ヨーロディア世界編シーン15
勇者ラブラは語る。
魔神達の聖域の一つともされるこの地下世界『ダンジョンピット』に集いし仲間達。
そして魔神達が揃った時。
そこへ降り立ったのは。
◇
『『勇者ラブラ!!!???』』
呆然と勇者の姿を見る皆々。
口を開ける魔神達は思わず一斉にその口をあわせる。
それもそのハズだ…かの魔神大戦の集結はこの勇者ラブラの手により治まったものなのだから。
『勇者ラブラ様…お久しぶりでございます!』
そこで口を開いたのは古代魔神の一人タイガ。
「んーーー!本当に久しぶりね!元気だった?タイガちゃん!?」
「タイガ……」
「「ちゃんーーーーー???」」
俺達は相変わらずラブラの軽すぎる様子に呆然としながらその話を聞く。
するとラブラは魔神一人一人の元へ行き挨拶をし俺の前へ戻ってくる。
「ふむふむ…皆元気だねぇ!!久しぶりに見たけど中々いいメンバーが揃ったね!」
勇者ラブラは、どの魔神にもその態度は変わりはしない。
すると…ユーロが口を開く。
「そんなバカな…いや、だが…そうか…貴女がこの魔神…魔神具を創った…伝説の勇者…『ラブラ』様……なのか。」
ユーロのその声にラブラはニコりと微笑む。
「そんなに緊張しないでよ〜〜〜!」
そういうラブラは相変わらずだ。
「ふぅ~~~やれやれ…で?今回は何の話だ?」
「ん〜〜〜??なぁによ!クロノちゃんは相変わらず私に冷たい言い方ね〜〜〜??」
「あの………。」
俺達がそんな会話をしていると声をかけてきたのはマリアだったんだ。
「「ん???」」
俺達はそちらに目を向ける。
マリアは深々と頭を下げ口を開く。
「ワタクシはこのユーロディアマジェスト協会の『マリア』と申します!貴女様があの伝説の勇者様と言う事を耳にし打ち震えておりました…」
「いやいや!そんなに緊張しなくて大丈夫だよ〜〜!!ほら!ここにいるクロノちゃんなんていつも私にうるさいとか色々いってくるしねぇ!」
にやにやしながら俺の髪をガシガシしているラブラ。
その様子を見ながら皆が呆然とした表情。
「ったくうるさいヤツだな…それで本題を話せよ?」
「もぉ〜!そんなにいつもぷりぷりしてると髪の毛も禿げちゃうよ??」
「うっせーよ!!余計な事言ってんじゃねー!?」
「あーこわ!皆クロノちゃんみたいになっちゃダメよ〜!」
そう言いながらも楽しんでる様に見えるラブラ。
するとラブラはコホンっと咳払いをする。
「えーーー!ではこれから話す事は今の世界の話をしまーす!!」
「んだよ…ここは幼稚園かよ!?」
「はい!そこーー!私語はつつしむよーに!」
「いでっ!!」
ポカリと頭を叩いてくるなにか。
俺が頭を撫でていると。
アイツ…勇者ラブラは口を開いたんだ。
◇
さて!皆も知っての通り私はこの世界の過去の『マジェスト大戦』というマジェストによる破壊行為をおさめたのね?
強力な力を誇る魔族の魔神達はその発端として魔王『ゼルドリス』という恐るべき力を持つ者が君臨していた…それは世界を恐怖と絶望の世界へと変えようとしていたの。
この世界には皆の知っての通り、人間族、精霊族そして魔族の三種族が存在してるの。
その中でも魔力に特化した力を持つ魔族は我が種族こそ世界を支配するには相応しいと考えその行為に及ぶ。
人間族そして精霊族はそれに対し対抗する為とある秘術を用いた。
そしてその秘術で…この私…勇者が誕生したって訳よ?
◇
皆が注目しその話に聞き入る。
そしてラブラは続ける。
◇
私にはとある力が宿されていてね…その力を使い魔族との戦いになったの…もちろんここにいる仲間達は当時素直に私の力になってくれた子達ばかり…まあ一人を除いてね?
そういうと雷武の顔を見るラブラ。
合わせるように皆の顔が雷武に向けられる。
「ん??なんだ!?お前達こっちを見るな!」
皆笑いを堪えながらまた話に聞き入る。
「実はね…ちょっと前…その元凶となった魔王ゼルドリスが何者かの手により復活を果たしたの…。そして、ゼルドリスは攻撃の初手をもう打ってしまった。それが第一にここにいる『リオ』ちゃんの父である『レギオン』を消し、三大古代魔神『エレファモス』を消してしまった事件…そしてゼルドリスは今ここにいる三大魔神の一人『タイガ』そしてそのマジェスト『ユーロ』…あなたを狙ってきているの。」
その言葉に再び驚きの表情を皆がうかべる。
「ゼルドリスは魔神具へと変えそして封印したこの私に恨みを持ち、そして再びこの世界を混沌の世界へと変えようと動き始めた…その暴威を止める為…皆の力を借りたいの。」
世界に起き始めた事件。ラブラの思い、そして願い、俺達にそう告げた勇者ラブラ。
皆の思いは一体どんなものなのか。
◇
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