ヨーロディア世界編シーン17
そして話は綴られる。
フラフラと神殿内に辿り着いてきた一人の男。
屋敷のユーロ達はその者の名を呼ぶ。
「「デニーロ!!!?????」」
「くっ!!はぁはぁはぁ………………。」
壁伝いにやっとの事で、この部屋へ辿り着いたであろうデニーロという男。
エンポリオが駆け寄り肩を貸す。
「大丈夫か??」
「くっ!す…すまん……エンポリオ……。」
「これは…………」
エンポリオがその場に男を寝かせる。
男の身体は肌が褐色化し身体中に斑点の模様が無数に見えている。
男の傍に膝まづくユーロ。
「これは…やはり先の話にあったこの国に撒かれたというワシもかかっておる『病』なのか。」
「ユーロ様…その様ですね…そしてここだからその病の進行も遅らせていられるという事実。」
傍に座り男の様子を見るマリアが答える。
「この病が…ヨーロディア全域にばら撒かれたというのか。」
◇
◇
◇
ヨーロディア大陸。
この世界ではアメリスアードにも負けず劣らずの大陸。
世界第二位と言っても過言では無い文化の発展もしている国でもあるが、ここは大昔からの遺跡や歴史的構造物なども多いそんな大地でもある。
そのヨーロディア大陸にこの病が蔓延するという事は世界規模の大事件でもあるのだ。
◇
「すぐにでも対策を講じなければ…この世界そのものが危険な状況に晒されてしまう。誰かこの事実を世界へと報せる事は出来ないものか。」
ユーロはそう呟く。
そこへ。
「あの…ユーロ様。」
カルマは口を開く。
「ん?そなたは??」
「はい…私もこの世界に異世界から転移してきてヤシュア様に助けられ共に行動を共にしてきた『カルマ』と言います。」
「おお!カルマというのか…それで何かの考えが??」
「ええ…私も色々な事があり、実はこの世界へ来たのは信じられない話かも知れませんが私の両親がこの世界に迷い込んでしまった事から始まった事なのです…そして私はこの世界に両親の後を追うようにこの世界に入り込んできました…。」
ユーロは静かに話を聞く。
「そして…ここに居るクロノを私とヤシュア様の計画『勇者召喚』により呼び込んだのです。そしてクロノをこの世界に呼び入れたのですがこのクロノという者は『ライブ配信』というものをしているのです。そう…今この時も私達の声は私とクロノのいた世界と繋がっています。」
「ほぉ…少し詳しく聞こうか。」
◇
◇
◇
クロノ達の住んでいた世界。
そしてその文化の中で生まれた『ライブ配信』というコンテンツ。
ライブ配信は、この世界とも繋がっている事まで鮮明にカルマは説明をしたのだ。
◇
◇
◇
「なんと…その様なもので世界と繋がれるとは…これは凄い。」
「ええ…幸いな事にここに居る私達はヤシュア様の考えによりアメリスアードにて、ここに居る仲間はもちろんアメリスアードにいる仲間達ともこうして……。」
カルマはそういうと自分のヘッドホンのスイッチを切り替える。
すると。
『カルマちゃん??どうしたの??シェリルだけど聞こえる??』
ヘッドホンから聞こえてきた声に驚くユーロ、そしてマリア、アンナ、エンポリオは当然の事の様に驚く。
「これは!?」
「これは遠方の方と会話ができるアイテムでヤシュア様考案で作っていただいたもの…実は私達の行動はここにいるクロノがいる事でこの様子も世界に…もちろんヤシュア様達にも配信という形で見えているのです。」
「おお…これは……凄い。」
ユーロ様の呟きにヘッドホンからヤシュアの声が聞こえてくる。
『ガ……ガガ……ユーロ……久しぶりじゃの。』
「この声は…ヤシュア!!??」
『そうじゃ…久しく会ってはないがとりあえず元気そうで何よりじゃ。』
「ふふ…そういうお前も元気そうではないか。」
『ユーロよ…勇者ラブラ様、そして今話したカルマの言葉は全て真実じゃ…そしてこれからお主のいる地…ヨーロディアが今、敵の標的にされてしまっておる。』
「ああ…その様だな。だが救援も本当に感謝している。」
『ああ…当然じゃ…この世界の古代三大魔神の一人『エレファモス』の力を有していたあの『レギオン』が倒れた今…我々…勇者様の力となれるマジェストの力の一部は崩れようとしておる…お主まで倒されてしまえば敵の力を一気に拡大させてしまうであろう…それだけは何とか食い止めたい。』
「ああ…分かっている。」
『じゃが…その地でお主も被害をこうむった魔神…マジェストの力はかなり厄介なものとなってしまっておる…その一部が隣国…『ケニージア』からも報告が入ったのじゃ…そこで…この場を借りてだが…ヨーロディアに行ったばかりですまぬが…そこにおる『リオ』…そして『エルザック』よ…すまぬが急を要する事態なのじゃ…隣国『ケニージア』へと、また飛んではくれぬか?』
この事態に俺達の中に衝撃が走る。
俺はリオを見る。
リオは震え驚きの表情を浮かべ…そして俺を見つめる。
その瞳を潤ませて。
◇
◇
◇
衝撃の要請に全員が動けなくなってしまった。
そして。
お読みくださりありがとうございました。