が伝いこぼれ落ちる。
「お姉……ちゃん……………………。」
サキノの目の前には、力無く敵の手の中にぐったりと身体の力が抜けた姿のアンナがいたのだ。
よく見ると…徐々に麒麟の姿も落ちているボウガンの中に吸い込まれていく。
「麒麟ちゃん!!???」
『ああ……僕……サキノ…僕を…また……ここから出し…て……僕と…カラーウルフがいれば……。』
サキノの耳にそう言い残し麒麟はボウガンの中に消えていく。
サキノはボウガンを拾い上げ、だき抱える。
すると気を失ったアンナを片手で捉えているオルジョール。
「くく、どうやら気を失ったか…どーれ?」
そう言うとアンナの頬におもむろに舌をはわせるオルジョール。
オルジョールの舌はアンナの頬をひと舐めする。
その光景を見ると身体に悪寒を感じるサキノ。
とても正気とは思えぬその行動に誰もが気持ち悪さを隠せないであろう。
「おおーーーっ!!これは凄く美味だ!!美しい黒髪にその姿にこの整った顔立ち、これはこのヨーロディアでも数本の指にでも入るんじゃないか??この女は…実にこの僕の妻としてやってもいいくらいの女だ。クックック。」
下衆な言葉にサキノも身体が震える。
(アンナ…お姉ちゃん……………。)
サキノにはクロノ達と出会う以前。
優しく…そして…とても美しい母親がいた。
◇
◇
◇
「さぁ!サキノ!オヤツ一緒に作ろうか??」
「うん!ママァ??今日のオヤツなあに?」
「そうね…じゃあサキノが大好きな野りんごのアップルパイにしよーか??」
「うん!!ママ!それサキノ大好きなんだぁ。」
サキノは満面の笑みを浮かべ母親に答える。
二人は楽しくおやつ作り。
そして。
「はい!完成!!サキノの大好物!野りんごのアップルパイ!!!」
「うわぁぁぁーーーっ!!クンクン!本当にいい匂いーーー!!!」
「あははっ!じゃあ手を洗って食べようね?」
「うんっ!!」
二人はゆっくりとおやつの時間を楽しむ。
するとサキノの母親はその口を開く。
「ねぇ…サキノ?」
「なぁに??ママァ???」
「今日は何のお絵描きしてたのかな??」
「うーーーーーん。ちょっとまてて!」
サキノはスタタと部屋に戻ると急いで戻ってくる。
その手にはヒラヒラと自分が描いていた絵を持って。
「はい!」
母親に先程まで描いていたであろう絵を渡す。
その絵を受け取るとじーっと眺めるサキノの母。
母親の真剣なその表情にサキノはドキドキしながらも再びアップルパイを頬張る。
もぐもぐと食べていくとほのかな酸味とそして濃厚な甘みそれを食べているサキノはその幸せに思わず顔もゆるんでしまう。
するとふぅーーーっとテーブルに絵をおく母。
にこりと微笑む母の笑顔。
「うんっ!!!合格!!流石サキノね!」
母親のその言葉に更に嬉しさを感じるサキノ。
「本当に!!??」
「ええ!もちろんよ!サキノの絵、ママは大好きよ!!」
その言葉にサキノは幸せいっぱいだった。
「じゃあ、食べたらお買い物いこっか??」
「うん!!サキノ、ママとお買い物いくっ!!」
その母とも沢山お出かけをし、沢山手を繋いだ。
とても優しかったサキノの母親。
でも…その時のサキノには戦う力がなかったのだ。
大切な母親を守れなかったサキノ。
この街へ来る時もアンナと一緒に行動していたサキノは久しぶりに母親のような温かさをアンナに感じていたのだ。
アンナと繋いだ手は自分の母親を思い出させてくれた。
彼女の優しさとその温かい手はサキノにいつしか母親同様の愛を感じていたのだ。
アンナもサキノにいつしか深い愛情を感じ…そしてサキノはアンナを今…本当に必要としている。
「お姉ちゃんに……。」
「はぁぁんん???なんだぁ???」
サキノの言葉に聞き返すオルジョール。
「もっぺん言ってみろよ??なんて言ったんだ??ああーーーっ!!!???」
サキノに向け怒号を浴びせるオルジョール。
「さわ……らないで。」
「クックック……ん??何言ってるんだ??もう一回この女を味わえってかーーっ???」
そう言い放ち舌を出したその時。
ぼうっ!!!っと音を立てカラーウルフの身体は炎に包まれる。
「ああん??なんだその炎は??その炎…早くしまいな…さもなければこの女…ひん剥いちまうぞ??」
アンナの服に手をかけるオルジョール。
「お姉ちゃんに…さわらないでーーーっ!!!!!」
サキノの身体は赤い光に包まれ輝く。
そして絵筆をすーーーっと宙に構える。
スーッと宙に描くその絵は。
『炎の鳥!!!!!』
描かれた絵はスーッとカラーウルフに光となり吸収されていく。
『ワウウウーーーーーーン!!!!!』
カラーウルフは地を蹴りやがて…その姿を変えていく。
炎に包まれたその身体は紅蓮の炎へと変化、炎の鳥となり瞬時にオルジョールへと向かっていく!!!
「いっけぇぇぇーーー!サキノがお姉ちゃんを守るの!!!」
「来るな!!!!くるなーーーーーーーっ!!!!!????」
次の瞬間。
オルジョールの身体は業火に包まれ燃え上がり……そしてその身を激しく焼かれ倒れていったのだ。
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