コント『放課後の屋上』
A「はぁ、緊張するな。下駄箱に『放課後、屋上に来てください』って手紙出したけどユミちゃん読んでくれたかな。まぁ、緊張しても仕方ない。ここは一つ、覚悟決めていくか」
A、屋上に通じる扉を開く
途端に、見るからにガラの悪い不良のBがAに掴みかかってくる
B「ようやく来やがったなタケシ! 今日こそ決着つけんぞゴラァ!」
A「ちょ、ちょっと待ってください! 僕タケシじゃないですよ! 人違いです!」
B「あぁ!? なんだテメェ!?」
A「ぼ、僕はこれからここで好きな子に告白するつもりなんです! あなたこそこんなところで何してるんですか!?」
B「あ? 俺はな、これからこの屋上でタケシとタイマン張るって約束してんだ。邪魔するならぶち殺すぞオラァ!」
A「いや、ちょっと待ってください! 僕だって女の子に告白するのは生まれて初めてなんです。喧嘩ならよそでやってくださいよ!」
B「うるせぇ! 俺は今日タケシをぶちのめすって数百年以上前から決めてんだ! 前前前世の仇とミジンコだった時の恨み、それからひいひいじいちゃんの無念をここで晴らしてみせるぜ!」
A「あなたタケシと何があったんですか!?」
B「あんだと? テメェな、偉そうに言うけどそもそもこの屋上、誰の許可とって入って来たんだ?」
A「そ、それは……」
B「俺はなぁ、今日この屋上でタケシと決着をつけるために入学以来ずっと無遅刻無欠席、成績はどの教科も学年首位をキープし休みの日はずっとボランティアしてたんだぞ! そうやって先公たちから信頼を得て、今日やっと屋上の鍵をゲットしたんだ! ちなみに担任には『屋上から学校のパンフレットに載せる写真を撮りたいです』って言ってんだぞ!」
A「メチャクチャ優等生じゃないですか!」
B「わかったんならとっとと帰れや! じゃねーとテメェもタケシと一緒にボコボコにしてやるぞ!」
A「いや、でも僕だってずっと片思いしてた子に告白するチャンスで、このまま引き下がるなんて……」
B「だったら正々堂々と告ればいいだろ! 女の子はいつも可愛くなるために一生懸命なんだから、男子はそれにきちんと気づいて褒めてやんなきゃいけないんだぞ!」
A「そんな女子目線な恋のアドバイスをされても!」
揉み合うAとB
そんな時、屋上の入り口からふと誰かの気配を感じる
A「あ、ユミちゃん! 来てくれてありがと…」
A、一瞬嬉しそうな表情を見せるがすぐ呆気にとられたような顔をする。
A「あ、いや、タケシはここに来てないよ……え? 『タケシと付き合ってるから無理』? ああ、うん、わかった……うん、もうなるべく話しかけないから……』
俯くAと沈黙するB
やがて2人、向かい合い共に叫び合う
A「タケシ、オメェ絶対に許さねーからな!」
B「ボッコボコにしてやんぞオラァ!」
A「タケシ早く来いやタケシ!」
A・B「「タケシー!!!」」
(徐々にフェードアウト)
7/11 第4回【GET UP! GET LIVE! 漫才・コント大賞!!】にて優秀賞を受賞させていただきました。
ありがとうございます。