試験開始!
実践の試験は魔獣の討伐というものだった。魔獣とは魔力をもつ獣で、試験用の魔獣を討伐するのがこの試験だという。
「それでは、始めるぞ、危なくなったら我々が助けに入るから安心して受けてください。」
ガシャン…扉の開く音がする。
ゴクリ…緊張するな。
数秒後扉の向こうから魔獣が現れた。
「GYAOOO!」
…
…ん?
「おいっ、あいつ大丈夫か硬直してるぞっ」
「でもまだ手を出せないんだよ、試験のルール的に」
試験監督たちがそんなことを話している。
違う…僕が感じたのは恐怖ではない。
僕が感じたのは疑問だ。なぜなら試験用の魔獣はコモンドラゴンなのだ。
確かにコモンドラゴンは下級魔獣の中では上の方だ一様龍種だからな。でも僕からしてみれば魔力操作を使うまでもない程だ、つまりはっきり言って…雑魚だ。
故に感じたのだ、これが本当に試験なのか?と。
どうやら試験に対しての不安は局長が言っていた通り杞憂だったようだ。
そういえば局長が僕の事を世界的に強いとか言ってたな、てか僕今まで負けというものを経験してこなかったもんな。
さて…ボコすか。
そう思いながら僕は試験用の剣を手に取る。
「おい、アイツ剣を手に取ったぞ」
「アイツ魔法使えないんだろ、剣だけでどうにかなる相手じゃないぞ」
試験監督達がそんな事を言っている。いや…そんなこともないぞ?
でもまあこの試験用の剣じゃ無理だろうがな。
だからこうするんだ…、意識を少し左手と足に集める、そう、魔力操作だ。と言っても初歩の初歩レベルだが…コモンドラゴン相手ならこれでもやり過ぎなくらいだ。
「よっ!」
ザシュッ…
次の瞬間、僕はコモンドラゴンの首を落としていた。
断末魔さえ聞こえない…余裕過ぎ…
「なっ…、」
試験監督達は絶句している。
校長なんて何度も目をこすっている。
「これで実践の試験はクリアですよね?」
「えっ…あ、ああ」
校長が正気にもどった。
「し、しかし君はどうやって魔獣の首を落としたのじゃ?」
校長、愚問過ぎやしないかい、魔法無しであんなこと出来るのなんて…
「魔力操作で足と左腕と剣を強化しただけですが」
しかないだろ…
「やはり、そうじゃったか、しかし見事なもんじゃな、もはや卒業レベルじゃ…」
やはり、試験に対する不安は完全に杞憂だった、緊張して損したかな。
「それじゃあ、今度は筆記試験ですね!」
この分なら筆記も大したことがないのだろう。
「そ、そうじゃな、と言っても今ので十分合格点じゃよ…」
マジでか…これで世界一とかこの世界大丈夫なのか…。まぁ、なんにせよこれで僕は青春を満喫できることが決定したな!*決定はしていません。
そんな事を思いながら筆記試験の会場に行く。ちなみに僕の周りはというと…
「あれが例の魔法なしでこの学園を受けに来たとかいう身の程知らずかw」
「マジで、舐められたもんだよねw」
「まあまあ、どうせもう直ぐお別れなんだし、せめて僕らと同じ空気を吸えた事を誇りに思わせてあげなよw」
「それもそうだなw」
もう、泣きたい…これで青春できるのかな?心配だなぁ…え?試験?…もう受かってるから問題ない。
こうして試験会場に到着した。
~20分後~
「Zzzzz…」
「おいっ、あいつ寝てるぞ、大丈夫なのか?」
「噂じゃ、さっきの実践試験で合格点とったらしいから、適当に済ませようとしてるんじゃないか」
「魔法なしでかっ!?にわかには信じられんな…」
いや、違いますよ、「試験時間は2時間です。」じゃないよ、15分で終わらせてやったよ。
なんだよ、この学園本当に世界一か?…局長僕って学力も世界的に良かったのか?もう、世界の基準がわかんないよ…
こうして試験は全工程終了した。
「では、また明日来てくれ、そこで合否を発表…いや、点数を教える、合否はもう決まっているからのぉ」
「はい、ではまた明日」
こうして僕は局長が用意しておいてくれたホテルに帰ることとなった。