ヨーロディア世界編シーン9
地下の最奥にあるという場所へと向かうクロノ達。
果たして。
地下迷宮『ダンジョンピット』への入り口からエルザックのバラコンダを先頭に俺達は入口から潜入していく。
明かりもない石畳の敷かれた洞窟内を俺達はバラコンダの進む後ろを着いていく。
幸い俺達パーティーの中には万能タイプの魔神を持つリオがいる為、彼女のスクエルの能力でライトアップしてもらい先を進む。
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「しかし屋敷からこんな秘密の通路があるとはな…。」
「ええ…本来ここは私達ヨーロディア、マジェスト協会のメンバーの中でも限りある者にしか明かされてはいないのです…この地ヨーロディアも遥か昔から存在する歴史ある土地…そして多くの魔神が存在していたと言われる場所なのです…この地下迷宮もかつてこの地の魔神をその力で率いたとされる私達のBOSS『ユーロ』様の魔神『タイガ』が作り出した迷宮とされている場所なのです…。」
「なるほど…そんないわれのある迷宮って事か。」
「ええ…『ユーロ』様も元々生まれ持ってのマジェストではなかったと聞いています…ある時何かに呼ばれるかの様にここに入ってきてそして魔神『タイガ』と出会いその力を継承したと御屋敷のこの地下迷宮を知る者なら聞いているハズです。」
アンナのその話に続けたのはエンポリオだった。
「そう僕も話は聞いています…そしてこの地下迷宮の最奥には魔神『タイガ』の祭壇がある…と。」
コツコツという足音をたてながら俺達は最奥を目指していく。
「しかし結構広いな…結構歩いてきだけど何の音も聞こえてこないな。」
その時…俺の服を引っ張る何者か。
それは、妹サキノだったんだ。
薄暗いこの地下だ怖くもなったのだろう。
「サキノ?大丈夫か?」
蒼白い顔をして俺を見ているサキノはその小さな手を俺に向けてくる。
手を握ると、にっこり笑顔を浮かべ、その足取りも軽くなったようだ。
するとまだ俺の服を引っ張るなにかが。
俺の後ろ…には。
カルマとリオの姿だ。
「ええっ!!??カルマもリオも何を??」
「クロノ…私も……体調良くないも……ん……。」
「お……おう!そ…そうだったな…んじゃカルマもほら。」
俺は空いてる片手を伸ばすと握ってニコニコしている。
「あの…クロノ様??」
「ん?リオも体調悪いのか??」
「い!いえ!!でも私もほら…あ!暗いとこ怖いんですっ!!」
「えっ!!??」
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結局俺はというと。
右手にはカルマ、左手にはリオ、そして妹サキノは。
「お兄ちゃん!これいいねっ!!」
結構サキノを俺は肩車をする事に。
うん!これなら三人と一緒に移動できるのだ!
うん……はぁ。
溜息をつきつつも歩いている俺。
すると声を掛けてきたのはエンポリオ。
「なぁなぁ?良かったら誰か僕が変わってあげようか??」
「ん??お!おう!?気を使ってくれてありがとな!エンポリオ!」
「い、いや!そんなのお安い御用さ!」
そう言ったエンポリオはニヤニヤしている。
「どうだ誰かエンポリオがついててくれるらしいぜ??」
俺は三人へそう声をかける。
すると。
「さ!ちょっと元気出たみたい!私大丈夫!」
「あ!私も!クロノ様!自分で歩けるみたいです!」
すすっと俺の手を離し離れるカルマとリオ。
「ふぅ…やれやれ……。」
「うん??あ!お姉ちゃん達いっちゃった!サキノのお兄ちゃん車いっけぇ!!」
そして残ったのは肩車をしているサキノだったんだ。
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こうして俺達は最奥を目指す。
ここまで大分来たような気がする。
「しかし地下迷宮とは、よく言ったものだな?大分下まで降りてきたけどまだまだ深そうだな?」
ズズズという音をたてながらも俺達の先頭を進むバラコンダ。
静かな音で進むバラコンダは流石偵察という仕事にはピッタリの魔神だ。
「クロノ…ここまで来た所で地下は十階程までは降りてきた…地上からは大分深まった…だが…やはり敵が一つもいないようだ。」
「ああ!大分奥まできたけど…やけに静かだ。」
すると俺の前を歩いていたアンナが突然声を上げる。
「皆さん!!!???」
「ん??どうしたんだ??アンナ??」
エンポリオは彼女に問いかける。
アンナは目を閉じ何かを感じてるみたいだ。
「この先に何かの力を感じるみたいです!!」
アンナさんに伝えたのは麒麟…なのだろうか。
もしかしたら魔神の力か何かを感じ彼女に伝えたのかも知れない。
「行きましょう!!でも皆さん、気をつけて!!」
そう言うとアンナさんはその足を進める。
俺達は彼女の後を追う。
すると見えてきたのは大きな扉が。。
「バラコンダ!!??このまま扉に突然!!その扉を破壊せよ!!!」
エルザックの声が迷宮内にコダマする。
その時!!!
俺にも感じた何者かの巨大な力。
バラコンダは扉に突撃する!!!!!
ドガーーーーーーーーーーーーン!!!!!
扉は開きそして俺達の目の前には!!??
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