ヨーロディア世界編シーン16
勇者ラブラは語る。
ラブラの話に耳を傾けた皆々。
果たして。
◇
「今、この世界で起こりつつある事件の全貌は、そういう事だったのですね?勇者ラブラ様。」
そう…口を開いたのは三大古代魔神の一人『タイガ』を使役してるマジェストである『ユーロ』。
するとラブラは得意気な表情を浮かべる。
「そしてここに集まった人達にも私からお願いをしたいのだ。」
「お願い…ですか??」
「それは一体??」
マリアとユーロはラブラに問いかける。
「私が、この世界でこうして存在を現したり言葉を伝えられる事ができるのはここにいる『クロノ』ちゃんがいるからなのよね?」
「ん??」
「「えっ!!??」」
俺も皆もその言葉に驚きの声をあげる。
「ん…でもね…深くは聞かないでね?色々あって私とクロノちゃんには深い繋がりがあるの…そこで私からの皆へのお願いは………。」
ゴクリと唾を飲み込み言葉の続きを待つ俺達。
「このクロノちゃんにはこれからもっと成長してもらって私の力を使いこなせる様に成長してほしいのよね?」
「と言いますと??」
ユーロは問う。
「うん!簡単に言うと魔王ゼルドリスが復活した今!クロノちゃんには次の勇者になってもらうわ!!!」
「えっ!!??」
「「ええーーーーーーーーーーっ!!??」」
ここにいる誰もが大声を上げてしまうラブラの発言。
「俺が…次の勇者……候補??」
「そうよ!クロノちゃん!」
ラブラはニコりと微笑む。
「魔王ゼルドリスは…これから自分の配下にならないマジェスト達を次々に襲い戦いを挑んでくるはず…つまり全世界のマジェスト協会を潰しにかかってくるはずよ。」
「なるほど…我が同胞『レギオン』を抹殺したのも魔王の策略という訳ですな…そして今回この私とマジェスト協会をも直接襲撃もした事も。」
ユーロを見、そして話を続けるラブラ。
「そうよ…そしてこれから魔王ゼルドリスは、この世界の魔神達を従える為、そして従わないであろう敵となるマジェスト協会を排除に手をかけ始めた。だけどそれだけでは無いわ、まずここヨーロディア大陸では配下のマジェストを使いこの地に『病』を振りまいてしまった。」
「病………か。」
ユーロは自分の両手のひらを眺める。
「ユーロ…あんたにはマジェストの力があった…だから今こうして生きていられてる…それにここの神殿が私達にとって力を回復させてもくれる『精霊の神殿』だからなのよ?」
「たしかに私も『タイガ』の声に呼ばれここに辿り着き、そして私もマジェストとなれたのです。そして確かにここは。」
ユーロの身体中にもキラキラと光る何かが降り落ち癒しを与えているかのようにも見える。
「んーーー、これにはちょっとした理由があってね?私が皆を『魔神具』に変えてこうして眠らせたのは、それにはこの神殿を守る為に精霊の力が必要だったからよ?だからもう消えてしまったけどあの『エレファモス』、そしてここの『タイガ』この世界にはあと一つの神殿が精霊の力で守られてるから今の所は落ち着いてるって状況よ…でもね…ここはもう敵に知られてしまった…。」
するとラブラは目を見開き言い放つ。
「ここに集まる皆はこれからこの神殿を拠点に守りながらこの地の病は伝染病ではないからね!食い止める為の協力をお願いするわ!そしてここへ攻めてこようとしている敵の主なる者の名を教えるわね。」
皆の視線がラブラに集まる。
「その男の名前は『フィガーロ』、フィリアームを仕切る男…そしてとある厄介な魔神を携える男。」
「厄介な魔神??それはどんな魔神なのでしょうか?」
ラブラの発言に問いかけるユーロ。
「ええ…その魔神は『ヴァンパイア』その力は未知数。」
「ん?まてよ?でもそのヴァンパイアって魔神もラブラが魔神具へと変えて封印してたんじゃないのか??」
ラブラは考えると改めて言葉にする。
「いや…あいつは麒麟ちゃんとは違っていい子ではないの…だから確かに封印の必要はあったわ…でも…狡猾で頭も切れる…その為に私の手からも逃れるように突然…世界から消えるように姿を消してしまっていたのよ。姿を消した者を私が封印出来る訳ではないからね…そして今回そのフィガーロからヴァンパイアの力を感じ取ったという訳よ。」
「なるほど。ここまでの話は理解出来ました。勇者ラブラよ…。」
俺達はラブラの言葉をしっかりと聞き入れた。
そしてユーロがそう返事を返したその時。
この神殿の入口にカタッという音が聞こえ俺達はそちらを振り返る。
そこにはフラフラと壁にもたれながら立っていた一人の男がいた。
「あ…がはっ!…ユーロ……様………。」
「「デニーロ!!???」」
その男の名を呼ぶユーロ、マリア、アンナそしてエンポリオ。
一体何が起こったのか!?
◇
◇
◇
お読みくださりありがとうございました!