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ピリジンはめちゃくちゃ臭い


 我孫子先輩に促され、アルミちゃんと部屋の中に入る。


 中に入ると真っ直ぐな廊下が続いており、向こう側にも扉があることが確認できた。

 自分から見て左側は居室になっていて、中は机が並べられていた。机の上は整理整頓されているものもあれば、本、書類が散らばっているものもあり、座席の保有者の性格をありありと表していた。

 ここで実験データをまとめたりするのだろうか。


 そして右側には扉があり、中は実験室となっていた。何人かがいそいそと歩き回ったり、座りながらフラスコ?のようなものに入った液体をしきりに振ったりしていた。


 横にいたアルミちゃんを見てみると訝しげな顔をしていた。どうしたんだろう?と疑問を抱くと同時にある違和感が私を襲った。


あれ?この部屋…

なんか変な匂いが…

変な匂いっていうか…

臭っ!!!!

臭い!!!!!何だこの匂いは!!!!


生臭さと青臭さが混じったような匂いはまるで海水を腐らせたようだ。あまりの匂いに思わず吐き気が込み上げる。


「我孫子先輩!この匂いってなんの匂いですか?」


出来るだけ匂いを嗅がないよう口で呼吸しながらそう訊ねると、我孫子先輩はその様子が可笑しかったのだろうか、笑いながら答える。


「ああ、これは今宮さんが試薬品のピリジンをこぼしたんだよ。まだちょっと臭いが残ってんな。

大丈夫か?一回外に出るか?」


ピリジン、聞いたことがある。

化学式C5H5Nの化合物でベンゼン環の一つの炭素が窒素になってるやつだ。

教科書では特有の匂いがある、ぐらいに書かれていたがまさかここまで臭いとは…。


西九条先輩が心配そうに顔を覗かせながら励ましてくれた。

「大丈夫か?私もこの匂いは苦手なんだよなー。今は多少は慣れたけど…。それでも嫌だからピリジンを使う実験はしないようにしてる!!!!」


「うぅ…ありがとうございます…。」


 西九条先輩と我孫子先輩に案内され、居室の奥に通された。

 流石に奥までくると匂いはあんまり感じなかったので、少し安心した。


 まだ自己紹介すらしていないのに、もう挫折してしまいそうな気分だった…。


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