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ほっぺの赤は夕日のいろ

作者: 紫李鳥

  




 さやかは、今日も海に来ました。夕日に染まる海が好きでした。


 ほっぺたが赤いさやかは、みんなから、“おたふく”とか“おてもやん”とか言われて、からかわれるので、学校に行くのが嫌でした。


 しょんぼりと海を見つめていると、知らず知らずに涙が頬を伝いました。


 その時です!


ザブーン!


 海の中から突然、大きなものが現れ、夕日の真ん中で跳び跳ねました。


「わぁー!」


 イルカでした。イルカは波打ち際までやって来ると、


「キュルキュル」


 と鳴きました。


 それはまるで、「ボクに乗って」と言っているように、さやかには聞こえました。


 おそるおそる近づくと、イルカはさやかを鼻先に乗せて、ピョンと上に上げました。すると、あっという間にイルカの背中に乗っていました。


 イルカは、


「キュルキュル……」


 と鳴くと、潜水艦のように、海の中に潜りました。







‥ブクブク‥ブクブク‥






    〇

   О

    О


   Ο


    о

     ο

    ο

      。

     。

      ゜

       ゜




 不思議です。海の中なのに、さやかはちゃんと息ができました。まるで、お魚さんになったみたいです。


 海の中は、宝石を散りばめたように美しく、珊瑚や熱帯魚が色のハーモニーを奏でていました。


「わぁー!キレ~」


 さやかは円らな瞳を輝かせました。


「キュルキュル……」


 イルカの鳴き声は笑っているみたいに聞こえました。


「うふふ……」


 楽しくて、さやかも笑いました。


 黄色や赤色の魚たちが、イルカの周りで遊んでいます。


 みんなが歓迎しているみたいです。


 その時です!


 岩陰から、大きなサメが顔を出しました。


 ビックリしたイルカは急停止すると、Uターンして、猛スピードで逃げました。


「キャーッ!」


 さやかは怖くて、イルカにしがみつきました。






‥ブクブク‥ブクブク‥






    〇

   О

    О


   Ο


    о

     ο

    ο

      。

     。

      ゜

       ゜



 アブクの音がしています。






 気がつくと、ハマヒルガオの砂浜に寝ていました。


 イルカに乗ったのは夢だったのでしょうか……。


 ふと、下を見ると、砂に書かれたメッセージを夕日が照らしていました。

 そこには、


【ほっぺのあかはゆうひのいろ

 きれいなきれいなゆうひのいろ

 ぼくたちともだちだよ】


 と、ありました。


 イルカに乗ったのは、夢ではなかったのです。


 さやかは笑顔になると、夕日に染まる美しい海を、いつまでも見つめました。







 おわり

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