アメリスアード世界編シーン80
あれから…。
「ん………うーーーーーーっ!!」
俺はベットの上で目覚める。
「ふぅ……ん?」
部屋の中を見ると見慣れた部屋。
ここは確か。
俺は…。
◇
◇
◇
キラーマシンを倒し崩れ落ちた建物。
俺達は博士を担ぐと脱出を試みる。
「クロノ!!?そのまま脱出だ!!」
「後方は任せて!!」
レイドとジェイク、そして巨大化したバラコンダを操るエルザック!!!
「お嬢様!僕達三人で後方をお守りします!そのままバラコンダで脱出を!!!」
「分かった!クロノ様!さぁ!トライデント博士をそこへ寝かせてください!」
「あ…ありがと…う……。」
「いえいえーーーって!!クロノ様っ!!」
「クロノ様ーーーーーーーーーっ!!??」
俺はリオの声を耳に意識が遠のいていったんだ。
◇
◇
◇
そして気がつくとここに寝てた…か。
すると、バタバタと誰かがこの部屋へ走ってくる音。
この軽快な足音は。
「うわあああっ!!??クロノお兄ちゃん!!」
突然扉が開き抱きついてきたのは。
いつもの可愛い妹サキノだ。
「うぅぅぅーっ!お兄ちゃんまたずーっと寝ちゃってたしぃ!!」
「コホンッ!!そうよ!クロノずっと起きないんだもん!」
「お……ああ…悪かったよカルマ……。」
俺のその声に突然顔を赤らめるカルマ。
「ん?どした??」
「な!なんでもないわ!あ!そうそう!シェリルさん達が待ってるわよ?クロノが起きたら来て欲しいって!?」
「そうなのか…ああ!分かった!ん??」
俺達が話していると俺の布団の中でもそもそ蠢く何か。
これは!!??
すると布団から這い出してきたのはなんと。
「リオーーーっ??何してるんだお前??」
「ほぇ〜〜〜…クロノ様の布団寝心地良くてぇ…ふにゃふにゃ。」
「えっえっ!!?これは!!??はっ!!?
」
俺の目の前には真っ赤な顔をした鬼!!??
いや、、、カルマが立ち尽くす。
「クロノのバカーーーーーーっ!!」
バチーーーーーーーーンっと屋敷中に頬をビンタされた音が鳴り響く。
◇
◇
◇
俺達は一階に降りていく。
当然俺は腫らした頬を抑えながら。
降りていくとテーブルにはニヤけたジェイクと冷や汗をかいたレイドの姿。
「まーたやられたなクロノ!」
「ジェイク?そんな言ったらクロノ君が可哀想だよ!」
二人も何故か笑い顔だ。
俺はしかめっ面をしながら椅子へとかける。
すると目の前に笑顔で座っているシェリルの姿。
「クロノ君!おはよう!よく眠れたかな?」
「お?おう!寝れたは寝れたぜ??」
今まで見た事のないシェリルの優しい微笑みに俺は思わず声が裏返りそうになる。
「クロノ君…本当にありがとう!」
「ん?え?あ、ああ!…あ!そーいや……親父さん…どう、なった?」
俺は思い出しシェリルに問う。
◇
シェリルはコーヒーを口にし、コクンと喉を潤す。
「ありがとうクロノ君!パパはあの時キラーマシンのコアとして生命エネルギーまで吸い尽くされかけて…そして、もう助からないと思ってた…でもね…あの時…君が何とかしてくれたんでしょう??」
「えっ!?どういう事だ??」
「貴方が触れてくれてそして何かを施してくれたんだと思ってる…本当に…ありがとう!」
「それじゃあ!!??」
「うん!パパは今は休んでるけど生命を取り留めたの。」
「そっか…良かったーーーーー!!!」
俺がそう叫ぶ。
皆、皆、笑顔で俺を見つめてる。
そこで俺はふと一つ疑問を口にする。
「そういや、あのターメリックってのはどうなったんだ??」
「それは分からないわ…魔導協会の建物のあれは一部が倒壊しただけで…彼の消息も。」
「そっか……」
「でもクロノ君もう大丈夫だから!ねっ!?」
俺はシェリルの初めて見た優しい笑顔にドキりとしてしまう。
そしてシェリルの肩に手を添え俺に微笑むレイド。
よく見るとジェイクも俺に親指を立て大丈夫を伝えてくれる。
「そっか…後はよろしくな!」
三人は俺に笑顔で応えてくれた。
するとそこへ登場したのは、ヤシュアだった。
「はっはっは!クロノ!よくここまで成長してくれたな?」
「お!ヤシュア!まあなんとかな!」
「おいっ!クロノ君!ヤシュア様に向かってその態度はないだろう!?君もヤシュア様をもっと崇拝しないと!!」
レイドのヤシュア崇拝は相変わらずだ。
「よし!!!皆!これから新しい舞台へ我々は出るぞ!!心して聞いてくれ。」
ヤシュアの説明はこうだ。
◇
魔導協会との戦いにもなってしまった俺達。
奴らは俺達マジェストの事は認めてはいない。そして、先の戦いは魔導協会VS魔王ゼルドリスVS俺達マジェストの三つ巴の戦いの火種となってしまった。
故に魔王ゼルドリス軍は力をいつしか蓄え、そして世界中にゼルドリスの息のかかったマジェスト達も現れ始めているらしい。世界中に力を見せつけ始めたというのだ。
◇
もちろん魔導協会もこれには敵対するだろう。
だけど俺達マジェスト協会もその混乱を治めそして魔王ゼルドリスを倒さなければならない。
その為の戦いがこれから始まる。
◇
◇
◇
「クロノ!カルマ!サキノ!お前達三人はこの地から次なる地へ旅立って貰う事にする!」
「えっ!?」
俺達は顔を見合わせる。
「ジェイク、レイド、シェリルの三人はこの世界の中心アメリスアードを守ってもらわなけばならない。そこで。」
そこへ入ってきたのはリオ。
そして…エルザック。
リオとエルザックはヤシュアの元へ跪く。
「ヤシュア様!今回の依頼!間違いのない約束を。」
「リオ!エルザック!」
リオは嬉しそうに懐いてくる。
そしてエルザックは静かにその目をあける。
「良いか?クロノ!次なる舞台はヨーロディア!世界としてはこのアメリスアードよりは小さめだが…ヨーロディアのマジェスト協会より救援の報せが届いている…そこへ向かってほしい。」
「そこには何かあるのか?」
「ああ!リオ達は表向きはマフィアとしている…それに対しヨーロディアはマフィアの国といっても過言ではない…そして麻薬…魔神薬の出回りも大きい…リオ達と共に、とある組織から国を救って欲しいのだ。」
◇
◇
◇
俺達は更に世界へと飛び立つ。
でもきっと…いつか…俺は皆の涙を止める為に。
カルマの親もきっと。
第二章お楽しみいただきありがとうございました!
明日からは第三章に入ります!
新たな国へと出発するクロノ達を是非応援よろしくお願いします!
第二章アメリスアード編。fin。